🗓️ 最終更新日: 2025-05-31
ベニタケ目(Russulales)は担子菌門の中で最も多様な分類群の一つで、見た目は全く違うのに系統的には近縁な菌類たちの集まりです。傘と襞を持つベニタケやチチタケから、棚状のウロコタケ、針状のサンゴハリタケ、背着生のものまで…形態の多様性に驚かされます!共通するのは、特殊な菌糸が化学物質で黒く染まることと、多くの種でアミロイド反応を示すこと。分子系統解析の威力を実感させてくれる分類群です。
ベニタケ目は担子菌門・担子菌綱に属し、主要な12系統の一つとして位置づけられています。分子系統解析により11-13の主要なクレードが認識され、現在約12の科と約80の属が含まれています。
系統進化的には約2億3600万年前(中生代三畳紀)に起源したと推定され、これはハラタケ目(1億7300万年前)やイグチ目(1億3400万年前)よりもはるかに古い起源です。ベニタケ目の単系統性は分子系統解析によって強く支持されており、形態的多様性にもかかわらず共通の祖先から進化したことが明らかになっています。
ベニタケ目で最も多くの種を含む科で、世界で約1,900種が知られています。脆い肉質の子実体が最大の特徴で、組織に球状細胞を含む影響でポキッと折れやすいです。主要な属としてベニタケ属(Russula)(約1,100種)、カラハツタケ属(Lactarius)(約550種)、チチタケ属(Lactifluus)(約120種)などがあります。ベニタケ属は乳液を出さない、カラハツタケ属とチチタケ属(2つ合わせて旧チチタケ属)は傷つけると乳液を分泌するという違いがあります。
主に背着生の菌類を含む科で、22属125種が含まれています。キウロコタケ属(Stereum)は棚状または半背着生の硬い子実体を形成し、木材上に生育する腐生菌です。子実層面が平滑なものが多く、あまり子実層托は発達しません。分子系統解析により多くの属が多系統群であることが判明しています。
主に北半球の温帯地域に分布し、垂れ下がった刺や針状構造が特徴的な科です。サンゴハリタケ属(Hericium)が最もよく知られており、サンゴ状または樹枝状の白い子実体を形成します。生きた樹木の幹の高い位置に発生することが多く、薬用として価値があります。腐生菌として針葉樹や広葉樹の生木や枯死木に発生しますが、比較的稀少です。
僅か4-5属のみを含む小さな科ですが、形態的には非常に多様です。Auriscalpium(マツカサタケ属)は針葉樹の球果上に特化して生育し、傘の裏が針状です。フサヒメホウキタケ属(Artomyces)は珊瑚状、ミミナミハタケ属(Lentinellus)は襞を持ち、デンティプラトゥルム属(Dentipratulum)は背着生、Gloiodonは半背着生と、同じ科とは思えないほど多様な形態を示します。
9属45種以上を含む科で、多くは傘と柄を持つ典型的なきのこ型ですが、腹菌類のLeucogasterや背着生のByssoporia属も含まれます。ニンギョウタケモドキ属(Albatrellus)は肉質で様々な色の子実体を生産し、北方温帯林に一般的です。樹木と菌根共生関係を形成している可能性があり、地上生で木材からは発生しません。
ベニタケ目の生態的機能は驚くほど多様で、腐生菌として倒木や落葉を分解する種、外生菌根菌として樹木と共生する種、根に寄生する種、さらには昆虫と共生する種まで含まれています。この生態的多様性は、長い進化の歴史の中で様々な環境に適応してきた結果と考えられています。
特にベニタケ科では、祖先型は腐生菌であり、菌根共生生活は後に進化したことが系統解析から示唆されています。背着生の属(Boidinia、Gloeopeniophorella、Pseudoxenasma)は全て木材腐朽菌で、系統樹の基部に位置することがこの仮説を支持しています。
同定のポイント:ベニタケ目のきのこはとにかく肉眼的形態が多様なので、目レベルでの認識は現実的ではありません。ですが、顕微鏡があれば胞子のアミロイド性は容易に確認できます!メルツァー試薬がない場合は、薬局で売っている殺菌消毒薬でも代用できたりします(管理人はのどぬ~るスプレーが適量出せてお気に入りだとか…でもあくまで代用品です)。一方、粘管菌糸の染色はスルホバニリンなど濃硫酸を含むスルホアルデヒド系の危険な薬剤を必要とするので、一般家庭や普通の教育現場では実施困難ですね…。この目のきのこは形態だけでは判断が難しいこともあるので、生息環境や基質も重要な手がかりになります。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。