🗓️ 最終更新日: 2025-05-29
- 植物に寄生して黒色粉状の胞子塊を形成し、「黒穂病」を引き起こします🌾
- 主にイネ科やカヤツリグサ科などの単子葉植物に高い宿主特異性を示します
- 顕微鏡で見ると黒穂胞子(テリオスポア)という特徴的な休眠胞子を形成します🔍
- 二型性を示し、単相の酵母状と重相の菌糸状の2つの形態を持ちます✨
- 胞子塊は多くの場合花や種子を置き換えるように形成され、宿主の外観を大きく変えます
- 隔壁孔に「septal pore cap」という特殊な超微細構造が存在し、これがハラタケ亜門とは異なる構造です
- 宿主との間に拡大した「enlarged interaction zones」という領域を形成し、その部分で栄養を摂取しますが、綱内での重要な分類形質にもなっています🌱
クロボキン綱は担子菌門に属する植物寄生性菌類で、いわゆる「黒穂病」を引き起こすグループです。感染した植物の花や種子が黒い粉(胞子塊)に置き換わる様子は、まさに「黒い穂」!主にイネ科やカヤツリグサ科の単子葉植物に寄生し、農業上重要な病原菌も多く含まれます。酵母のような単細胞の時期と、菌糸を伸ばして植物に侵入する時期を使い分ける二型性という興味深い生活環を持っています。
クロボキン綱(Ustilaginomycetes)は担子菌門・クロボキン亜門(Ustilaginomycotina)に属し、サビキン亜門やハラタケ亜門と並ぶ主要な系統群です。現在の分子系統解析により、本綱は4つの目(Ustilaginales、Urocystidales、Cintractiellales、Violaceomycetales)に分類されています。
歴史的には全ての黒穂菌がUstilago属に分類されていましたが、分子系統解析により多系統であることが判明し、Mycosarcoma、Anthracocystis、Langdoniaなどの新属が設立されました。また、酵母状のPseudozyma属が実は多くのクロボキン目菌類の無性世代であることも明らかになり、「One Fungus = One Name(1F=1N)」の原則に基づく大規模な再分類が進行中です。
全世界のiNat観察記録が最多の目(約6,000件)で、宿主の花を置き換えて黒色粉状の胞子塊を形成することが多いです。Ustilago属(オオムギの黒穂病菌など)、Sporisorium属(ソルガムの黒穂病菌)、Mycosarcoma属(トウモロコシ黒穂病菌、旧Ustilago maydis)などを含みます。花序全体に感染し、コルメラと呼ばれる構造を形成する種もあります。
観察記録約1,000件で2番目に多い目。独特の胞子塊の構造を持ち、中央の黒穂胞子を無色の不稔胞子が取り囲むのが特徴です。Urocystis属(ライムギの黒穂病菌)、Doassansiopsis属(水生植物に寄生)、Melanotaenium属などを含みます。葉や茎に黒色の条斑を形成することが多いです。
iNat観察記録は全世界で僅か1件という希少な目。Cintractiella属のみを含み、カヤツリグサ科Mapanioideae亜科に特異的に寄生します。感染部位に偽小穂(pseudo-spikelets)を形成し、黒穂胞子が網目状の特徴的な模様を持つことで識別できます。熱帯地域に分布が限られています。
現在までiNat観察記録が0件という最も謎に包まれた目。米国ルイジアナ州から記載されたViolaceomyces palustris1種のみを含む目で、サンショウモ属シダの葉に寄生して帯灰紫色〜濃青色のコロニーを形成するとされています。2細胞性の砂時計型~ピーナッツ型の酵母細胞の形態をとるほか、射出胞子も形成するという独特の性質が知られています。
クロボキン綱の菌類は基本的に植物寄生菌として生活していますが、その生態は実に多様です。多くの種は陸生環境でイネ科やカヤツリグサ科などの単子葉植物に寄生しますが、Urocystidales目の一部(Doassansiopsis属など)は水生植物にも適応しています。
二型性という特徴により、単相の酵母状態では腐生的に生活し、異なる交配型の細胞が出会うと重相の菌糸状態となって植物に侵入します。宿主との相互作用部位には特殊な構造を形成し、効率的に栄養を摂取します。興味深いことに、一部の種(Pseudozyma属として知られていた酵母)は植物に寄生せず自由生活を送ることもあります。
実践的な観察のコツ:クロボキン綱の菌類を見つけるには、まず宿主植物の花や種子を注意深く観察しましょう。黒い粉が付いていたら大当たり!顕微鏡で黒穂胞子を観察する際は、①大きさと形、②表面の装飾(平滑・疣状・網目状など)、③色の濃さをチェック。可能なら発芽実験を行い、発芽時に形成されるプロマイセリウムと担子器の形態を観察すると種の同定に役立ちます。最近はITS領域など分子マーカーによる同定も一般的になってきました。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。