🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
- 鮮やかな赤色~橙色の小さな盃状の子実体が最大の特徴です🍊
- 縁に暗色のまつ毛のような剛毛があることから「eyelash cup」とも呼ばれます👁️
- 直径は通常0.2~1.0cmと小型で、湿った木材や土壌上に群生します💧
- 柄はなく(無柄)、若い時は球形、成熟すると円盤状に開くのが典型的です
- 近縁属との識別は剛毛の色で:Scutellinia属は暗色、Cheilymenia属は黄色~透明です🔍
- 子嚢胞子は楕円形で表面に装飾(イボや網目模様)があり、種の同定には顕微鏡観察が必須です
- 世界中に広く分布し、特に春から秋の湿った時期に多く観察されます🌧️
- 子嚢の中でも先端に蓋のある有弁子嚢(operculate asci)を持ちます
アラゲコベニチャワンタケ属は、まるで「まつ毛」をつけた小さな赤いカップのような愛らしい姿で人気の子嚢菌です。英語では「eyelash cup」や「shield cup」と呼ばれ、世界中の湿った森で見つけることができます。直径1cm以下と小さいですが、その鮮やかな赤橙色は森の中でひときわ目立ち、まるで森の妖精が落としていった小さな器のようです。
アラゲコベニチャワンタケ属(Scutellinia)は子嚢菌門(Ascomycota)・チャワンタケ目(Pezizales)・ピロネマキン科(Pyronemataceae)に属する盃状菌類です。この科は形態的にも生態的にも極めて多様で、腐生、外生菌根、コケ共生、寄生など様々な生活様式を持つ種を含んでいます。
ピロネマキン科はチャワンタケ綱の中でも最大級の科ですが、近年の分子系統解析により多系統群であることが示唆されています。本属は分子データと形態データを組み合わせた研究により、約50の系統学的種が認識されています。
属の基準種で最も普通に見られる種。直径0.2~1.0cmの鮮やかな赤橙色の盃状子実体を形成し、縁には最大1cmの長い暗色剛毛が密生します。胞子は18-19×10-12μmの楕円形で、表面にわずかな疣状装飾があります。世界中に分布し、全ての大陸で記録されています。
円盤状の子実体で、縁に太い黒色の剛毛を持ちます。最大の特徴は胞子で、11-13×20-22μmとやや大型で表面が完全に滑らかな点が他種との識別ポイントです。胞子内には多数の油滴を含み、これも重要な識別形質となります。
属内には世界で100種以上が知られ、S. crinitaのようにS. scutellataと形態的に酷似する種も多数存在します。野外では属レベルまでの同定が限界で、種の正確な同定には胞子のサイズ・装飾パターン・剛毛の形態などの顕微鏡観察が不可欠です。最低20個の胞子を測定することが推奨されています。
アラゲコベニチャワンタケ属の種は全て腐生菌で、有機物を分解して森林生態系の物質循環に重要な役割を果たしています。湿った環境を好み、特に亜高山地域でよく見られますが、十分な水分があれば世界中の様々な環境で生育できます。
主に腐朽した木材上に発生しますが、湿った土壌、まれに灰の上、湿った落葉、時には他の菌類の上にも見られます。時には密に群生します。ポプラの切り株での研究では、木が切られてから2~4年後の菌類遷移の中間段階に出現することが示されています。
顕微鏡観察の必須ポイント:アラゲコベニチャワンタケ属の正確な種同定には顕微鏡が不可欠です。重要な観察項目は①胞子のサイズ(最低20個測定)②胞子表面の装飾パターン(疣状・網目状・平滑など)③剛毛の長さ・太さ・基部の形態④子嚢のサイズと形状です。野外では「赤いカップにまつ毛」で属レベルまでの同定を楽しみ、より深く知りたくなったら顕微鏡の世界へ!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。