(仮訳)多肉質菌類の大西洋を挟んだ隔離 (1): Sparassis crispa種複合体
Hughes, KW., Segovia, AR. & Petersen, RH., 2014. Transatlantic disjunction in fleshy fungi. I. The Sparassis crispa complex. Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-013-0927-1 [Accessed October 23, 2014].
【R3-01215】2014/10/24投稿

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3行まとめ

Sparassis crispa種複合体の多数の標本について検討を行い、地理的分布と相関する僅かな形態学的差異を認めた。
生物学的種概念を検討するために大規模な交配試験を行い、北米産とヨーロッパ産の複数の形態学的・系統学的種が互いにある程度交配可能であることを示した。
北米産の標本がヨーロッパ産S. crispaと区別可能であることを示し、S. americanaおよびS. americana f. arizonicaの新規分類群を記載した。
United States, Tennessee, Blount Co., GSMNP, Cades Cove

(新種)

Sparassis americana R.H. Petersen
語源…アメリカの
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【よく似た種との区別】
Sparassis radicata
同じS. crispa種複合体に含まれる
米国に分布する
子実層外面下層および側糸に付着するゼラチン質または粘液質の物質がKOHに不溶と思われる
外側の実質の菌糸の不規則に膨大した細胞の形状が類似している
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で近縁
互いに交配可能
本種と異なり北米大西洋岸~南西部ではなく西部に分布する
本種と異なり温帯雨林に生息する
本種より末端の裂片のサイズがやや大きい
本種と異なり末端の裂片が顕著な帯黄色~黄色
本種ほど末端の裂片が複雑に浅裂しない
本種より子実層背面の側糸が長い
本種ほど子実層背面の側糸が分枝しない
本種と異なり側糸にしばしば2つ以上のクランプが見出される
本種より外側の実質の菌糸の不規則に膨大した細胞のサイズがやや小さい
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sparassis americana f. arizonica
米国に分布する
マツ属樹木と関係を持つ
形態的に類似している(区別が困難)
側糸のクランプが通常基部に限られる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
互いに交配可能で雑種を形成する
本種と異なり北米東部ではなく米国南西部に分布する
本種と異なり通常ストローブマツ、テーダマツ、ダイオウショウではなくポンデローサマツと関係を持つ
本種と異なり子実体が類白色~クリーム色ではなくクリーム色で通常桃色またはカンタループ色を帯びる
本種より末端の裂片のサイズが大きい
本種と異なり末端の裂片が全縁ではなく全縁または通常溝、フリルを生じるか浅裂する
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sparassis crispa
同じS. crispa種複合体に含まれる
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で近縁
互いに交配可能
本種と異なり北米ではなくヨーロッパに分布する
本種より末端の裂片のサイズが小さい(印象がある)
本種より末端の裂片が薄い(印象がある)
本種より末端の裂片が繊細(印象がある)
本種と柄の顕微鏡的形質で区別される(可能性がある)
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
United States, Arizona, Pima Co. Coronado Nat. Forest, Santa Catalina Mts., Mt. Bigelow

(新品種)

Sparassis americana f. arizonica R.H. Petersen
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【よく似た種との区別】
Sparassis americana
米国に分布する
マツ属樹木と関係を持つ
形態的に類似している(区別が困難)
側糸のクランプが通常基部に限られる
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
互いに交配可能で雑種を形成する
本品種と異なり北米南西部ではなく米国東部に分布する
品種と異なり通常ポンデローサマツではなくストローブマツ、テーダマツ、ダイオウショウと関係を持つ
品種と異なり子実体がクリーム色で通常桃色またはカンタループ色を帯びるのではなく類白色~クリーム色
品種より末端の裂片のサイズが小さい
品種と異なり末端の裂片が全縁または通常溝、フリルを生じるか浅裂するのではなく全縁
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Austria, Opferholz, Viktring (Klagenfurt am Wörthersee), Kärnten

(その他掲載種)

Sparassis crispa (Wulfen) Fr.
※本種のエピタイプを指定した。
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【よく似た種との区別】
Sparassis radicata
同じS. crispa種複合体に含まれる
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で近縁
互いに交配可能
本種と異なりヨーロッパではなく北米に分布する
本種より末端の裂片のサイズが大きい(印象がある)
本種と異なり末端の裂片が顕著な帯黄色~黄色
本種より末端の裂片が厚い(印象がある)
本種ほど末端の裂片が繊細でない(印象がある)
本種ほど末端の裂片が複雑に浅裂しない
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sparassis americana
同じS. crispa種複合体に含まれる
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で近縁
互いに交配可能
本種と異なりヨーロッパではなく北米に分布する
本種より末端の裂片のサイズが大きい(印象がある)
本種より末端の裂片が厚い(印象がある)
本種ほど末端の裂片が繊細でない(印象がある)
本種と柄の顕微鏡的形質で区別される(可能性がある)
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
United States, Washington, King Co., vic. Enumclaw, Federation Forest State Par

(その他掲載種)

Sparassis radicata Weir
※本種のエピタイプを指定した。
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【よく似た種との区別】
Sparassis americana
同じS. crispa種複合体に含まれる
米国に分布する
子実層外面下層および側糸に付着するゼラチン質または粘液質の物質がKOHに不溶と思われる
外側の実質の菌糸の不規則に膨大した細胞の形状が類似している
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で近縁
互いに交配可能
本種と異なり北米西部ではなく大西洋岸~南西部に分布する
本種と異なり温帯雨林に生息しない
本種より末端の裂片のサイズがやや小さい
本種と異なり末端の裂片が顕著な帯黄色~黄色でない
本種より末端の裂片が複雑に浅裂する
本種より子実層背面の側糸が短い
本種より子実層背面の側糸が分枝する
本種と異なり側糸にしばしば2つ以上のクランプが見出されるという特徴を欠く
本種より外側の実質の菌糸の不規則に膨大した細胞のサイズがやや大きい
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Sparassis crispa
同じS. crispa種複合体に含まれる
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で近縁
互いに交配可能
本種と異なり北米ではなくヨーロッパに分布する
本種より末端の裂片のサイズが小さい(印象がある)
本種と異なり末端の裂片が顕著な帯黄色~黄色でない
本種より末端の裂片が薄い(印象がある)
本種ほど末端の裂片が繊細である(印象がある)
本種より末端の裂片が複雑に浅裂する
ITSおよびITS+LSUに基づく分子系統解析で明瞭に区別される