🗓️ 最終更新日: 2026-01-17
- 子嚢菌門チャワンタケ亜門に属し、無弁の子嚢(子嚢の先端に弁を持たない)が最大の特徴です🔬
- 子実体は多くが杯状〜円盤状の子嚢盤を形成しますが、その他にも形態は極めて多様です🍄
- 子嚢の先端にアミロイドの先端リングを持つものが多いです。つまりヨード試薬で青色に染まります✨
- 子嚢胞子は多くが無色で、楕円形・紡錘形・糸状など形状は属により様々です
- 生態は腐生菌・植物病原菌・内生菌・菌根菌・糞生菌・動物病原菌と驚くほど多様です🌱
- うどんこ病菌(Erysiphales)も分子系統的にはこの綱に含まれ、形態的多様性の幅広さを示しています🦠
- 約19目・54科以上を含む大きな分類群で、記載済み種は全体の5〜7%程度と推定されています📊
- 外被層の組織構造や側糸の形態が科・属レベルの同定に重要です🔍
ズキンタケ綱(Leotiomycetes)は子嚢菌門チャワンタケ亜門に属する大きな分類群です。「無弁子嚢」を持つことが最大の共通特徴ですが、形態的にも生態的にも極めて多様で、腐生菌から植物病原菌、菌根菌、さらには動物病原菌まで様々な生態的役割を担う種を含んでいます。記載済みの種は全体のごく一部に過ぎず、未知の多様性が眠っているグループです。
ズキンタケ綱は2025年のJohnston & Parkによる最新の多遺伝子系統解析では、約19の目と54以上の科が認められています。特にビョウタケ目(Helotiales)は綱内最大の目ですが、分子系統的に多系統である可能性が指摘されており、今後の再分類が予想されます。
興味深いことに、形態的には全く異なる閉子嚢殻を持つうどんこ病菌(Erysiphales)も、分子系統解析ではビョウタケ目の一部として位置づけられています。また、2019年以降に4つの新目、17の新科、約84の新属が記載されるなど、分類学的研究が急速に進展している分野です。
ズキンタケ綱で最大かつ最も多様な目で、約25〜30科を含みます。杯状〜円盤状の子嚢盤を形成するものが多く、子嚢は薄壁で先端がわずかに肥厚します。腐生菌、植物病原菌、内生菌、菌根菌など生態も多様。分子系統的に多系統である可能性があり、将来の再分類が予想されています。植物病原菌として重要な属を多数含みます。
主に植物病原菌・内生菌として知られ、針葉樹や広葉樹の葉・枝に感染します。子実体は宿主組織内に発達し、成熟時に裂開して開くのが特徴。子嚢胞子は細長い糸状で、ゼラチン質の鞘を持つものが多いです。特にRhytisma、Lophodermium、Cudoniaなどの属が有名です。
綱名の由来となったLeotia(ズキンタケ属)を基準属とする目です。ゼリー状の頭部を持つ柄のある子実体を形成するものから、小型の円盤状のものまで形態は多様。Microglossum(舌状の子実体)、Tympanis(円盤状)なども含まれます。
うどんこ病(Powdery mildews)を引き起こす絶対寄生菌の一群で、約900種を含みます。形態的には他のズキンタケ綱と大きく異なり、閉子嚢殻を形成。これは小型で黒褐色であり、属によって異なる特徴的な付属糸を持ちます。宿主特異性が高く、約1万種以上の被子植物に寄生するといいます。代表属はErysiphe、Blumeria、Podosphaeraなど。
多くは糞生で、小型の子実体を形成します。子嚢は多胞子性(8〜1000個以上の胞子を含む)のものが多いのが特徴。耐冷性の種も多く、極地や高山に適応した種を含みます。Pseudogymnoascus destructansはコウモリの白鼻症候群を引き起こす病原菌として、北米で深刻な問題となっています。
ズキンタケ綱の生態的多様性は驚くべきもので、あらゆる陸上生態系で重要な役割を果たしています。腐生菌として木材や落葉を分解し物質循環を担うもの、植物病原菌として農林業に大きな影響を与えるもの(菌核病、うどんこ病、灰色かび病など)、植物組織内で無症状に生育する内生菌、植物の根と共生するエリコイド菌根菌など、栄養摂取様式は多岐にわたります。
生息環境も森林から草原、さらには糞上や低温環境(極地・高山)まで幅広く、この生態的多様性が環境DNAとしてズキンタケ綱が頻繁に検出される理由の一つです。温帯域(特に北半球)に多くの種が記録されていますが、これは研究努力の偏りを反映している可能性があり、熱帯域にも未発見の種が多数存在すると考えられています。
同定の流れ:①まず、葉上に閉子嚢殻を作るものはうどんこ病菌→②子嚢盤を形成するものは子嚢先端のヨード反応(アミロイドの先端リング)を調査→③子嚢胞子の形状・隔壁・鞘の有無を観察→④外被層の組織構造と側糸の形態をチェック→⑤生育基質と宿主情報を記録。形態的特徴は変異が大きいため、最終的な同定には分子系統解析が有効です。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。