🗓️ 最終更新日: 2025-05-26
- 褐色腐朽菌を中心とした木材腐朽性多孔菌で、セルロースを分解し木材を褐色の立方体状に崩します🪵
- 代表的なFomitopsis属(ツガサルノコシカケ属)は多年生で硬質の棚状~蹄形、赤褐色の帯模様が特徴的です🍄
- Pycnoporellus属(カボチャタケ属)は鮮やかな橙色で柔らかくスポンジ状、雪の下でも生育する「雪融け菌」!❄️
- 背着生~反曲型で白色~淡褐色ならAntrodia属(ヒメシロアミタケ属)、ただし形態が単純で誤同定率が高いので注意⚠️
- Osteina属(ツガマイタケ属)は乾くと骨のように硬くなるユニークな性質を持ちます💀
- Wolfiporia属(ブクリョウ属)は地下に大型の菌核(茯苓)を形成し、漢方薬として利用されます💊
- 顕微鏡で見ると2菌糸型または1菌糸型で、褐色腐朽菌の約70%がこの科に含まれます🔬
- 最新の分類では3属のみに統合する提案もあり、分子系統解析で大きく見直されています📊
ツガサルノコシカケ科は担子菌門サルノコシカケ目に属する、主に褐色腐朽を引き起こす木材腐朽性多孔菌のグループです。褐色腐朽とは、木材中のセルロースとヘミセルロースを分解してリグニンを残すため、木材が褐色になり立方体状に割れる腐朽形態。硬い棚状のFomitopsis属、鮮やかな橙色のPycnoporellus属、地下に菌核を作るWolfiporia属(ブクリョウ)など、形態的に多様な属を含みます。
ツガサルノコシカケ科は担子菌門・ハラタケ亜門・ハラタケ綱・サルノコシカケ目に属し、分子系統解析により「antrodia clade(アントロディア・クレード)」と呼ばれるグループに位置づけられています。このクレードには褐色腐朽菌の約70%が含まれており、木材分解において重要な生態学的役割を果たしています。
最新の研究、特にSpirin et al. (2024)による大規模な分子系統解析では、従来の形態に基づく分類が大きく見直されています。この研究では、ツガサルノコシカケ科をAnthoporia、Antrodia、Fomitopsisの3属のみに区別することが提案され、Fomitopsis属は128種を含む巨大な属となりました。ITS、nLSU、TEF1、RPB2などの複数の遺伝子マーカーを用いた解析により、従来単一種とされていたものが実は地理的に隔離された複数の種からなる複合種であることも明らかになっています。
科内で最もiNat観察記録が多い属(なんと!17万件以上)。多年生で硬質の棚状または蹄形の子実体を形成し、傘表面に光沢があり年輪状の層が見られます。代表種F. pinicola(ツガサルノコシカケ)は赤褐色~暗褐色で特徴的な赤色または橙色の帯を持ちます。2菌糸型で、主に針葉樹や広葉樹に寄生。最新研究では従来のF. pinicolaは複数種からなる複合種で、北米産は3種、東アジア産は6種に分けられることが判明しています。
鮮やかな橙色が最大の特徴で、子実体は柔らかくスポンジ状。P. alboluteus(カボチャタケ属)は「雪融け菌(snowbank mushroom)」として知られ、雪の下でも子実体形成が始まる特異な生態を持ちます。1菌糸型で、成熟すると孔口の縁が歯状または不規則に裂けるのも識別点。主に北米ロッキー山脈地域に多いですが、ヨーロッパでも見られます。
一年生または短命の多年生で、背着生(基質上に平らに広がる)または反曲型の白色~淡褐色の子実体を形成。2菌糸型のものが多い。主に針葉樹材に発生して褐色腐朽を引き起こします。身近なところでは、杭などに「ヒメシロアミタケ」らしきものが生えているのをよく見かけます。分子系統解析では多系統であることが判明。一部の種は建築材を腐朽させる経済的に重要な菌類です。
属名の由来通り「乾くと骨のように硬くなる」ユニークな性質を持つ属。代表種O. obducta(ツガマイタケ)は無柄または短い柄を持ち、傘は平滑で白色~灰色。1菌糸型でクランプのある生殖菌糸のみからなるのが顕微鏡的特徴。針葉樹材に発生し、北米西部や北部の生態系で比較的一般的に見られます。
マツが生えている場所の地下に大型の菌核(茯苓)を形成する特異な属。W. cocos(ブクリョウ)の菌核はココナッツのような形で、乾燥すると白色~薄茶色に。子実体は稀にしか形成されません。2000年以上前から東アジアの伝統医学で利用され、利尿・抗炎症・抗酸化作用があるとされます。主にマツ科の樹木の根に関連して生育。最新研究では東アジア産は北米産とは別種(Pachyma hoelen)の可能性も示唆されています。
ツガサルノコシカケ科の菌類は森林生態系において重要な木材分解者として機能しています。褐色腐朽菌として、木材中のセルロースとヘミセルロースを選択的に分解し、リグニンを残すという特徴的な分解様式を示します。この結果、腐朽した木材は褐色になり、立方体状に割れる特徴的な外観を呈します。
生態学的役割は多岐にわたり、森林におけるバイオマス循環への貢献、樹木の腐朽による森林構造と遷移への影響、褐色腐朽残渣による土壌形成への寄与などがあります。一部の種は建築材を腐朽させる経済的に重要な菌類である一方、Wolfiporia cocosのように伝統医学で生薬として利用される有用種も含まれる分類群です。
実用的な識別の流れ:①子実体の硬さと形状を確認(硬い棚状→Fomitopsis、平たく広がるか半円形の傘を形成→Antrodia、地下の菌核→Wolfiporia)→②色彩パターンに注目(赤橙色の帯→F. pinicola複合種、鮮やかなオレンジ→Pycnoporellus)→③宿主と生育環境を記録→④可能なら顕微鏡で菌糸系の種類(1菌糸型か2菌糸型か)を確認。形態が単純な種は誤同定しやすいので、複数の特徴を総合的に判断することが重要です!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。