🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
- 多くは傘と柄を持つ肉厚な子実体を形成し、傘の下面に襞ではなく、管孔とよばれる、多数の穴からなるスポンジのような構造を持ちます🍄
- 傷つけると青変・赤変・黒変など劇的な色変化を示す種が多く、これはプルビン酸誘導体の酸化によるものです🎨
- 胞子紋の色はオリーブ色、黄褐色、褐色、ワイン赤色など多様で、属レベルの識別に重要です
- 多くの種は外生菌根菌として樹木と共生し、特定の樹種(ブナ科、マツ科など)と強い結びつきがあります🌲
- ニセショウロ科のような腹菌型の仲間も含み、硬い外皮を持つ球形の子実体を形成します
- ヌメリイグチ科は粘性のある傘表面が特徴で、必ずマツ科植物と共生関係を持ちます✨
- 顕微鏡下では胞子の表面の装飾(平滑・網目状・刺状)が重要な同定形質となります🔍
- 最新の分子系統解析により6つの主要な亜目に分類され、従来の形態分類とは大きく異なることが判明しました🧬
イグチ目(Boletales)は担子菌門に属する大きな分類群で、主に管孔を持つ肉厚なきのこを含みますが、腹菌型の仲間も含む多様性に富んだグループです。傘と柄を持つ柔らかいきのこで傘の裏がスポンジ状であれば、ほとんどの場合イグチの仲間で間違いないでしょう。多くの種が外生菌根菌として樹木と共生し、森林生態系において不可欠な役割を果たしています。
イグチ目(Boletales)は担子菌門・ハラタケ亜門・ハラタケ綱に属し、最新の分子系統解析によりBoletineae(イグチ亜目)、Sclerodermatineae(ニセショウロ亜目)、Suillineae(ヌメリイグチ亜目)、Paxillineae、Tapinellineae、Coniophorineaeの6つの主要な亜目に分類されています。
イグチ科(Boletaceae)内部では、7つの亜科レベルのクレードが認識され、従来の形態分類とは大きく異なることが判明しました。胞子の装飾や管孔構造などの従来重視されていた形態形質は、科内で複数回独立に進化したことが示されています。
イグチ目最大の科で、iNat観察記録も世界最多です。傘の下面に管孔を持ち、多くは大型で肉厚な子実体を形成します。切断時の青変反応が特徴的な種が多く、Boletus(イグチ属)、Leccinum(ヤマイグチ属)、Xerocomus(アワタケ属)、Tylopilus(ニガイグチ属)など多数の属を含みます。中国やアジアの熱帯地域で特に多様性が高く、新属・新種の発見が続いています。
粘性のある傘表面とマツ科植物との絶対的な共生関係が特徴。主にSuillus属(ヌメリイグチ属)からなり、S. luteus(ヌメリイグチ)、S. grevillei(ハナイグチ)などが代表種。柄に「腺点」や「つば」を持つ種が多く、胞子紋は肉桂褐色。マツ、カラマツ、トガサワラなど特定の針葉樹とのみ共生します。ショウロ属(Rhizopogon)もこの亜目。
腹菌型の子実体を形成するグループを複数含みます。Scleroderma(ニセショウロ属)は硬い外皮を持つ球形で、成熟すると不規則に裂開。その他にクリイロイグチ科(Gyroporaceae)、クチベニタケ科(Calostomataceae)なども含みます。Pisolithus(コツブタケ属)は染料にも利用されます。多くは外生菌根菌で、林業分野では樹木の生長を促進するために接種されることもあります。
ヒダハタケ科(Paxillaceae)[Boletineae亜目]、イドタケ科(Coniophoraceae)、オウギタケ科(Gomphidiaceae)など多様な科を含みます。腐生菌や寄生菌として生活する種もあり、ザイモクイグチ(Buchwaldoboletus)属は腐生菌、コショウイグチ(Chalciporus)属は他の菌類に寄生することもあります。形態も管孔を持つハラタケ型からコウヤクタケ型、腹菌型まで極めて多様です。
イグチ目の菌類は森林生態系において極めて重要な役割を果たしています。大部分の種は外生菌根菌として、樹木の根と共生関係を形成し、樹木に水分やミネラルを供給する代わりに炭水化物を受け取ります。この相利共生は森林の健全性維持に不可欠です。
宿主樹木との関係は種によって異なり、ブナ科(特にコナラ属、ブナ属、クリ属)やマツ科(マツ属、トウヒ属、モミ属)が主要な共生相手です。一部の種は極めて宿主特異性が高く、特定の樹種とのみ共生します。分布は南極を除く全大陸に及び、特に北半球温帯地域で多様性が高いですが、最近の研究では熱帯地域でも著しい多様性が明らかになっています。
分子同定の重要性:イグチ目の正確な同定には分子解析が不可欠になっています。ITS領域の配列解析が基本ですが、より確実な同定にはnrLSU、tef1-α、rpb1、rpb2などの複数遺伝子座の解析が推奨されます。形態的特徴だけでは識別困難な隠蔽種も多く、特に熱帯地域では未記載種が多数存在すると考えられています。野外での観察記録(呈色反応、宿主樹種、生息環境)と標本の顕微鏡観察(担子胞子のサイズや表面の装飾、シスチジアの形状)を組み合わせることが重要です。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。