🗓️ 最終更新日: 2025-05-31
- 担子菌門最大の綱で、みんながイメージする「きのこ」の多くはこのグループ。極めて多様な子実体形態を持つ菌類を含みます🍄
- 典型的な傘と柄を持つきのこから、棚状、ホウキタケ型、背着生、腹菌型まで多様な形態があります✨
- 隔壁のない単室担子器(ホロバシディア)を持つ種が多く、通常4個の担子胞子を形成します🔍
- 子実層面は襞・管孔・針状・平滑など多様で、これが目レベルの識別に重要です
- 多くの種が木材分解能力を持ち、(伝統的分類での)白色腐朽か褐色腐朽のいずれかを引き起こします🌲
- 腐生菌・外生菌根菌・寄生菌など多様な栄養摂取様式を示します🌱
- 分子系統解析により2つの亜綱(ハラタケ亜綱・スッポンタケ亜綱)に大別されます💡
- 世界中のほぼ全ての生態系に分布し、約21,000種が記載されています🌏
ハラタケ綱(Agaricomycetes)は担子菌門最大の綱で、私たちが「きのこ」と聞いてまず思い浮かべる傘と柄を持つものから、サルノコシカケのような棚状、ホウキタケ状、さらには地下生の丸いきのこまで、驚くほど多様な形態を持つ菌類が含まれます。森林生態系における分解者、樹木との共生者、時には病原体として、地球上のほぼ全ての生態系で重要な役割を果たしています。
ハラタケ綱は担子菌門・ハラタケ亜門に属する単系統群で、アカキクラゲ綱(Dacrymycetes)とシロキクラゲ綱(Tremellomycetes)の姉妹群です。分子系統解析により、ハラタケ亜綱(Agaricomycetidae)とスッポンタケ亜綱(Phallomycetidae)の2つの亜綱に大別されることが明らかになりました。
最も古い系統にはロウタケ目、アンズタケ目、キクラゲ目が位置しています。腹菌や地下生菌への形態変化は複数の系統で独立に進化し、主に乾燥環境への適応と関連していると考えられています。
最も観察記録が多い亜綱で、典型的な傘と柄を持つきのこが多く含まれます。ハラタケ目、イグチ目、アセタケ目などを含み、襞や管孔を持つ種が主体です。多くの食用きのこ(シイタケ、マツタケ、ヤマドリタケなど)を含み、多くが外生菌根菌として森林生態系で重要な役割を果たします。
世界で最も観察記録が多い目で、主に木材腐朽菌として重要です。多くは棚状の子実体を形成し、管孔状の子実層面を持ちます。最大の科であるタマチョレイタケ(多孔菌)科のほか、ツガサルノコシカケ科、アイカワタケ科などを含み、白色腐朽菌と褐色腐朽菌の両方を含むグループです。セルロースやリグニンなど植物の構成成分を分解する酵素を生産し、森林の物質循環に不可欠です。
形態的に極めて多様なグループです。主要な科はベニタケ科で、球状細胞を持つ不均質な組織構造が特徴です。その中でもチチタケ属とカラハツタケ属に含まれる種が乳管菌糸を持ち、傷つけると乳液を出します。アミロイド反応を示す胞子も特徴的。ハラタケ型から棚状、背着生まで多様な形態を示し、多くが外生菌根菌として樹木と共生します。他にはウロコタケ科、マツカサタケ科、サンゴハリタケ科などが含まれます。
こちらもまた形態的にも生態的にも多様な菌類を含む亜綱で、ゴンフォイド-ファロイド系統群として知られます。スッポンタケ目、ラッパタケ目、ヒステランギウム目などを含み、腹菌型(ガステロイド)の種が多いのが特徴。スッポンタケ類の特異的な胞子分散機構(粘質胞子塊を昆虫に運ばせる)など、ユニークな適応を示す種が多いです。
ハラタケ綱の菌類は陸上生態系において極めて多様な生態的役割を担っています。腐生菌として木材、落葉、土壌有機物を分解し、物質循環の要となっています。多くの種が外生菌根菌として樹木と共生関係を形成し、森林生態系の維持に不可欠です。
木材分解様式は伝統的に白色腐朽と褐色腐朽の2つに分けられてきました。白色腐朽菌はリグニン、セルロース、ヘミセルロースを全て分解し、リグニンペルオキシダーゼなどの酵素を生産します。褐色腐朽菌は主にセルロースとヘミセルロースを分解し、フェントン反応による非酵素的分解を行います。ただし、近年の研究で、そこまではっきりと2つに分けられない(グラデーションや例外がある)ことも判明してきています…。一部の種は生きた樹木の病原菌として、また線虫捕食菌やコケ・藻類との共生菌として特殊な生態を示します。
実用的な同定の流れ:早い段階で絞り込めたらそのグループに特化した同定手法が有効ですが、とりあえず一般的な流れを示します:①まず子実体の全体的な形態を観察(ハラタケ型・サルノコシカケ型・ホウキタケ型など)→②子実層面の構造を確認(襞・管孔・針状・平滑など)→③基質と生育環境を記録(地上・木材・生木など)→④色・変色反応・質感などを観察→⑤可能なら胞子紋の色を確認→⑥顕微鏡で胞子形態・シスチジア・菌糸構造などを観察。形態での限界を感じたら、ITS領域のDNAバーコーディングが有効です!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。