(仮訳)スギタケ属Spumosae節のヨーロッパ産新種Pholiota chocenensis
Holec, J., Kolařík, M. & Bizio, E., 2013. Pholiota chocenensis – a new European species of section Spumosae (Basidiomycota, Strophariaceae). Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-013-0926-2 [Accessed February 6, 2014].
【R3-00363】2014/02/06投稿

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3行まとめ

チェコおよびイタリアで採集された標本を基に、Pholiota chocenensisを新種記載した。
本種は他のスギタケ属Flammuloides亜属Spumosae節の種とは、肉眼的形質・顕微鏡的形質が異なり、ITS+LSUに基づく分子系統解析でも区別された。
本種のITS1の塩基配列には68塩基の挿入配列があり、この配列は他のスギタケ属菌には見られないものだった。
Czech Republic, eastern Bohemia, Choceň, area of the Oseva Choceň fabrique

(新種)

Pholiota chocenensis Holec et Kolařík
語源…ホツェニ産の(ホツェニの菌類愛好会のメンバーへの献名でもある)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Pholiota castanea
ITS+LSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりヨーロッパではなく米国テネシー州に分布する
本種より傘が暗色
本種と異なり柄が繊維状
本種と異なり顕著な繊維状~綿毛状~鱗片状の被膜の名残を欠く
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なり担子胞子が卵形ではなく正面から見ると楕円形~長楕円形で横から見ると長楕円形で僅かに豆形
ITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度97.9%)
Pholiota gallica
ヨーロッパに分布する
土壌から発生する
ITS+LSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりチェコ・イタリアではなくフランスに分布する
本種より子実体のサイズが大きい
本種よりも傘直径が大きく40-90 mm
本種より傘が暗色で鮮やかな栗褐色
本種より柄が太く10-12 mm
本種より柄表面の被膜の名残が淡色の黄色
ITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される(類似度82%)
本種と異なりITS1に68塩基対の挿入配列が見られない
Pholiota highlandensis(ヤケアトツムタケ)
同じSpumosae節に含まれる
チェコに分布する
本種と異なり焼け跡菌としてのみ知られている
本種ほど柄表面が顕著に被膜の名残に覆われない
ITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pholiota brunnescens
同じSpumosae節に含まれる
本種と異なり焼け跡菌としてのみ知られている
本種ほど柄表面が顕著に被膜の名残に覆われない
本種と異なり柄シスチジアを持つ
ITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pholiota mixta
同じSpumosae節に含まれる
チェコに分布する
土壌から発生する
傘が本種ほど明色ではなく黄褐色~褐色
本種と異なり傘の縁部が類白色
本種ほど柄表面が顕著に被膜の名残に覆われない
本種より担子胞子のサイズが僅かに小さい
本種より担子胞子の幅が顕著に狭い
ITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pholiota spumosa(キナメツムタケ)
同じSpumosae節に含まれる
チェコに分布する
本種と異なり材に発生する
本種と異なり傘が鮮やかな黄色~黄褐色
本種ほど柄表面が顕著に被膜の名残に覆われない
ITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pholiota lubrica(チャナメツムタケ)
チェコに分布する
生息環境が類似している
本種と異なりSpumosae節ではなくLubricae節に含まれる
本種と異なり担子胞子が卵形ではなく豆形
ITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pholiota sequoiae
形態的に類似している
本種より子実体のサイズが大きい
本種と異なり傘が淡黄色~さび褐色
本種と異なり柄が帯黄色
本種と異なり柄表面が顕著に被膜の名残に覆われず繊維状
Pholiota velata
形態的に類似している
本種より柄のサイズが小さい
本種と異なり肉が黄色~帯緑黄色

(その他の分類学的措置)

  • Spumosae節とLubricae節は従来、担子胞子が卵形か豆形かによって分けられていたが、この分類はITS+LSUに基づく分子系統解析では支持されないことが示唆された。
  • P. brunnescensがヤケアトツムタケのシノニムになる可能性が考えられたが、ホロタイプ標本由来の塩基配列の比較が必要だとした。