🗓️ 最終更新日: 2025-05-30
- 子実体が傷つくと乳白色の乳液(ラテックス)を分泌するのが最大の特徴です💧
- 組織は脆い質感で、柄も縦に裂けずポキッと折れます(ベニタケ属と同様の性質)
- 2011年にLactarius属(旧チチタケ属)から分離・独立した比較的新しい属です📚
- 主に熱帯地域に分布しますが、北方の温帯域やオーストララシアにも生息します🌏
- 傘表皮に厚壁の細胞が一般的で、襞組織にベニタケ属ほどではないけど球状細胞がよく見られます🔍
- 側生するヒラタケ型の子実体を持つ種が存在し、同じ旧チチタケ属のカラハツタケ属(Lactarius)には見られない特徴です✨
- 稀につばを持つ種があるのもLactarius属との識別点の一つです💍
- 4つの亜属に分類され、主要な識別は子実体の全体的形態・乳液の変色・傘表皮で行います
チチタケ属(Lactifluus)は、かつてLactarius属に含まれていましたが、2011年に分子系統解析の結果により独立した属です。最大の特徴は損傷時に乳液を分泌すること!この性質と脆い肉質により、野外でも比較的容易に認識できます。世界に約150種が知られ、特に熱帯地域で多様性が高いですが、日本の少し標高の高い場所でもよく見られます。
チチタケ属は担子菌門・ハラタケ綱・ベニタケ目・ベニタケ科(Russulaceae)に属します。2008年の分子系統解析でLactarius属が単系統群ではないことが判明し、2011年に主に熱帯種を含むクレードがLactifluusとして独立しました。より北方に広く分布する多くの種はLactarius属に残されました。
2017年のDe Cropらによる多遺伝子系統解析により、本属は4つの亜属(Lactifluus亜属、Lactariopsis亜属、Gymnocarpi亜属、Pseudogymnocarpi亜属)に再編成されました。興味深いことに、この新しい分類体系は従来の形態学的分類とは部分的にしか一致せず、収斂進化の存在を示唆しています。
主に北半球に分布する亜属で、オーストラリアにも一部の種が存在しますが、アフリカや南米には代表種がありません。乾いた傘と豊富な乳液が特徴的で、白色〜淡クリーム色の胞子紋を持ちます。代表種のツチカブリ(L. piperatus)は極めて密集した襞と強い辛味を持つ乳液で識別できます。
北半球の広葉樹林、特にブナ林でよく見られる大型種。白〜クリーム色のビロード状の傘は直径5-20cmにもなり、成熟すると漏斗形になります。lamprotrichoderm型の傘表皮には厚壁の毛を持ち、太く短い柄も特徴的。白色の乳液は辛味があります。
日本産の和名のある本属菌としては例外的に、Lactifluus亜属ではなくPseudogymnocarpi亜属に所属。北米東部のオーク林に生育する種で、日本でも軽井沢のあたりに行けばたくさん見られます。淡橙色〜帯桃橙色の美しい子実体を形成します。名前の通り襞の間隔が広いのが特徴で、白色の乳液は時間とともに淡黄色に変化します。水酸化カリウムで傘が淡オリーブ色に染まるという反応も同定のポイント。
主に熱帯地域に分布する亜属で、最大の特徴は空気に触れると乳液と肉が褐色に変色すること。真の側シスチジアを持たず、lampropalisade型の傘表皮を持つなど、顕微鏡的特徴でも識別できます。代表種のL. gymnocarpusやL. clarkeaeは熱帯林の重要な構成要素です。
チチタケ属の全ての種は外生菌根菌として、様々な樹木と共生関係を形成しています。温帯地域では主にブナ科(ブナ、オーク、ハシバミなど)と共生し、熱帯では驚くほど多様な樹種とパートナーになります。広葉樹だけではなく、一部の種はマツ科の樹木とも共生することが知られています。
地理的分布は亜属によって明確に異なり、チチタケ、ツチカブリ、クロチチダマシなど日本で知られる種の大部分を含むLactifluus亜属は主に北半球、他の3亜属は主に熱帯地域(特に熱帯アフリカ)に分布の中心があります。熱帯アフリカが最も種多様性が高く、次いで熱帯アジア、新熱帯区と続きます。ただし、新熱帯区の調査はまだ不十分で、実際の多様性はさらに高い可能性があります。
実践的な同定の流れ:これまでは乳液が出ればチチタケ属で決まり!だったのに、2つに分かれてちょっと難易度が上がりました…。でも、チチタケ属はあまり粘性がない、などの一般的特徴を踏まえて、一つずつ覚えていけば大丈夫です。①まず損傷部から乳液が出るか確認(必須!)→②乳液の初期色と変色を記録→③味を確認(ごく少量を舌先で。辛味・苦味・温和など)→④傘表面の質感(平滑・ビロード状・羊毛状)→⑤生育環境と宿主樹種を記録→⑥可能なら胞子の顕微鏡観察(網目状装飾とアミロイド性の確認)。この手順で観察すれば、少なくとも亜属レベルまでは絞り込めます!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。