🗓️ 最終更新日: 2025-06-12
- 分生子は大型で扁平、扇形という他のカビにはない特徴的な形!網状胞子(dictyospore)に分類されます🔍
- 分生子は基部の単一細胞から放射状に細胞列が配列し、扇を広げたような美しい構造を作ります✨
- 成熟すると2つの葉状部が合わさって、密に圧着される独特な発達様式を示します
- 分生子形成様式はアレウロ型(aleuriospore)で、分生子柄は目立たないかほとんど無いことが多いです
- 主に腐朽材上に発生し、陸生種と水生種の両方が知られています💧
- 採集例の少ない、謎の多い属で、科レベルの所属はまだ不明(incertae sedis)🤔
- 世界で4種が記載され、熱帯〜暖温帯域に分布しています🌏
Mycoenterolobium属は、扇形の大型分生子で特徴づけられるアナモルフ菌の属です。その分生子は基部の単一細胞から放射状に細胞列が広がり、まるで扇を広げたような美しい構造です。1970年にGoosによってハワイで発見された基準種を皮切りに、現在までに4種が知られています。観察記録はごく少ないですが、GBIFには小笠原諸島、西表島からの記録があり、管理人は神奈川県、埼玉県、栃木県で見つけています。
本属は子嚢菌門・クロイボタケ綱・プレオスポラ目に含まれますが、それより下位の分類は未確定とされています。2020年のCalabonらの複数遺伝子に基づく分子系統解析により、テストゥディナ科のLepidosphaeria nicotiaeと姉妹群を形成することが示されました。
しかし、テストゥディナ科自体が形態的にも系統的にも異質性が高いため、本属の正確な分類学的位置は現在も明らかになっていません。興味深いことに、本属は同じく網状胞子を持つディクティオスポリウム科(Dictyosporiaceae)とは系統的に離れており、扇形の分生子という形態は収斂進化の結果と考えられています。米国とポーランドから知られていた謎の化石菌類、Kutchiathyrites eccentricusが近年本属に移されました(Worobiec et al., 2023)。
1970年にハワイで記載された属の基準種です。分生子は110-130 × 75-80 μmと本属で最も大型であり、褐色~黒色で光沢があります。分生子柄は目立たないか欠如し、主に陸上の腐朽材上に発生します。観察記録は極めて少なく、生態や分布の詳細はまだ不明な点が多いです。
2020年にタイから記載された唯一の淡水生の種です。分生子は45-92 × 43-104 μmで、15-25列の細胞列を持ちます。明瞭な分生子柄(7-22 μm)を持つ点で基準種と区別されます。沈水した腐朽材上に発生し、現在のところ分子系統解析データが得られている唯一の種でもあります。
2015年にインドから記載された小型種で、分生子は23.5-37.5 × 24.5-45.5 μmです。7-15列の細胞列を持ち、三角形から扇形の形状が特徴的。成熟すると中央に溝ができることがあります。分生子柄は3-9.5 μmと短く、0-1隔壁を持ちます。
2020年にインドのムンバイ近郊から記載された最新種です。分生子は25-100 × 20-60 μmとサイズの変異が大きく、5-14列の細胞列を持ちます。分生子柄は5-22 μmで本属菌としては長く、1-4隔壁を持つ点が特徴的。幅広い扇形構造を示し、都市近郊の森林でも見つかっています。
Mycoenterolobium属の全ての種は枯死した植物体を基質としています。陸生種は主に腐朽材や枯れ木の樹皮上に発生し、水生種は淡水中の腐朽材から知られています。熱帯〜温帯暖温域の高湿度環境を好み、特に雨季や湿潤な時期に胞子形成が活発になります。
本属は「気中水生菌類(半水生菌類)」(aero-aquatic hyphomycetes)とされ、水際環境で胞子形成が促進される特性を持ちます。これは、湿度の高い環境で分生子の発達が促され、水滴や霧の中で効率的に胞子を分散させる適応と考えられています。非常に稀な菌とあって、生態の詳細はまだ解明されていません。
見つけ方のコツ:高湿度の環境で腐朽が進んだ材を丁寧に観察しましょう。肉眼で黒々とした、平らな広がりが見られたらチャンス!ルーペでびっしり配列した扇形のきらきら輝く黒い胞子を見つけたら、光学顕微鏡で放射状の細胞配列を確認!分生子のサイズや細胞列あたりの細胞数、分生子柄の有無やサイズを測定すれば種同定も可能かも…?観察記録が少ないので、発見したら貴重な記録になります♪
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。