(仮訳)中国北部においてカホクザンショウに潰瘍病を引き起こしたFusarium属2新種およびFusarium torreyaeを含む新規クレード
Zhou, X. et al., 2016. Two novel Fusarium species that cause canker disease of prickly ash (Zanthoxylum bungeanum) in northern China form a novel clade with Fusarium torreyae. Mycologia. Available at: http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3852/15-189 [Accessed July 23, 2017].
【R3-04232】2017/07/23投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

中国北部の5省においてカホクザンショウの衰退を引き起こしている原因菌を分離し、分子系統解析を実施した。
Fusarium torreyaeに近縁な2種の未記載種をそれぞれF. zanthoxyliおよびF. continuumとして新種記載した。
また、これら3種を含む系統を新規のF. torreyae種複合体 (FTOSC) クレードとしてまとめた。
中国陝西省銅川市耀州区孫塬鎮

(新種)

Fusarium zanthoxyli X. Zhou, T. Aoki, K. O’Donnell & Z.M. Cao
語源…サンショウ属の
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Fusarium torreyae
スポロドキアの分生子が長い
スポロドキアの分生子の形状が細長い
RPB1+RPB2、ITS、EF1-α、RPB2に基づく分子系統解析で近縁(同じFTOSCクレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなく米国などに分布する
本種と異なりカホクザンショウではなくカヤ属植物などを宿主とする
本種より分生子が長い(隔壁数同一のものを比較した時)
本種と異なり分生子の頂部細胞が嘴状でない
本種と異なり分生子の基部細胞が突出するという特徴を欠く
本種と異なり分生子の上半分ではなく中程の幅が最も広くなることが多い
本種と異なり分生子の隔壁数が7-9ではなくより多い
本種と異なり気生の分生子を欠く
RPB1+RPB2、ITS、EF1-α、RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium continuum
同所的に分布する(中国陝西省)
同じカホクザンショウを宿主とする
宿主に潰瘍病の症状を引き起こす
分生子が鎌形
分生子の上半分で最も幅が広いことが多い
最適生長温度が25°Cのことがある
RPB1+RPB2、ITS、EF1-α、RPB2に基づく分子系統解析で近縁(同じFTOSCクレードに含まれる)
本種と異なり分生子の頂部細胞が嘴状でない
本種と異なり分生子の基部細胞が顕著に内側に突出するという特徴を欠く
本種と異なりSNA培地で楕円形、棍棒形~舟形で直線状または僅かに屈曲し、頂部がほとんどの場合丸く、基部が丸いか截断状の分生子を形成する
本種と異なり気生の分生子を欠く
本種より最適生長温度が高い傾向がある
本種より25°Cでの生長速度の範囲が狭い
本種より30°Cでの生長が速い
RPB1+RPB2、ITS、EF1-α、RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
中国陝西省渭南市富平県宮里鎮雷村

(新種)

Fusarium continuum X. Zhou, T. Aoki, K. O’Donnell & Z.M. Cao
語源…連続する(気生およびスポロドキアの分生子柄および分生子の形態学的連続性から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Fusarium torreyae
RPB1+RPB2、ITS、EF1-α、RPB2に基づく分子系統解析で近縁(同じFTOSCクレードに含まれる)
本種と異なり中国ではなく米国などに分布する
本種と異なりカホクザンショウではなくカヤ属植物などを宿主とする
本種より分生子が長い(隔壁数同一のものを比較した時)
本種と異なり分生子の上半分ではなく中程の幅が最も広くなることが多い
本種と異なりスポロドキアの7隔壁分生子の形成が稀でない
本種と異なり気生の分生子を欠く
本種と異なり時に暗青色の菌核を形成するという特徴を欠く
RPB1+RPB2、ITS、EF1-α、RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Fusarium zanthoxyli
同所的に分布する(中国陝西省)
同じカホクザンショウを宿主とする
宿主に潰瘍病の症状を引き起こす
分生子が鎌形
分生子の上半分で最も幅が広いことが多い
最適生長温度が25°Cのことがある
RPB1+RPB2、ITS、EF1-α、RPB2に基づく分子系統解析で近縁(同じFTOSCクレードに含まれる)
本種と異なり分生子の頂部細胞が嘴状
本種と異なり分生子の基部細胞が顕著に内側に突出する
本種と異なりSNA培地で楕円形、棍棒形~舟形で直線状または僅かに屈曲し、頂部がほとんどの場合丸く、基部が丸いか截断状の分生子を形成するという特徴を欠く
本種より最適生長温度が低い傾向がある
本種より25°Cでの生長速度の範囲が広い
本種より30°Cでの生長が遅い
RPB1+RPB2、ITS、EF1-α、RPB2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される