(仮訳)Hymenoscyphus serotinusおよび新種H. lepismoides:高い宿主特異性を持つ材生息性の2種
Baral, H-O., Bemmann, M., 2013, Hymenoscyphus serotinus and H. lepismoides sp. nov., two lignicolous species with a high host specificity. Ascomycete.org. Available at: http://www.ascomycete.org/en-us/journal.aspx [Accessed April 20, 2014].
【R3-00629】2014/04/21投稿

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3行まとめ

ヨーロッパブナの枝に発生する普通種で、ヨーロッパ以外の地域ではブナ以外、あるいは葉や果実に発生すると誤解されてきたHymenoscyphus serotinusについて検討した。
本種と同定された、中国吉林省産の葉に発生した標本を検討した結果、本種ではなく、H. vaciniに近縁な別の種と考えられた。
また、かつて本種と混同されたことがあった、ルクセンブルクなどに分布し、セイヨウシデの枝に発生する種を、H. lepismoidesとして新種記載した。

※本論文に対するエラッタが公開されている。

Luxembourg: Wiltz, Doncols

(新種)

Hymenoscyphus lepismoides Baral & Bemmann
語源…セイヨウシミ属のような(子嚢胞子の形状がセイヨウシミ、Lepisma saccharinaに似ていることから)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Hymenoscyphus serotinus
子実体が晩秋に発生する
子実体の肉眼的形態が非常に類似している
子嚢盤が樹木の枝に発生する
子嚢盤のサイズが非常に類似している
子嚢盤が黄色
長い柄を持つ傾向がある
子嚢胞子が顕著に”heteropolar”のscutula型である
子嚢胞子が鞘に包まれる
本種と異なりセイヨウシデではなくヨーロッパブナを宿主とする
本種と異なり樹木に付着したままの枝に発生する
本種より子嚢のサイズが顕著に小さく、特に幅が狭い
本種と異なり子嚢の基部に鉤状構造を持つ
本種より子嚢胞子のサイズがずっと小さい
本種と異なり子嚢胞子が弓形でより屈曲する
本種と異なり子嚢胞子の両端に細毛を欠く
本種と異なり子嚢胞子の鞘が胞子の射出後に分離し、付着したままにならない傾向がある
Hymenoscyphus scutula
子嚢胞子の形状が類似している
子嚢胞子に細毛を持つ
子嚢胞子頂部の細毛がしばしば嘴状の突出部分に側生する
本種と異なり材ではなく草本の茎に発生する
本種と異なり基質が子座化しない
本種と異なり子嚢盤が鮮黄色でない
本種より子嚢胞子のサイズがずっと小さい
本種と異なり胞子の両端にしばしば2つ以上の細毛を持つという特徴を欠く
本種より子嚢胞子の油滴のサイズが大きい
Hymenoscyphus trichosporus
子嚢盤が黄橙色
子嚢胞子の両端に細毛を持つ
本種と異なりセイヨウシデではなくハンノキ属樹木を宿主とする
本種と異なり子嚢基部に鉤状構造を持つ(ただし持たないとする記録もある)
本種より子嚢胞子がずっと短い
本種と異なり子嚢胞子が”homopolar”で円筒状楕円形
Baden-Württemberg, Heidelberg, Königstuhl

(その他掲載種)

Hymenoscyphus serotinus (Pers. : Fr.) W. Phillips
※本種のエピタイプを指定した。
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Hymenoscyphus lepismoides
子実体が晩秋に発生する
子実体の肉眼的形態が非常に類似している
子嚢盤が樹木の枝に発生する
子嚢盤のサイズが非常に類似している
子嚢盤が黄色
長い柄を持つ傾向がある
子嚢胞子が顕著に”heteropolar”のscutula型である
子嚢胞子が鞘に包まれる
本種と異なりヨーロッパブナではなくセイヨウシデを宿主とする
本種と異なり樹木に付着したままの枝に発生する特徴を欠く
本種より子嚢のサイズが顕著に大きく、特に幅が広い
本種と異なり子嚢の基部に鉤状構造を持たない
本種より子嚢胞子のサイズがずっと大きい
本種と異なり子嚢胞子が弓形ではなく稀にしか屈曲しない
本種と異なり子嚢胞子の両端に(1-)2-3本の目立つ細毛を持つ
本種と異なり子嚢胞子の鞘が胞子の射出後も分離せず、特に基部に付着したままになる傾向がある
Hymenoscyphus virgultorum
材に発生する
子嚢胞子が顕著に”heteropolar”のscutula型である
子嚢胞子に細毛を持たない
本種と異なりヨーロッパブナではなくハンノキ属、トネリコ属、コナラ属、モチノキ属など様々な樹木の枝に発生する
本種と異なり子嚢の基部に鉤状構造を持たない
本種より子嚢胞子が短い
本種より子嚢胞子の幅が広い
Hymenoscyphus conscriptus
子嚢の基部に鉤状構造を持つ
子嚢胞子に細毛を持たない
本種と異なりヨーロッパブナではなくヤナギ属樹木に発生する
本種より子嚢胞子が短い
本種より子嚢胞子の幅が広い
本種ほど子嚢胞子がscutula型でない
Hymenoscyphus calyculus
本種とごく近縁である
子嚢の基部に鉤状構造を持つ
子嚢胞子に細毛を持たない
本種と異なりヨーロッパブナだけではなく様々な樹木に発生する
本種より子嚢胞子が短い
本種と異なり子嚢胞子が弓形ではなく直線に近い
本種と異なり子嚢胞子が僅かにしか先細りにならない
Hymenoscyphus subferrugineus
子嚢の基部に鉤状構造を持つ
子嚢胞子に細毛を持たない
本種と異なりヨーロッパブナだけではなく様々な樹木に発生する
本種より子嚢胞子が短い
Hymenoscyphus trichosporus
子嚢の基部に鉤状構造を持つ(ただし持たないとする記録もある)
本種と異なりヨーロッパブナではなくハンノキ属樹木に発生する
本種より子嚢胞子が短い
本種と異なり子嚢胞子が”homopolar”で円筒状楕円形
本種と異なり子嚢胞子に細毛を持つ