🗓️ 最終更新日: 2025-11-04
- 子実体は1 mm前後の極小サイズで、椀形〜平らな皿状。色は無色・白色・黄色・橙色と多様です🔍
- 最大の特徴はクモの巣状の子実体形成菌糸層(subiculum)が基質上に発達すること!属名の由来でもあります🕸️
- 子実体の外面は顕著な毛に覆われ、種によって黄色の樹脂や色素が沈着します✨
- 胞子は細長い紡錘形〜針状で多隔壁(1-7隔壁)。一部の種では両端にゼラチン質の付属糸を持ちます
- 腐朽材(針葉樹・広葉樹)、蘚苔類(特にミズゴケ属やテガタゴケ属)、落葉など多様な基質に生育🌿
- 分子系統解析により4つの主要クレードに分けられ、コケ関連の種群と樹木を基質とする種群が明確に分かれます
- うどんこ病菌の最も近縁な現生系統として、植物病理学の研究でも注目されています🔬
- 新鮮な子嚢盤をルーペで見ると、流れ星のように子嚢胞子を勢いよく飛ばす様子が観察できるかもしれません…!☄
クモノスアカゲヒナチャワン属は腐生菌の一グループです。属名の由来となったクモの巣状の子実体形成菌糸層と、多隔壁の針状胞子が最大の特徴。子実体は辛うじて肉眼で確認できる極小サイズで、腐朽材や蘚苔類上に群生します。近年、多遺伝子系統解析(Kosonen et al., 2021)により分類が大幅に整理され、4つの主要クレードと新種が発見されました。近年では、うどんこ病菌の最も近縁な現生系統として植物病理学研究でも注目されています。
クモノスアカゲヒナチャワン属は子嚢菌門・チャワンタケ亜門・ズキンタケ綱・ビョウタケ目・クモノスアカゲヒナチャワン科に属します。属は1870年にFuckelによって設立され、長らくビョウタケ目内の分類的位置が不明瞭でしたが、2021年の研究で科の単系統性が強く支持されました。
属内は4つの主要クレードに分けられ、①コケ植物関連種群(A. japonica clade)、②透明分泌物種群(A. delicatula clade)、③樹木基質・色素沈着種群(A. leonina clade)、④基部系統(A. sphagniseda)という生態的・形態的特徴による明確な系統構造が示されました。
本属で最も観察記録が多い普通種(iNat観察記録300件以上)。ヨーロッパ、北アメリカ、アジアに広く分布し、日本でも春の里山で普通に見られます。落葉、腐朽材、土壌上に群生し、特にコナラ属とブナ属の落葉広葉樹林に多く見られます。子実体は最大3mm程度で、鮮やかな黄色〜橙色という明瞭な色彩が特徴です。子嚢胞子は紡錘形〜楕円形で0-3隔壁。両端に短く鈍い付属糸を持ちます。子実体形成菌糸層は明瞭に発達。
本属の基準種ですが、長らく近縁種との混同があった種です。広葉樹の腐朽材に生育しますが、草本植物(TyphaやAndromedaなど)上の報告もあります。子嚢胞子は極めて細長く、規則的に6-7隔壁を持つのが特徴。
クモノスアカゲヒナチャワン属の全種は腐生菌として、枯死した有機物を分解して栄養を得ています。主な基質は広葉樹および針葉樹の腐朽材、倒木、枝などの木質基質と、ミズゴケ属などの蘚苔類です。その他、落葉、果実、土壌、草本植物の遺体上などからも見つかっています。
属内の4つの主要クレードは生態的特徴によっても明確に分かれます。コケ植物関連種群(A. japonica clade)は湿地や湿原の蘚苔類上に特化し、樹木基質・色素沈着種群(A. leonina clade)は大型の木質基質と黄色色素沈着した分泌物により特徴づけられます。A. leoninaは広葉樹(ヤマナラシ属、カバノキ属、コナラ属)の大径腐朽木に限定され、倒木後一定期間経過した材を選好します。
識別の実用ポイント:①子実体の色(無色・白色・黄色・橙)を確認→②発達した子実体形成菌糸層をルーペで観察→③子嚢胞子のサイズと隔壁数を顕微鏡で測定(Q値も算出)→④毛の形態(基部の形状、樹脂の有無)をチェック→⑤基質の種類(樹木、草本、コケなどの種)を記録。新鮮な標本ではメルツァー試薬反応や子嚢胞子の付属糸の有無も確認してみましょう!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。