2014年3月9日 (仮訳)予期せぬ出来事:東南アジアの熱帯域における被実性ベニタケ科菌類の代表例 Verbeken, A., et al., 2014. Tales of the unexpected: angiocarpous representatives of the Russulaceae in tropical South East Asia. Persoonia. Available at: http://www.persoonia.org/Issue/32/02.pdf [Accessed March 9, 2014]. 【R3-00479】2014/03/09投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ 東南アジア(スリランカ・タイ)の熱帯域から、6種のチチタケ属のシクエストレート菌の新種を報告した。 ITS、LSU、rpb2に基づく分子系統解析で、各種のチチタケ属および亜属内での位置づけを明らかにし、検索表を作成した。 スリランカの一部地域において、被実性のチチタケ属菌の多様性は思いがけず高いことが確認され、腹菌化に向かう進化は、従来推測されてきたよりも強いことが示唆された。 Sri Lanka, near Sinharaja Forest (新種) Lactarius pomiolens Verbeken & Stubbe 語源…リンゴの(子実体の臭いから) 【よく似た種との区別】 Lactarius saturnisporus 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 担子胞子の装飾が翼状 担子胞子のサイズが本種より小さい(10 μmを超えない) ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius shoreae Plinthogalus亜属に含まれる 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 同所的に分布する 担子胞子の装飾が翼状 担子胞子のサイズが本種より小さい(10 μmを超えない) ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius echinus Plinthogalus亜属に含まれる 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 担子胞子が大型 本種と異なり担子胞子の装飾が高い翼状ではなくトゲ状 ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Sri Lanka, Kudawa, near Shinharaja Forest Reserve (新種) Lactarius saturnisporus Verbeken & Stubbe 語源…土星の胞子の 【よく似た種との区別】 Lactarius pomiolens 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 担子胞子の装飾が翼状 担子胞子のサイズが本種より大きい(10 μmを超える) ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius shoreae Plinthogalus亜属に含まれる 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 担子胞子のサイズが10 μmを超えない 本種より担子胞子の翼の装飾が大きい 本種と異なり担子胞子に顕著な横方向の条線を持たない 本種と異なり表皮が糸状柵状被ではなく柵状被~糸状柵状被 本種と異なり子実体に顕著なスライムの層を欠く ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius lignyotus(クロチチタケ) Plinthogalus亜属に含まれる ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりアジアではなくヨーロッパに分布する 本種と異なり子実体が被実性でない ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius acris(ハイイロカラチチタケ) Plinthogalus亜属に含まれる ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりアジアではなくヨーロッパに分布する 本種と異なり子実体が被実性でない ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Sri Lanka, Kudawa, near Shinharaja Forest Reserve (新種) Lactarius shoreae Stubbe & Verbeken 語源…Shorea属の 【よく似た種との区別】 Lactarius pomiolens 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 担子胞子の装飾が翼状 担子胞子のサイズが本種より大きい(10 μmを超える) ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius saturnisporus Plinthogalus亜属に含まれる 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 担子胞子のサイズが10 μmを超えない 本種より担子胞子の翼の装飾が小さい 本種と異なり担子胞子に顕著な横方向の条線を持つ 本種と異なり表皮が柵状被~糸状柵状被ではなく糸状柵状被 本種と異なり子実体に顕著なスライムの層を持つ ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius echinus Plinthogalus亜属に含まれる 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種と異なり担子胞子の装飾が翼状ではなく独立したトゲ状 ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius crassiusculus Plinthogalus亜属に含まれる 東南アジアの熱帯域に分布する ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり子実体が被実性でない ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Sri Lanka, near Sinharaja Forest (新種) Lactarius echinellus Verbeken & Stubbe 語源…ウニ(ハリネズミ)の(担子胞子が小型でトゲ状であることから) 【よく似た種との区別】 Lactarius echinus Plinthogalus亜属に含まれる 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 担子胞子の装飾が独立したトゲ状 ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり担子器が4胞子性ではなく2胞子性 本種より担子胞子のサイズが大きい ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Arcangeliella lactifera 外皮が淡色 子実体が球形・類球形・扁球形または不規則な形状になる 柄またはコルメラを欠く 白色の乳液を分泌する 担子胞子の装飾が独立したトゲ状 本種と異なりスリランカではなく中国に分布する 本種と異なり担子器が4胞子性ではなく2胞子性 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種と異なり表皮が平行菌糸被 Zelleromyces ramispinus 白色の乳液を分泌する 担子胞子の装飾が独立したトゲ状 本種と異なりスリランカではなく中国に分布する 本種と異なり2胞子性の担子器を持つ 本種と異なり担子胞子の装飾が先端で2-3裂する 本種と異なり表皮が平行菌糸被 Arcangeliella densa 担子胞子の装飾が独立したトゲ状 本種と異なりスリランカではなくタイに分布する 本種とことなり発達した柄を持つ(ただし、著者らはこの形質の安定性を疑っている) 本種よりも担子胞子の装飾が小さい(1 μmを超えることがない) 本種と異なり担子胞子の装飾がトゲ状ではなく不規則な疣状になることもある Sri Lanka, near Sinharaja Forest (新種) Lactarius echinus Stubbe & Verbeken 語源…ウニ(ハリネズミ)の(担子胞子の形態から) 【よく似た種との区別】 Lactarius echinellus Plinthogalus亜属に含まれる 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 担子胞子の装飾が独立したトゲ状 ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なり担子器が2胞子性ではなく4胞子性 本種より担子胞子のサイズが小さい ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される Lactarius pomiolens 同所的に分布する 子実体が被実性 白色の乳液を分泌する 本種と異なり担子胞子の装飾がトゲ状ではなく高い翼状 ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で明瞭に区別される ThaiLand, Chiang Mai Prov., Mae Tang District, Ban Mae sae village (新種) Lactarius falcatus Verbeken & Van de Putte 語源…鎌形の(担子胞子の装飾の形状から) 【よく似た種との区別】 Martellia nanjingensis アジアに分布する 白色の乳液を分泌する 担子胞子が2胞子性 本種と異なり乳液に黄変性がない(と思われる) 本種より担子胞子の装飾が低く、1.5 μmを超えない 本種と異なり担子胞子の装飾が決して鎌形にならず、鈍頭の円錐形 Lactarius quietus(チョウジチチタケ) Russularia亜属に含まれる ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりタイではなくヨーロッパに分布する 本種と異なり子実体が被実性でない Lactarius camphoratus(ニセヒメチチタケ) Russularia亜属に含まれる ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりタイではなくヨーロッパに分布する 本種と異なり子実体が被実性でない Lactarius helvus Russularia亜属に含まれる ITSおよびITS+LSU+rpb2に基づく分子系統解析で近縁 本種と異なりタイではなくヨーロッパに分布する 本種と異なり子実体が被実性でない