(仮訳)中国南西部産の形態および分子の証拠により支持された2新種、Russula chiuiおよびR. pseudopectinatoides
Li, G-J. et al., 2015. Russula chiui and R. pseudopectinatoides, two new species from southwestern China supported by morphological and molecular evidence. Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-015-1054-y [Accessed June 17, 2015].
【R3-01928】2015/06/17投稿

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3行まとめ

中国のチベット自治区および雲南省で採集されたベニタケ属菌を検討し、Russula chiuiおよびR. pseudopectinatoidesとして新種記載した。
前者はEmeticinae節に含まれ、肉に臭いがなく、非アミロイドの胞子盤を伴うことなどで特徴づけられた。
後者はFoetentinae節に含まれ、柄に縦方向の小皺が僅かに生じ、傘表皮の末端細胞の先端が鈍頭~便腹形であることなどで特徴づけられた。

※本論文に対するエラッタが公開されている(図表の番号振り間違い)。

中国チベット自治区ニンティ県魯朗鎮Linhai

(新種)

Russula chiui G.J. Li & H.A. Wen
語源…ベニタケ科の研究者、W.F. Chiu(裘维蕃)教授に献名
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【よく似た種との区別】
Russula nobilis
傘表皮を縁部から1/4だけ剥がすことができる
担子胞子の装飾が密な網目状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく果実や蜜のような、心地よいスパイシーな、あるいはジンジャーブレッドのような香りがある
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種より担子胞子の装飾が低い
本種と異なり担子胞子の胞子盤が非アミロイドではなくアミロイド
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula betularum(カバベニタケ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり広葉樹林ではなくミズゴケに覆われたカバノキ属の湿った森林に発生する
本種と異なり傘が強く退色し、時に完全に白色になる
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種より側シスチジアが短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula emetica(ドクベニタケ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり広葉樹林ではなくピートボグの針葉樹林に発生する
本種と異なり傘表皮が縁部から1/4だけしか剥がれないのではなく容易に剥がすことができ、完全に剥がれることもある
本種より傘シスチジアの幅が広い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula grisescens
本種と異なり広葉樹林ではなく高山帯のミズゴケの生えた沼地の針葉樹林に発生する
本種と異なり肉が白色ではなく湿時帯灰色
本種より担子胞子の装飾が低い
Russula laccata
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりヤナギ属植物と関係を持つ
本種より担子胞子のサイズが小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula luteotacta
本種と異なり襞が直生~僅かにやや離生するのではなく垂生する
本種と異なり襞の間隔が広い
本種と異なり肉が白色ではなく黄変する
本種と異なり肉が脆いのではなく堅い
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子の装飾が小鶏冠状~類網目状ではなくほとんどの場合個々独立する
Russula martinica
本種より子実体のサイズが大きい
本種より傘の直径が大きい
本種より担子器が短い
本種より担子胞子の装飾が低い
本種より側シスチジアが短い
Russula nana
担子胞子の装飾が不完全な網目状
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり広葉樹林ではなく高山帯の草地に発生する
本種と異なり肉に様々な味がある
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種より担子胞子の装飾が低い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula perlactea
本種と異なり傘表面が湿時やや粘性~粘性
本種と異なり傘表皮が縁部から1/4だけしか剥がれないのではなく完全に剥がすことができる
本種と異なり柄が白色~淡黄橙色ではなく帯桃肉桂色
本種より担子胞子のサイズが大きい
Russula rhodomelanea
本種と異なり襞の間隔が広い
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく酢酸アミル臭がある
本種と異なり肉が触れると黒変する
Russula silvestris
本種と異なり砂質土壌に発生する
本種と異なり傘縁部に溝線を有する
本種と異なり襞が白色~ごく淡い橙色ではなく帯灰クリーム色
本種と異なり傘表皮の末端細胞が短い
Russula stuntzii
本種と異なり広葉樹林ではなく針葉樹林に発生する
本種と異なり傘縁部に小瘤状条線を有する
本種と異なり傘表面に粘性を有する
本種と異なり襞がしばしば二叉分岐するのではなく稀にしか二叉分岐しない
Russula auraiacearum
ヒマラヤ~雲南省にかけての地域に分布する
肉眼的形態が類似している(誤同定のおそれがある)
傘が明るい帯赤色
柄が類白色
本種と異なり胞子紋が白色ではなく帯黄色
本種より側シスチジアが短い
本種と異なり傘シスチジアを欠く
Russula binchuanensis
本種より担子器のサイズが大きい
本種より担子器の小柄が長い
本種と異なり傘シスチジアを欠く
Russula chichuensis
本種と異なり柄が白色~淡黄橙色ではなく帯黄色で桃色を帯びる
本種と異なり担子胞子の装飾が小鶏冠状~類網目状ではなく個々独立するか部分的に網目をなす
本種と異なり傘シスチジアを欠く
Russula handelii
本種と異なり肉が白色ではなく帯灰色
本種と異なり肉が黄変する
本種と異なり担子胞子の装飾が小鶏冠状~類網目状ではなく完全に個々独立する
本種と異なり傘シスチジアが無色
Russula puincea
本種と異なり胞子紋が白色ではなく淡い帯黄色
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種より側シスチジアが短い
Russula taliensis
本種と異なり肉に強い辛味があるのではなく温和
本種と異なり担子胞子の装飾が小鶏冠状~類網目状ではなく分離した疣状
本種より側シスチジアが短い
Russula atrorubens
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり広葉樹林ではなく針葉樹林に発生する
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく酢酸アミル臭がある
本種より担子胞子のサイズが小さい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国チベット自治区シガツェ地区ドモ県下司馬鎮

(新種)

Russula pseudopectinatoides G.J. Li & H.A. Wen
語源…偽のRussula pectinatoides
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【よく似た種との区別】
Russula pectinatoides(ニセクサハツ)
襞に僅かに~中程度に辛みがある
肉が温和~僅かに辛い
傘シスチジアを欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなく北米などに分布する
本種と異なり柄の頂部から全体が微毛状~微細な糠状である
本種と異なり精子臭または悪臭がある
本種より担子胞子の装飾が高い
本種と異なり側シスチジアが鈍頭のことがある
本種と異なり傘表皮の菌糸の末端細胞が小頭状か先細りになるか、または短い突起を有する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula praetervisa
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなくヨーロッパなどに分布する
本種と異なり柄の基部に帯紫赤色の斑点を有する
本種と異なり肉に温和~僅かに辛みがあるのではなく不快な苦みがある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなくゴム臭または魚臭がある
本種より担子胞子の装飾が高い
Russula amoenolens(コキチャハツ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林または混交樹林のコナラ属植物の付近に発生する
本種と異なり中国ではなくヨーロッパなどに分布する
本種と異なり襞に中程度~強い辛味がある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく通常強い刺激臭がある
本種より担子胞子のQ値が大きい
本種より担子胞子の装飾が高い
本種と異なり担子胞子の装飾がしばしば繋がり畝や部分的な網目をなすのではなくほとんどの場合個々独立する
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula farinipes(コクサハツ)
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林に発生する
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく果実臭がある
本種と異なり胞子紋がクリーム色ではなく白色
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子の装飾がしばしば繋がり畝や部分的な網目をなすのではなく分離した疣状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula foetens(クサハツ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく強い辛味がある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく不快臭がある
本種より担子胞子の装飾が高い
本種と異なり担子胞子の装飾がしばしば繋がり畝や部分的な網目をなすのではなく分離した疣状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula fragrantissima
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘縁部が平滑または僅かに条線状
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなくベンズアルデヒド臭または強い悪臭がある
本種より担子胞子の装飾が高い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula grata(クサハツモドキ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり針葉樹林ではなく落葉樹林またはその針葉樹との混交林に発生する
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく吐き気のするような辛味がある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなくベンズアルデヒド臭がある
本種より担子胞子の装飾が高い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula hortensis
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林に発生する
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく乾燥すると強いアンチョビまたは干物臭がある
本種と異なり担子胞子の装飾がしばしば繋がり畝や部分的な網目をなすのではなくほぼ完全な網目をなす小鶏冠状
本種より側シスチジアが短い
Russula illota
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林のブナ属植物の付近に発生する
本種と異なり子実体が中型~大型
本種より傘の直径が大きい
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく強い苦扁桃臭がある
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula inamoena
本種と異なり針葉樹林ではなくオーク林に発生する
本種と異なり肉が切断するとレモン色に変色する
本種より担子胞子の装飾が高い
本種より側シスチジアが長い
Russula insignis
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり柄の基部に帯黄色の被膜を伴う
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく温和
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく果実臭がある
本種と異なり胞子紋がクリーム色ではなく淡クリーム色
本種と異なり傘表皮の菌糸に結晶を伴う
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula pallescens
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく辛味がある
本種と異なり胞子紋がクリーム色ではなく白色
本種より子実層シスチジアが長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula pectinata(クシノハタケ)
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく吐き気のするような刺激的な味がある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく不快臭がある
本種より担子胞子のサイズが小さい
Russula putida
本種と異なり子実体が中型~大型
本種より傘の直径が大きい
本種と異なり傘表面に粘性を欠く
本種より担子器の幅が広い
本種より担子胞子の装飾が高い
Russula sororia(キチャハツ)
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林に分布する
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく刺激的な味がある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく精子臭がある
本種と異なり担子胞子の装飾がしばしば繋がり畝や部分的な網目をなすのではなくほとんどの場合分離した疣状
Russula subfoetens
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林および混交林のコナラ属樹木の付近に発生する
本種と異なり傘中央部が強く帯褐橙色を帯びる
本種と異なり傘の縁部が乾燥時暗い橙黄色を帯びる
本種と異なり襞に刺激的な味がある
本種と異なり担子胞子の装飾がしばしば繋がり畝や部分的な網目をなすのではなくほとんどの場合分離した疣状
Russula cerolens
本種と異なり中国ではなく北米などに分布する
本種と異なり柄が帯赤褐色を帯びる
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく強い辛味がある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく不快臭がある
本種と異なり傘シスチジアを有する
Russula granulata
本種と異なり中国ではなく北米などに分布する
本種と異なり傘表面が糠状
本種と異なり柄頂部が微毛状
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく僅かに精子の味がするか辛味があることがある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく僅かに悪臭があるかココアのような臭いがある
Russula lilacipes
本種と異なり中国ではなく北米などに分布する
本種と異なり傘縁部に条線を欠く
本種と異なり柄が帯紫赤色、帯赤紫色、紫色などを帯びる
Russula pulverulenta
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国ではなく北米などに分布する
本種と異なり傘表面が羊毛状
本種と異なり柄の頂部または全体が糠状または微細な繊維状
本種と異なり傘表皮の菌糸の末端細胞が時に疎らに疣状
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Russula ventricosipes
本種と異なり中国ではなく北米などに分布する
本種と異なり子実体がしっかりとしている
本種と異なり傘を帯褐桃色、帯黄褐色、褐色、帯赤褐色の薄い層が覆う
本種と異なり柄を帯褐桃色、帯黄褐色、褐色、帯赤褐色の薄い層が覆う
本種より担子胞子が長い
本種より担子胞子の幅が狭い
本種と異なり担子胞子が類球形~広楕円形ではなく倒卵形、楕円形、長楕円形
Russula dubiana
アジアに分布する
本種と異なり中国ではなくインドなどに分布する
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林に発生する
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり担子胞子の装飾が高い
本種と異なり担子胞子の装飾がしばしば繋がり畝や部分的な網目をなすのではなく主に分離した疣状
本種と異なり傘シスチジアが小頭状
Russula fusogrisea
アジアに分布する
本種と異なり中国ではなくスリランカなどに分布する
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林に発生する
本種と異なり担子胞子の装飾がしばしば繋がり畝や部分的な網目をなすのではなく分離した疣状
本種より側シスチジアが短い
本種と異なり側シスチジアの内容物がスルフォバニリン陰性
Russula natarajanii
アジアに分布する
本種と異なり中国ではなくインドなどに分布する
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林に発生する
本種と異なり傘が傷ついたり老成したりしても変色しない白色~帯黄白色
本種より担子器が短い
Russula periglypta
アジアに分布する
本種と異なり中国ではなくスリランカなどに分布する
本種と異なり針葉樹林ではなく広葉樹林に発生する
本種と異なり胞子紋がクリーム色ではなく類白色
本種より担子胞子の装飾が高い
Russula punctipes
中国に分布する
本種と異なり柄に淡い帯黒色の点を生じる
本種より担子器の幅が広い
本種より担子胞子の装飾が高い
Russula senecis(オキナクサハツ)
アジアに分布する
本種と異なり中国ではなく日本などに分布する
本種と異なり肉が温和~僅かに辛みがあるのではなく辛味がある
本種と異なり肉に特別な臭いがないのではなく強い悪臭がある
本種と異なり柄に淡黄褐色の点を生じる
本種より担子胞子の装飾が高い
Russula tsokae
アジアに分布する
本種と異なり中国ではなくインドなどに分布する
本種より子実体のサイズが大きい
本種より傘の直径が大きい
本種と異なり肉が傷ついても変色しない
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種より担子胞子の装飾が高い