🗓️ 最終更新日: 2025-01-01
- 植物の葉や茎に白い粉をまぶしたような菌糸が広がる、まさに「うどん粉」のような見た目です✨
- 絶対寄生菌として生きた植物にしか感染せず、吸器(haustorium)で表皮細胞から栄養を吸収します🌿
- 分生子の形成様式は鎖生型(連なって形成される)と単生型(1個ずつ形成される)の2タイプに大別されます📿
- 閉子嚢殻(chasmothecia)は直径約0.1mmほどで極小ですが、かろうじて目視できます。付属糸の形状が属の識別に重要です🔍
- 分生子内にフィブロシン体(fibrosin bodies)という屈折性の構造を持つ属(Podosphaera、Sawadaeaなど)があります💎
- 宿主特異性が高く、例えばBlumeria属はイネ科植物のみ、Sawadaea属は主にカエデ科に感染します🍁
- 発芽管から形成される付着器(appressoria)の形態(単純型・裂片状・120°の角度で分岐など)も重要な識別形質です🌱
ウドンコカビ科(Erysiphaceae)は、植物の葉や茎に白い粉をまぶしたような外観を作り出す「うどんこ病」の原因菌です。世界中で900種以上、18属が知られ、約10,000種の被子植物に感染します。一見単純に見える白い粉も、顕微鏡で見ると美しい分生子の連鎖や特徴的な付属糸など、驚くほど多様な形態を持っています。絶対寄生菌として生きた植物からしか栄養を得られない、植物との密接な関係を持つ菌群です。
ウドンコカビ科は子嚢菌門(Ascomycota)・チャワンタケ亜門(Pezizomycotina)・ズキンタケ綱(Leotiomycetes)・ビョウタケ目(Helotiales)に属します。分子系統解析により5つの主要な系統グループに分かれることが判明し、これは主に無性世代の形態と一致しています。
近年の分類学的再編は劇的で、かつて独立属とされたMicrosphaeraやUncinulaはErysiphe属に、SphaerothecaはPodosphaera属に統合されました。付属糸の形態による従来の分類は収斂進化の結果である可能性が高く(つまり、その形態のみでは正確に分類できない)、分生子形成様式などの無性世代の特徴がより系統関係を反映していることが分かっています。東アジアが地理的起源である可能性が高く、約2000万年前の中新世に主要な系統分化が始まったと推定されています。
連(tribe)とは科と属の間に置かれる分類階級です。この連はイネ科植物のみに寄生する唯一の連で、単子葉植物への適応という特殊な進化を遂げました。Blumeria属のみを含み、最も有名な種はムギ類うどんこ病菌(B. graminis)です。分生子は鎖生し、閉子嚢殻には複数の子嚢が含まれます。農業上極めて重要な病原菌群です。
分生子内にフィブロシン体という特殊な屈折性構造を持つのが最大の特徴です。Podosphaera属(木本・草本両方に寄生)、Sawadaea属(主にカエデ類)、Cystotheca属(主に木本植物)を含みます。分生子は鎖生し、円筒形または円錐形で、側面から発芽して幅広い棍棒状の発芽管を形成します。
ウドンコカビ科最大の連で、全種の50%以上を占めるErysiphe属を含みます。分生子は単生し、フィブロシン体を持ちません。付属糸の形態は多様で、単純な菌糸状から二叉分岐状、鉤状まで様々です。最も多様な宿主範囲を持ち、裂片状の吸器が特徴的です。
鎖生する分生子を形成し、明確なフィブロシン体を持たないのが特徴です。Golovinomyces属は主にキク科やシソ科などの草本植物に、Neoerysiphe属は様々な草本植物に寄生します。分生子は樽形または楕円形で、表面に網目状の皺ができることがあり、主に末端で発芽します。
他の連と異なり、植物体の表面ではなく内部に寄生する種を含む特異なグループです。Leveillula属は真の内生菌糸を形成し、気孔を通じて分生子柄を外部に出す唯一の属です。Phyllactinia属は主に木本植物に寄生し、閉子嚢殻に剛毛状で先端が膨らむ付属糸を持つのが特徴的です。
ウドンコカビ科の菌類は全て絶対寄生菌で、生きた植物からしか栄養を得られません。宿主特異性は種によって大きく異なり、単一の植物種にのみ感染する高度に特化した種から、複数の植物科にわたって感染する広い宿主範囲を持つ種(多犯性菌)まで様々です。
生活環は典型的な子嚢菌類のパターンを示し、分生子による無性生殖で急速に拡散し、季節の終わりに有性生殖で閉子嚢殻を形成します。閉子嚢殻は越冬構造として機能し、翌年の第一次感染源となります。温暖で乾燥した条件を好み、葉面が濡れていると感染しにくいという特性があります。
実用的な同定の流れ:①まず宿主植物を正確に同定します。これが一番大事!多くの種は宿主特異的です。「日本植物病名データベース」で検索しましょう!→②閉子嚢殻が見られれば付属糸や子嚢、子嚢胞子を観察(無性世代での同定は難しいので、初めは分かりやすい付属糸を持つ閉子嚢殻を作っているものを狙って観察するのがよいです)→③分生子の形成様式を確認(鎖生型か単生型か)→④フィブロシン体の有無を確認(コットンブルー、ヨウ化カリウムなどで染色すると見やすくなる)→⑤可能なら付着器の形態を水滴培養で観察。特に同じ宿主に2種類以上のうどんこ病菌が知られている場合、形態だけでは限界があるかも…!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。