(仮訳)Golovinomyces orontiiの系統分類の再検討
Braun, U. et al., 2019. Phylogeny and taxonomy of Golovinomyces orontii revisited. Mycological Progress. Available at: https://link.springer.com/article/10.1007/s11557-018-1453-y [Accessed April 25, 2019] 【R3-06160】2019/4/25投稿

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3行まとめ

単系統性に疑義が呈されていたGolovinomyces orontiiについて多数の標本を用いた形態学的検討および分子系統解析を実施した。
そのうち狭義の本種を除く2グループをそれぞれ新種G. bolayi、新組み合わせG. tabaciとした。
ツルニチニチソウ属植物を宿主とするグループをG. vincaeとして新種記載したほか、Euoidium longipesおよびE. lycopersiciGolovinomyces属に移した。
Hungary, Eger

(新種)

Golovinomyces bolayi S. Takam., Lebeda & M. Götz
語源…スイスの菌学者および植物病理学者、A. Bolay氏に献名
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【よく似た種との区別】
Golovinomyces orontii
形態的に類似している(従来同種とされてきた)
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢が常に2胞子性なのではなく2-3胞子性
本種と異なり分生子柄の脚細胞が直線状~波状に屈曲するという特徴を欠く
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Golovinomyces tabaci
形態的に類似している(従来同種とされてきた)
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり分生子柄の脚細胞がしばしば波状に屈曲するのではなく通常直線状
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Switzerland, Gèneve, Jardin botanique 3

(その他掲載種)

Golovinomyces orontii (Castagne) V.P. Heluta
※本種のネオタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Golovinomyces bolayi
形態的に類似している(従来同種とされてきた)
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢が2-3胞子性ではなく常に2胞子性
本種と異なり分生子柄の脚細胞が直線状~波状に屈曲する
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Golovinomyces tabaci
形態的に類似している(従来同種とされてきた)
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢が2-3胞子性ではなく2胞子性
本種と異なり分生子柄の脚細胞が通常直線状
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Golovinomyces vincae
アナモルフの形態が識別困難なほど類似している(従来広義の本種として扱われていた)
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Golovinomyces spadiceus (Berk. & M.A. Curtis) U. Braun
Persicaria decipiensを本種の新宿主として報告した。
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【よく似た種との区別】
Golovinomyces tabaci
宿主範囲が重なる可能性がある
形態的に識別困難なほど類似している
分生子柄の脚細胞が通常ほぼ直線状
Hungary, Budapest, glasshouse of the Plant Protection Institute of the Hungarian Academy of Sciences

(新組み合わせ)

Golovinomyces tabaci (Sawada) H.D. Shin, S. Takam. & L. Kiss
旧名:Erysiphe tabaci Sawada
※本種のエピタイプおよびレクトタイプ標本を指定した。
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【よく似た種との区別】
Golovinomyces orontii
形態的に類似している(従来同種とされてきた)
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子嚢が2胞子性ではなく2-3胞子性
本種と異なり分生子柄の脚細胞が通常直線状という特徴を欠く
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Golovinomyces spadiceus
宿主範囲が重なる可能性がある
形態的に識別困難なほど類似している
分生子柄の脚細胞が通常ほぼ直線状
Germany, Sachsen-Anhalt, Freyburg (Unstrut)

(新種)

Golovinomyces vincae U. Braun & S. Takam.
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【よく似た種との区別】
Golovinomyces orontii
アナモルフの形態が識別困難なほど類似している(従来広義のこの種として扱われていた)
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で近縁
ITS、nrLSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ)

Golovinomyces longipes (Noordel. & Loer.) L. Kiss
旧名:Euoidium longipes (Noordel. & Loer.) U. Braun & R.T.A. Cook
(基礎異名はOidium longipes Noordel. & Loer.)
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(新組み合わせ)

Golovinomyces lycopersici (Cooke & Massee) L. Kiss
旧名:Euoidium lycopersici (Cooke & Massee) U. Braun & R.T.A. Cook
(基礎異名はOidium lycopersici Cooke & Massee)
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