🗓️ 最終更新日: 2025-08-12
- 子宮形子嚢殻(ヒステロセシウム)という黒い船形の子実体を形成し、縦方向の裂け目から胞子を放出します🚢
- 湿度に応じて開閉する裂開部を持ち、開くと凸レンズ状の子実層が露出します💧
- 子嚢は二重壁(bitunicate)で、通常8個の子嚢胞子を含みます🔍
- 子嚢胞子は2細胞~多細胞で、横隔壁のみから縦隔壁が混じるものまで多様な形態を示します📊
- 木質基質上の腐生菌として枯死木や樹皮上に生育し、世界中に広く分布します🌍
- 属により胞子の隔壁パターンが異なり、Hysteriumは横隔壁のみ、Hysterobreviumは縦隔壁も持ちます✨
- 分子系統解析により形態的に類似した隠蔽種が多数存在することが判明しています🧬
ヒステリウム科(Hysteriaceae)は「子宮形子嚢殻」と呼ばれる特徴的な船型の子実体を形成する子嚢菌の一グループです。この黒く硬い構造は縦方向の裂け目を持ち、湿度に応じて開閉して胞子を放出します。分子系統解析により従来の形態分類は大きく見直され、現在ではHysterium属、Rhytidhysteron属、Hysterobrevium属など複数の属に再編成されています。
ヒステリウム科は子嚢菌門・クロイボタケ綱(Dothideomycetes)・Pleosporomycetidae亜綱・ヒステリウム目(Hysteriales)に属し、この目の唯一の現存科として認識されています。分子系統解析により、本科はプレオスポラ目と姉妹群の関係にあることが明らかになりました。
従来の形態分類は大きく改訂され、かつてのGlonium属は現在Anteaglonium属(プレオスポラ目)、Glonium属(グロニウム科)、Psiloglonium属(本科)に分割されています。また、船型の子宮形子嚢殻は収斂進化により少なくとも5回独立に進化したことが示されており、形態的特徴のみに基づく分類の限界が明らかになりました。
本科の基準属で、約400種という最多の種を含みます。iNat観察記録も科内最多の約750件。典型的な船型の黒い子宮形子嚢殻を形成し、子嚢胞子は3つ以上の横隔壁を持つ有色胞子です。基準種Hysterium pulicareは世界中の枯死木上に普通に見られ、末端の細胞が中央より淡色を示す特徴的な胞子を持ちます。
船形から皿状に開く特徴的な子実体を持ち、子実層は緑・黄・橙・赤・ワイン色・黒など多彩な色を示します。KOH滴下で特徴的な色素滲出が見られます。熱帯・亜熱帯に多く分布。R. rufulumは広範囲に分布しますが、実は複数の隠蔽種を含む複合種の可能性があります。
比較的新しく設立された属で、網状胞子(dictyospores)を持つのが特徴。H. moriは形態的変異が極めて大きく、1832年の記載以来28ものシノニムが提案されています。分子系統解析により、形態的に類似した複数の隠蔽種を含むことが判明しており、正確な同定には分子データが必要です。
以前はGlonium属の一部とされていましたが、現在は独立属として認識されています。無色または淡色の2細胞胞子を持ち、線形で細長い子宮型子嚢殻を形成。基質上に放射状に生じるか散生することが多く、他の属と比べて子嚢胞子が単純な構造を示すのが特徴です。
船型の黒い子宮型子嚢殻を形成し、子嚢胞子には横隔壁のほか縦隔壁が入ることもあります。胞子の最大の特徴は中央部の細胞が膨らむ傾向があること。
ヒステリウム科の菌類は世界中に広く分布し、主に温帯地域で多様性が高くなっています。特にiNat観察記録は北米東部とヨーロッパに集中しています。ほとんどの種は木質基質上の腐生菌として生活し、枯死木や樹皮の分解に重要な役割を果たしています。宿主選好性は種により異なりますが、多くの種は広範囲の樹種に生育可能です。
興味深いことに、Rhytidhysteron rufulumからは抗腫瘍活性を持つスピロビスナフタレン誘導体などの生物活性化合物が発見されており、創薬研究における潜在的重要性も注目されています。また、通常は腐生菌として知られるRhytidhysteron属の一部は、稀にヒトに感染し皮下フェオヒフォミコーシス(黒色菌糸症)という疾患を引き起こすことが熱帯地域から報告されています。
見分け方のコツ:枯れ木に黒い船型の構造を見つけたらヒステリウム科の可能性大!まず①裂開部が開いているか確認→②開いていれば子実層の色をチェック(カラフルならRhytidhysteron属)→③顕微鏡で胞子の隔壁パターンを観察(横隔壁のみ=Hysterium、縦横隔壁=Hysterobrevium、2細胞=Psiloglonium)。ただし形態だけでは隠蔽種を見分けられないことも多いので、正確な種同定には分子解析が必要な場合があります。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。