🗓️ 最終更新日: 2025-05-27
サビキン科(Pucciniaceae)は、植物にさび病を引き起こす重要な植物病原菌のグループです。世界で最も種数の多いさび菌属であるPuccinia属(約4,000種)とUromyces属(約800種)を含み、農業および非農業植物に重大な病害を引き起こします。宿主植物の葉や茎に特徴的なさび色の胞子堆を形成し、複雑な生活環と高い宿主特異性を持つことで知られています。
サビキン科は担子菌門・サビキン亜門(Pucciniomycotina)・サビキン綱(Pucciniomycetes)・サビキン目(Pucciniales)に属し、Uredinineae亜目に位置づけられています。サビキン目の中で最も新しく急速に進化した系統グループとされ、多様な宿主植物への適応を遂げています。
歴史的には、担子胞子と冬胞子の特徴により3-4科に分類されていました。その後、精子器の形態を重視した13科分類が標準となりましたが、分子系統解析により現在は18科に再編されています。特にPuccinia属とUromyces属は高度に多系統群であることが判明し、冬胞子の形態よりも宿主植物群に基づいた系統関係を示すことが明らかになっています。
サビキン科最大の属で、2細胞の冬胞子が特徴的です。横隔壁で分離された2つの細胞を持ち、褐色で厚い壁を持ちます。夏胞子は単細胞で球形~卵形、表面に刺状突起を持ちます。約4,000種を含み、イネ科やキク科など多様な宿主植物に感染しますコムギさび病(P. graminis)やコーヒーさび病(Hemileia vastatrix)など、農業上重要な病原菌を多数含みます。
単細胞の冬胞子を持つことでPuccinia属と区別されます。約800種を含み、マメ科植物に感染する種が多いのが特徴です。ダイズさび病(U. appendiculatus)など重要な農業病害を引き起こします。分子系統解析ではPuccinia属と系統的に近縁ですが、冬胞子の細胞数という単純な形質で区別されてきました。
2細胞の冬胞子に特徴的な壁の疣状装飾を持つ属です。夏胞子は球形~楕円形で複数の発芽孔を持ちます。観察記録は比較的多く、分子系統解析ではPuccinia属内に位置することもあるという興味深い系統的位置を示します。
内生型(エンドサイクリック)生活環という特殊な生活環を持ち、夏胞子を形成しません。代わりに冬胞子様のさび胞子を形成します。宿主内に内生菌糸を持ち、多年生植物に感染するのが特徴です。通常のさび菌とは異なる生活戦略を取る興味深いグループです。
冬胞子の各細胞に3つの発芽孔を持つという独特な特徴があります。壁が厚くならず、特徴的な表面構造を持つ夏胞子を形成します。系統的にはNovopucciniaに近縁とされ、観察記録は少ないものの形態的に明確に区別できる属です。
サビキン科の菌類は絶対寄生菌として、生きた植物組織からのみ栄養を得ることができます。最大5つの異なる胞子段階(精子器→さび胞子堆→夏胞子堆→冬胞子堆→担子器)を含む複雑な生活環を持ち、この複雑さは環境への適応と生存戦略の結果と考えられています。
多くの種は高い宿主特異性を示し、特定の植物科や属にのみ感染します。異種寄生性(heteroecious)の種は2つの異なる宿主植物間を交互に感染し、同種寄生性(autoecious)の種は単一の宿主で全生活環を完結します。温帯地域では冬胞子による越冬が一般的ですが、熱帯地域では休眠なしに連続的に感染サイクルを繰り返す種も存在します。
実用的な同定手順:①宿主植物を特定し、さび色の胞子堆を確認。宿主の同定が最重要! →②顕微鏡で冬胞子の細胞数をチェック(2細胞=Puccinia、単細胞=Uromyces)→③胞子の表面装飾(平滑・刺状・疣状)を観察 →④発芽孔の数と位置を確認 →⑤可能なら生活環のステージ(夏胞子・冬胞子など)を特定。これで種レベルの同定に近づけます!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。