🗓️ 最終更新日: 2025-05-30
- 子嚢菌門の大規模な綱で、閉子嚢殻型の子実体を持つグループが中心です🍄
- 約3,810種が認められ、うち1,200種以上が地衣類という第三の地衣化された綱です✨
- 主要3亜綱:ケートチリウム亜綱(黒色酵母・極限環境菌)、ユーロチウム菌亜綱(アオカビ・コウジカビが代表的!)、アリピンゴケ亜綱(マザエジウム型)に分かれます📊
- ケートチリウム亜綱は常にメラニン化(黒色)し、極端な環境(岩石・洞窟・高塩分)に適応しています🖤
- ユーロチウム菌亜綱は原生壁子嚢(prototunicate asci)を持ち、抗生物質や食品の製造に重要な菌類を含みます💊
- アリピンゴケ亜綱はマザエジウム(粘性子実層上皮)を形成し、地衣類や他の菌類に寄生・共生します🔍
- 下で紹介していないマイナーな亜綱に「ヤドリクロビョウタケ亜綱(Sclerococcomycetidae)」があります。クロヒメサラタケは関東の里山でもたまに見られますよ!🎨
- かつて「不整子嚢菌類」と呼ばれていた菌群の多くを含み、分子系統解析の結果を基に再編成されました🧬
ユーロチウム菌綱(Eurotiomycetes)は子嚢菌門の中でも特に多様性に富んだグループです。「不整子嚢菌類」として知られていた閉子嚢殻型の菌類を中心に、黒色酵母、地衣類、そして私たちの生活に欠かせないコウジカビやアオカビまで含む大所帯!極限環境から冷蔵庫まで、あらゆる場所で活躍する「縁の下の力持ち」たちです。実は一般的に「きのこ」として認識されているカキノミタケ、マユハキタケ、ツチダンゴあたりもこのグループなんです!
ユーロチウム菌綱は子嚢菌門・チャワンタケ亜門に属し、1997年にErikssonとWinkaによって設立されました。当初はユーロチウム目とホネタケ目のみでしたが、分子系統解析により大幅に拡大し、現在は5つの亜綱、10の目、34の科、289の有効な属を含みます。
興味深いことに、祖先状態再構築分析により、ユーロチウム菌綱の共通祖先は開放型子嚢果(子嚢盤型)を持っていたと推定されています。閉鎖型子嚢果は、ユーロチウム菌亜綱では閉子嚢殻型、ケートチリウム亜綱では子嚢殻型として、それぞれ独立に進化したようです。マザエジウム構造も複数の系統で並行進化した好例です。
全世界のiNat観察記録数最多(約19,000件)の亜綱で、常にメラニン化した黒色の菌糸を持つのが最大の特徴。極限環境(岩石、洞窟、高塩分環境)に適応した種が多く、黒色酵母(Exophiala、Cladophialophora)や地衣類を含みます。子嚢殻型(開口部あり)の子実体を形成。ヒトの日和見感染菌も多く、クロモブラストミコーシスなどの原因となります。
産業的に最重要の亜綱(iNat約7,000件)。閉子嚢殻(完全に閉鎖)と原生壁子嚢が特徴。顕微鏡を覗くとコウジカビ属(Aspergillus)は頭状の分生子形成構造、アオカビ属(Penicillium)は筆状構造で識別可能。ペニシリン生産、チーズ熟成、クエン酸製造など人類に多大な貢献をしてきたグループです。一方でマイコトキシン(アフラトキシンなどカビ毒)産生や日和見感染症の原因にも。
観察記録約3,000件。マザエジウムを柄の先端に形成する特殊な構造が特徴。二重壁子嚢を持ち、一部はヘミアミロイド反応を示します。主に地衣類や他の菌類に寄生・共生し、樹皮や材上に生息。アリピンゴケ目(Mycocaliciales)が主要な目で、腐生性から寄生性まで多様な栄養摂取様式を示します。
ユーロチウム菌亜綱の重要な目で、ケラチン分解能を持つ種が多いのが特徴。水虫(白癬)など皮膚糸状菌症の原因となるアースロデルマ科(Arthrodermataceae)、ブラストマイセスやヒストプラズマやコクシジオイデス(医真菌学分野の錚々たるメンバー…!)など全身性真菌症を引き起こす菌を含むアジェロマイセス科を含みます。毛髪、角質、羽毛などを分解し、動物の皮膚や肺に感染する医学的に重要なグループです。
ユーロチウム菌綱は地球上のあらゆる環境に適応し、多様な生態的役割を担っています。ケートチリウム亜綱は極限環境のパイオニアとして、岩石表面、洞窟、高塩分環境、さらには芳香族炭化水素で汚染された地域にまで進出。その黒色のメラニン色素は紫外線や乾燥から身を守る強固な鎧となっています。
ユーロチウム菌亜綱は人類文明と深い関わりを持ち、発酵食品から医薬品(ペニシリン、スタチン)まで幅広く貢献。一方で、穀物のマイコトキシン汚染や免疫不全患者への日和見感染など、警戒すべき側面も。アリピンゴケ亜綱は森林生態系で地衣類や樹皮上の微小な世界を形成し、物質循環に寄与しています。
実用的な同定の流れ:野外での同定において、綱としての認識は現実的ではありませんが…、学問的に追求したい方は①まず子実体の形態を確認(閉子嚢殻・子嚢殻・マザエジウム型)→②菌糸や分生子の色(特に黒色かどうか)→③分生子形成様式→④生息環境(極限環境・食品・医療環境など)→⑤可能なら分子同定(ITS領域など)という同定を!肉眼的形態だけでは限界があるため、培養と分子解析の併用が推奨されます!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。