(仮訳)中国産エノキタケ属菌の種多様性:新変種および新産種
Ge, Z-W. et al., 2015. Species diversity of Flammulina in China: new varieties and a new record. Mycosystema. Available at: https://www.researchgate.net/publication/280696631_Species_diversity_of_Flammulina_in_China_new_varieties_and_a_new_record [Accessed August 21, 2015].
【R3-02123】2015/08/22投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

形態形質および分子系統解析の結果に基づき、Flammulina velutipesに2変種、filiformisおよびhimalayanaを記載した。
両変種はヨーロッパおよび米国産の基本種と異なる系統を形成し、形態的にも僅かな差異が認められた。
また、Flammulina populicolaを中国新産種として報告した。
中国雲南省昆明市昆明植物園

(新変種)

Flammulina velutipes var. filiformis Z.W. Ge, X.B. Liu & Zhu L. Yang
語源…糸形の(傘上表皮が主に細長い菌糸からなることから)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Flammulina velutipes var. lactea
本変種と異なり中国、韓国、カナダではなくオランダなどに分布する
本変種と異なり子実体が帯黄色~黄褐色ではなく象牙色で乾燥すると白色
本変種より担子胞子のサイズが大きい
本変種と異なり担子胞子が楕円形~長楕円形ではなく円筒形
Flammulina velutipes var. lupinicola
本変種と異なり中国、韓国、カナダではなく米国などに分布する
本変種と異なり様々な広葉樹ではなくLupinus arboreusに特異的に寄生する
本変種より担子胞子のサイズが大きい
Flammulina velutipes var. himalayana
中国に分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本変種と異なり中国(雲南省以外)、韓国、カナダにおける分布が知られていない
本変種と異なり傘上表皮が直立する細長い糸状菌糸からなる粘毛被ではなく紡錘状~極めて不規則形のいばら状のハイフィディアに由来する不規則な糸状菌糸からなる粘毛被
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国雲南省徳欽県シャングリラ県洛吉郷

(新変種)

Flammulina velutipes var. himalayana Z.W. Ge, Kuan Zhao & Zhu L. Yang
語源…ヒマラヤの
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Flammulina velutipes var. lactea
本変種と異なり中国ではなくヨーロッパに分布する
本変種と異なり子実体が黄褐色ではなく象牙色
本変種より担子胞子が長い
本変種と異なり担子胞子が細長い楕円形ではなく円筒形
Flammulina velutipes var. lupinicola
本変種と異なり中国ではなく米国などに分布する
本変種と異なりLupinus arboreusに特異的に寄生する
本変種より担子胞子のサイズが大きい
Flammulina velutipes var. filiformis
中国に分布する
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本変種と異なり中国(雲南省以外)、韓国、カナダにおける分布が知られている
本変種と異なり傘上表皮が紡錘状~極めて不規則形のいばら状のハイフィディアに由来する不規則な糸状菌糸からなる粘毛被ではなく直立する細長い糸状菌糸からなる粘毛被
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(中国新産種)

Flammulina populicola Redhead & R.H. Petersen
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Flammulina yunnanensis
中国に分布する
担子胞子が小型
傘上表皮が子実層状被
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり中国において温帯ではなく温暖な地域に分布する
本種と異なりヤマナラシ属ではなくブナ科植物やその他の広葉樹を宿主とする
本種より子実体が細長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Flammulina rossica
中国に分布する
形態的に区別が困難なほど類似していることがある
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子胞子が長い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Flammulina rossica Redhead & R.H. Petersen
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Flammulina velutipes(エノキタケ)
形態的に区別が困難なほど類似していることがある
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり傘上表皮が子実層状被ではなく粘毛被
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Flammulina populicola
中国に分布する
形態的に区別が困難なほど類似していることがある
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子胞子が短い
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Flammulina velutipes (Curtis) Singer
エノキタケ
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Flammulina velutipes var. filiformis
傘上表皮が粘毛被
傘上表皮の菌糸先端が分枝し糸状~絞扼状
傘シスチジアが紡錘状槍形
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりヨーロッパ、米国などではなく中国、韓国、カナダにおける分布が知られている
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なり”ixohyphidia”が頻繁に分枝するという特徴を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される