(仮訳)日本産の2新種、水から分離されたPythium rishirienseおよび土壌から分離されたP. alternatum
Rahman, MZ. et al., 2015. Pythium rishiriense sp. nov. from water and P. alternatum sp. nov. from soil, two new species from Japan. FEMS Microbiology Letters. … Available at: http://femsle.oxfordjournals.org/content/femsle/early/2015/06/09/femsle.fnv086.full.pdf [Accessed June 15, 2015].
【R3-01924】2015/06/16投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

北海道利尻島で水試料および土壌から分離された卵菌を検討し、それぞれPythium rishirienseP. alternatumとして新種記載した。
前者は造卵器同士が鎖生し、高温で生長し、生長が速かったのに対して、後者は造卵器が造精器と交互に鎖生し、生長が遅かった。
両種の記載により、日本産フハイカビ属菌の既知種は66種となった。
北海道利尻郡利尻富士町鬼脇 南原湿原

(新種)

Pythium rishiriense Rahman MZ, Abdelzaher HMA & Kageyama K
語源…利尻(島)産の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Pythium catenulatum
造卵器が末端生または節間生
造卵器が球形
造卵器が平滑
卵胞子がほとんどの場合充満性
雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性
造精器が棍棒形または頸部が鉤状
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種と異なり遊走子嚢が膨大した糸状ではなく不規則に膨大した菌糸体からなる
本種より造卵器のサイズが小さい
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1-2(-5)ではなく5(-12)
本種と異なりヘテロタリックである
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度ITS95.7%、cox196%)
Pythium torulosum
造卵器が末端生または節間生
造卵器が平滑
卵胞子が充満性
雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性
造精器が分枝した柄から生じる
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種と異なり遊走子嚢が膨大した糸状ではなく数珠状に膨大する
本種より造卵器のサイズが小さい
本種より卵胞子のサイズが小さい
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1-2(-5)ではなく1-2(-3)
本種と異なり造精器が棍棒形または頸部が鉤状なのではなく棍棒状ソーセージ形
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度ITS95.2%、cox196.4%)
Pythium angustatum
造卵器が末端生または節間生
造卵器が平滑
雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性
造精器が分枝した柄から生じる
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種と異なり遊走子嚢が膨大した糸状ではなく膨大しない糸状
本種より造卵器のサイズが小さい
本種と異なり造卵器が稀に嚢状
本種より卵胞子のサイズが小さい
本種と異なり卵胞子が充満性(ほとんどの場合)ではなく非充満性
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1-2(-5)ではなく1-5
本種より25℃でのコロニーの生長が遅い
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度ITS95.1%、cox195.8%)
Pythium graminicola
遊走子嚢が膨大した糸状
造卵器が末端生または節間生
造卵器のサイズが類似している
造卵器が平滑
卵胞子が充満性
雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性
造精器が棍棒形または頸部が鉤状
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種より造卵器のサイズが小さい
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1-2(-5)ではなく1-3(-6)
本種より25℃でのコロニーの生長が速い
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pythium myriotylum
形態的に類似している(当初この種に同定されていた)
遊走子嚢が膨大した糸状
造卵器が末端生または節間生
造卵器が平滑
雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性
造精器が棍棒形または頸部が鉤状
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種と異なり遊走子嚢が浅裂あるいは指状に分かれる
本種より造卵器のサイズが大きい
本種より卵胞子のサイズが大きい
本種と異なり卵胞子が充満性ではなく非充満性
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1-2(-5)ではなく3-6(-10)
本種より25℃でのコロニーの生長が速い
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pythium arrhenomanes
遊走子嚢が膨大した糸状
造卵器が末端生または節間生
造卵器が平滑
卵胞子が充満性
造精器の頸部が鉤状に曲がることがある
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種と異なり遊走子嚢が浅裂する
本種より造卵器のサイズが大きい
本種より卵胞子のサイズが大きい
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1-2(-5)ではなくしばしば10-15
本種と異なり雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性ではなく雌雄異菌糸性
本種より25℃でのコロニーの生長が速い
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pythium volutum
遊走子嚢が膨大した糸状
造卵器が平滑
雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性
造精器が棍棒形または頸部が鉤状
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種と異なり遊走子嚢が数珠状に伸長する
本種と異なり造卵器が末端生または節間生ではなく末端生または短い側枝から生じ、時に節間生
本種より造卵器のサイズが大きい
本種より卵胞子のサイズが大きい
本種と異なり卵胞子が充満性ではなく非充満性
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1-2(-5)ではなく3-6(-10)
本種より25℃でのコロニーの生長が遅い
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pythium agreste
遊走子嚢が膨大した糸状
本種より造卵器のサイズが大きい
本種と異なり分子系統解析でクレードBではなくクレードAに含まれる(先行研究)
Pythium folliculosum
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種より造卵器のサイズが大きい
本種と異なり造卵器が嚢状
本種と異なり造卵器に時に2つの卵胞子を含む
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度ITS95.2%、cox196.4%)
Pythium rhizo-oryzae
ITS+cox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードB1に含まれる)
本種より造卵器のサイズが小さい
本種と異なり”hyphal swelling”が末端生または鎖生
ITS+cox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される(配列類似度ITS95.7%、cox196.1%)
北海道利尻郡利尻富士町鴛泊字栄町 利尻北麓野営場

(新種)

Pythium alternatum Rahman MZ, Abdelzaher HMA & Kageyama K
語源…互生の(造卵器と造精器が交互に鎖生することから)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Pythium iwayamai
極域~亜極域に分布する
造卵器が末端生または節間生
造卵器が球形
造卵器が平滑
雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードGに含まれる)
本種と異なり遊走子嚢が節間生または末端生ではなく末端生
本種より遊走子嚢のサイズが大きい
本種と異なり遊走子嚢が類球形ではなく球形、楕円形、卵形、レモン形
本種より造卵器のサイズが大きい
本種より卵胞子のサイズが大きい
本種と異なり卵胞子がほとんどの場合非充満性なのではなく非充満性または充満性
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1ではなく2-3
本種と異なり造精器がいくぶん球形なのではなく棍棒形
本種より25°Cでのコロニーの生長が速い
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pythium okanogamense
極域~亜極域に分布する
造卵器が球形
造卵器が平滑
雌雄同菌糸性または雌雄異菌糸性
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードGに含まれる)
本種と異なり遊走子嚢が節間生または末端生ではなく末端生
本種と異なり遊走子嚢がシンポジオ状に生じる
本種より遊走子嚢のサイズが大きい
本種と異なり遊走子嚢が類球形ではなく類球形~洋梨形
本種と異なり造卵器が末端生または節間生ではなく短い側枝の末端に生じるか稀に節間生
本種より造卵器のサイズが大きい
本種より卵胞子のサイズが大きい
本種と異なり卵胞子がほとんどの場合非充満性なのではなく非充満性またはほぼ充満性
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1ではなく1(-3)
本種より25°Cでのコロニーの生長が遅い
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pythium paddicum
極域~亜極域に分布する
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で近縁(同じクレードGに含まれる)
ITSおよびcox1に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Pythium ultimum var. sporangiferum
形態的に類似している(当初この分類群に同定されていた)
本種より造卵器のサイズが大きい
本種と異なり造精器の造卵器あたりの数が1ではなく1-3
本種と異なり分子系統解析でクレードGではなくクレードIに含まれる