(仮訳)Puccinellia distansに感染する網目状の胞子を持つ黒穂菌の新種、Tilletia puccinelliae
Bao, X. et al., 2010. Tilletia puccinelliae, a new species of reticulate-spored bunt fungus infecting Puccinellia distans. Mycologia.…. Available at: http://www.mycologia.org/content/102/3/613.short [Accessed August 19, 2014].
【R3-01017】2014/08/19投稿

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3行まとめ

中国の天津出入境検験検疫局で、米国ワシントン州産のPuccinellia distansの種子が黒穂菌に感染しているのが発見された。
罹病小花からは不規則な形状の網目状装飾を持つ胞子が見出され、病原菌は胞子の装飾と発芽様式の特徴からTilletia属菌と同定された。
形態学的検討と複数遺伝子に基づく分子系統解析の結果から、本種をT. puccinelliaeとして新種記載した。
USA, Washington, Franklin County

(新種)

Tilletia puccinelliae Carris, Castl. & G. Huang
語源…チシマドジョウツナギ属の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Tilletia bromi
米国ワシントン州に分布する
黒穂胞子が褐色~暗赤褐色
黒穂胞子の装飾が類似している
黒穂胞子の”exospore”の深さの範囲が重なる
不稔細胞の壁の厚さの範囲が重なる
一次担子胞子のサイズの範囲が重なる
一次担子胞子が糸状
担子器あたりの一次担子胞子の数の範囲が重なる
EF1-α+ITS1+RPB2に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりPuccinellia distansではなくBromus tectorumを宿主とする
本種より胞子堆が長い(3倍までの長さになる)
本種より黒穂胞子のサイズが小さい
本種と異なり黒穂胞子が類球形~多角形ではなく球形
本種と異なり黒穂胞子の直径あたりの網目の数が6-10(-14)ではなく7-9
本種と異なり黒穂胞子の発芽が5°Cではなく5-15°Cで起こる
本種と異なり黒穂胞子の発芽が10-12日目ではなく7-21日目に起こる
本種より不稔細胞のサイズが大きい
EF1-α+ITS1+RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tilletia goloskokovii
胞子堆のサイズの範囲が重なる
胞子堆の形状が類似している
黒穂胞子のサイズの範囲が重なる
黒穂胞子の色が類似している
黒穂胞子の装飾が類似している
不稔細胞の壁の厚さの範囲が重なる
一次担子胞子が糸状
本種と異なりPuccinellia distansではなくApera interruptaを宿主とする
本種と異なり黒穂胞子が褐色~暗赤褐色ではなく淡黄褐色~暗黄褐色
本種と異なり黒穂胞子が類球形~多角形ではなく球形
本種より黒穂胞子の”exospore”が深い
本種と異なり黒穂胞子の直径あたりの網目の数が6-10(-14)ではなく4-8
本種と異なり黒穂胞子の発芽が5°Cではなく5-10°Cで起こる
本種と異なり黒穂胞子の発芽が10-12日目ではなく7-24日目に起こる
本種より不稔細胞のサイズが大きい
本種と異なり担子器あたりの一次担子胞子の数が9-16ではなく22-26
本種より一次担子胞子のサイズが小さい
EF1-α+ITS1+RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tilletia sphaerococca
米国太平洋岸北西部に分布する
黒穂胞子のサイズの範囲が重なる
黒穂胞子の発芽が5°Cで起こる
不稔細胞のサイズの範囲が重なる
不稔細胞の壁の厚さの範囲が重なる
一次担子胞子のサイズの範囲が重なる
一次担子胞子が糸状
本種と異なりPuccinellia distansではなくAgrostis stoloniferaを宿主とする
本種より胞子堆のサイズが小さい
本種より黒穂胞子の”exospore”が深い
本種と異なり黒穂胞子が褐色~暗赤褐色ではなく淡黄褐色~暗褐色
本種と異なり黒穂胞子が類球形~多角形ではなく球形
本種と異なり黒穂胞子の直径あたりの網目の数が6-10(-14)ではなく5-10
本種と異なり黒穂胞子の発芽が10-12日目ではなく22-30日目に起こる
本種と異なり担子器あたりの一次担子胞子の数が9-16ではなく26-32
EF1-α+ITS1+RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tilletia vankyi
米国太平洋岸北西部に分布する
植物検疫の過程で発見された
黒穂胞子のサイズの範囲が重なる
黒穂胞子の”exospore”の深さの範囲が重なる
黒穂胞子の発芽が5°Cで起こる
不稔細胞のサイズの範囲が重なる
不稔細胞の壁の厚さの範囲が重なる
一次担子胞子のサイズの範囲が重なる
一次担子胞子が糸状
 罹病小花が黒穂胞子で満たされる
本種と異なりPuccinellia distansではなくLolium属およびFestuca属の植物を宿主とする
本種と異なり全身感染ではなく局所感染の可能性がある
本種より胞子堆のサイズが大きい
本種と異なり黒穂胞子が褐色~暗赤褐色ではなく淡赤褐色~赤褐色
本種と異なり黒穂胞子が類球形~多角形ではなく球形
本種と異なり黒穂胞子の直径あたりの網目の数が6-10(-14)ではなく5-8
本種と異なり5°Cでの黒穂胞子の発芽が10-12日目ではなく14日目以降に起こる
本種と異なり担子器あたりの一次担子胞子の数が9-16ではなく24-40
本種と異なり一次担子胞子の”conjugation”を欠く
EF1-α+ITS1+RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Tilletia poae
宿主が”tribe Poeae”に属する
黒穂胞子のサイズが類似している
黒穂胞子に網目状装飾を持つ
本種と異なり北米に分布しない
本種と異なりPuccinellia distansではなくPoa属植物を宿主とする
本種より黒穂胞子の形状が規則的
本種より黒穂胞子の”exospore”が深い