(仮訳)カンキツにせ黄斑病の原因酵母の再分類およびSporobolomyces productusS. corallinusの2新種の提唱
Furuya, N., Takashima, M. & Shiotani, H., 2012. Reclassification of citrus pseudo greasy spot causal yeasts, and a proposal of two new species, Sporobolomyces productus sp. nov. and S. corallinus sp. nov. Mycoscience. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s10267-011-0163-y [Accessed December 16, 2013].
【R3-00147】2013/12/16投稿

【お読みください】
大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。

3行まとめ

日本で柑橘類に発生するカンキツにせ黄斑病 (PGS) は、カンキツ黄斑病 (CGS) とは原因菌も防除法も異なるが、しばしば混同されるため、原因菌の判別法の開発が必要である。
カンキツにせ黄斑病を起こす酵母は1986年にSporobolomyces roseusと同定されていたが、本研究で同定の誤りが明らかになった。
本研究では、分類学的再検討の結果に基づいて2新種を記載するとともに、接種試験により、それらの菌が確かにカンキツにせ黄斑病の主な原因菌であることを示した。
鹿児島県

(新種)

Sporobolomyces productus N. Furuya et M.Takash
語源…形成する
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Sporobolomyces subbrunneus
D1/D2領域に基づく分子系統解析で近縁(同じ「Subbrunneus系統」に属する)
YMA培地でのコロニーの性状が類似する
左右非対称の射出胞子を盛んに形成する
CMA培地で培養すると1か月以上にわたって射出胞子を形成し続ける
最大生長温度が30°C付近
本種と異なりD-グルコン酸、キシリトール、クエン酸を資化できる
ITS領域の塩基配列に違いが見られる(相同性は96.2%)
Sporobolomyces roseus
最大生長温度が30°C付近
本種と異なりD-アラビノース、マルトース、メレジトース、セロビオースを資化できる
本種と異なりα,α-トレハロース、D-グルシトール、グリセロール、リビトール、DL-乳酸を資化できない
D1/D2領域に基づく分子系統解析で系統が遠く離れる
宮崎県

(新種)

Sporobolomyces corallinus N. Furuya et M. Takash
語源…珊瑚の(コロニーの色から)
mycobank_logoSpecies_Fungorum

【よく似た種との区別】
Sporobolomyces dimmenae
D1/D2領域に基づく分子系統解析でごく近縁(同じ「Subbrunneus系統」に属する)
本種と異なりグリセロール、リビトール、DL-乳酸を資化できない
最大生長温度が本種(28-29°C)よりも低い24-25°Cである
Sporobolomyces roseus
最大生長温度が30°C付近
本種と異なりD-アラビノース、マルトース、ラフィノース、メレジトース、水溶性デンプンを資化できる
本種と異なりα,α-トレハロース、グリセロール、リビトール、D-グルシトール、DL-乳酸を資化できない
D1/D2領域に基づく分子系統解析で系統が遠く離れる

その他の分類学的措置

  • 本論文で新種記載された2種はいずれも、分子系統解析でSporobolomyces属の基準種であるS. roseusと異なる系統をなしたことから、将来的に他の属に移される可能性があるが、暫定的に両種をSporobolomyces属に置いた。