(仮訳)Cinereomyces属とGelatoporia属に類縁の多孔菌の新属、ObbaおよびSebipora
Miettinen, O. & Rajchenberg, M., 2012. Obba and Sebipora, new polypore genera related to Cinereomyces and Gelatoporia (Polyporales, Basidiomycota). Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-010-0736-8 [Accessed May 9, 2015].
【R3-01809】2015/05/09投稿

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3行まとめ

従来系統的位置が明らかでなかったCeriporiopsis rivulosaおよびC. subvermisporaについて分子系統解析を行った。
前者に対して新属Obbaを提唱し、南方系の種O. valdivianaも当該属に含めた。
また、後者をGelatoporia属に含めるのが妥当としたほか、インドネシア産の新種に対して新属Sebiporaを提唱した。
Indonesia, Sumatra, Riau, Rokan Hilir, Desa Sungai Maju

(新種)

Sebipora aquosa Miettinen
語源…(属名)蝋の孔口/(種小名)水っぽい(子実体の肉から)
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【よく似た種との区別】
Tyromyces pinguis
子実体の質感が類似している
担子胞子のサイズが類似している
菌糸構成が1菌糸型
Tyromyces levis
子実体が半背着生
担子胞子の形態が類似している
本種と異なりインドネシアではなくソロモン諸島に分布する
本種と異なり傘表面が無毛ではなく綿毛状
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なり担子胞子が4胞子性ではなく2胞子性
Tyromyces chioneus(オシロイタケ)
肉眼的形態がやや類似している
子実層に油状の物質を含む
担子胞子が円筒形
菌糸がコットンブルー陰性
菌糸がクレシルブルー陽性
本種と異なり菌糸構成が1菌糸型ではなく老成すると明瞭な2菌糸型となる
ITS+nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tyromyces canadensis
肉眼的形態がやや類似している
子実層に油状の物質を含む
担子胞子が円筒形
菌糸がコットンブルー陰性
菌糸がクレシルブルー陽性
本種と異なり子実体形成菌糸層の菌糸に特徴的な指状厚壁の突起を有する
Ceriporiopsis gilvescens
白色腐朽菌である
担子胞子が円筒形
菌糸構成が1菌糸型である
密な菌糸構造を有する
油状の物質を含む
本種と異なり子実体が背着生~傘状ではなく常に平らに広がる
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子が屈曲する
本種と異なり担子胞子に油滴を含まない
本種と異なり管孔の菌糸に結晶を伴わない

(新組み合わせ)

Obba rivulosa (Berk. & M.A. Curtis) Miettinen & Rajchenb
旧名:Polyporus rivulosus Berk. & M.A. Curtis
語源…(属名)ビーカー(ローマで用いられた液体の容器、シスチジアの形状から)
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【よく似た種との区別】
Cinereomyces lindbladii(アラゲカワラタケモドキ)
培養性状がほとんど区別できないほど類似している
培養下で気生菌糸のマットに独特かつ細長い結合菌糸が含まれる
本種と温度適性が異なる
本種と40°Cにおける生育が異なる
本種とキャベツエキス培地における生育が異なる
Gelatoporia subvermispora
白色腐朽菌である
培養性状がほとんど区別できないほど類似している
培養下で気生菌糸のマットに独特かつ細長い結合菌糸が含まれる
本種と温度適性が異なる
本種と40°Cにおける生育が異なる
本種とキャベツエキス培地における生育が異なる
Obba valdiviana
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりユーラシア、南北アメリカ、タスマニアではなくアルゼンチン、チリ、タスマニアに分布する(両種ともタスマニアに分布するが、分布域が重ならないとされている)
本種より孔口のサイズが小さい
本種より担子胞子の幅が広い
本種より担子胞子のQ値が小さい
本種と異なり担子胞子が広楕円形ではなく球形~類球形
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ、新階級)

Obba valdiviana (Rajchenb.) Miettinen & Rajchenb.
旧名:Ceriporiopsis rivulosa var. valdiviana Rajchenb.
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【よく似た種との区別】
Obba rivulosa
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりアルゼンチン、チリ、タスマニアではなくユーラシア、南北アメリカ、タスマニアに分布する(両種ともタスマニアに分布するが、分布域が重ならないとされている)
本種より孔口のサイズが大きい
本種より担子胞子の幅が狭い
本種より担子胞子のQ値が大きい
本種と異なり担子胞子が球形~類球形ではなく広楕円形
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(インドネシア新産種)

Gelatoporia subvermispora (Pilát) Niemelä
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