🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
オオゴムタケ属(Trichaleurina)は、その特徴的な外見から一度見たら忘れられないキノコです。杯状から漏斗状の子実体の外側が褐色の剛毛でびっしりと覆われており、まるで毛むくじゃらのカップのよう。そして質感がまさにゴムのようにぷにぷにっとしています♪主に熱帯・亜熱帯地域の林床に発生する腐生菌です。
オオゴムタケ属は子嚢菌門(Ascomycota)・チャワンタケ綱(Pezizomycetes)・チャワンタケ目(Pezizales)・キリノミタケ科に属します。キリノミタケとは厚壁の子嚢と褐色の剛毛で覆われた子実体という共通の特徴を持ちます…確かに言われてみれば似ているかも?なお、ゴムタケは和名が似ていますが全然別のグループです!
歴史的には、本属はGaliella属の熱帯種として扱われていましたが、2013年のCarboneらの研究により形態学的特徴と分子系統解析に基づいて独立属として再確立されました。また、2008年のPfisterらの研究により、以前はピロネマ科(Pyronemataceae)に分類されていた本属がキリノミタケ科に再分類されることになりました。この再分類は複数遺伝子に基づく分子系統解析の結果に基づくもので、クロチャワンタケ科(Sarcosomataceae)の姉妹群であることも明らかになっています。
本属の代表種で、子実体は直径2-8cmと比較的大型。子嚢胞子は30-40×12-18μmで、楕円形から紡錘形、内部に1-3個の油滴を含みます。外側は褐色の円筒形剛毛で覆われ、先端は鈍く、壁には微細な顆粒があります。子嚢は380-450×12-20μmと非常に長大で、8個の胞子を含みます。側糸は糸状で先端がわずかに膨らむのが特徴です。材の上にもやもやっと生えるカビが本種の無性世代。季節によって有性世代のみ見られることも、無性世代のみ見られることも、両者が同じ材に同居していることもあります。
以前はGaliella javanicaとして知られていた種で、オオゴムタケと形態的に類似しますが、胞子内の油滴が通常2個という点で区別されます。インドネシア、マレーシア、中国南部、インド南部などに広く分布し、マレーシアではサバ州で「Mata Rusa」(鹿の目)またはサラワク州で「Mata Kerbau」(水牛の目)という俗名で呼ばれています。オオゴムタケとは分子系統解析により明確に区別される別種であることが確認されています。
オオゴムタケ属のきのこは高温多湿の環境を好み、熱帯乾燥常緑林から温帯林まで多様な森林環境で見つかります。他のキリノミタケ科やベニチャワンタケ科のきのこと同様に、子実体が発生する材が真っ黒になり堅くなるという特徴があります。これは材全体をきのこが菌核に変えてしまい(偽菌核プレート)、強固な耐久構造を作っているからだと考えられています…!
材上にはクマナサムハ様アナモルフ(Kumanasamuha-like anamorph)とよばれるカビが時に同時に発生しますが、これは本属菌の無性世代です。かつてはクマナサムハ属(Kumanasamuha)とされていましたが、Iturriaga et al. (2021) によりこれが誤認(つまり、似ているけど全く別のカビ)であることが明らかになりました。これもとても美しいので、ぜひ顕微鏡で観察してみてください!
見分け方のポイント:褐色の剛毛で覆われた、弾力のある漏斗状の子実体は非常に特徴的で、他のチャワンタケ類との区別は容易です。顕微鏡観察では、子嚢胞子の大きさと油滴の数が種の識別に重要。最も確実な同定にはITS領域などの分子解析が推奨されますが、形態的特徴だけでも属レベルの同定は十分可能です。日本の本土で見つかるものは、今のところオオゴムタケと種まで決めてしまってよさそうです。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。