🗓️ 最終更新日: 2025-06-03
ミミナミハタケ属(Lentinellus)は、襞の縁が鋸歯状(ナミハ=波歯)であることが最大の特徴です。かつてはその見た目からケガワタケ属の仲間とされていましたが、分子系統解析によってベニタケ目マツカサタケ科(Auriscalpiaceae)に属することが判明しました。アミロイドの胞子を持ち、多くの種で辛味があるという興味深い性質も持っています。
ミミナミハタケ属は伝統的には傘と襞を持つことから、他の大部分のきのこと同じハラタケ目に分類されていましたが、胞子のアミロイド性や菌糸構造の研究により、ベニタケ目との類縁性が示唆されていました。
21世紀に入ってからのリボソームDNA配列解析により、本属がマツカサタケ属(Auriscalpium)、Gloiodon属、Dentipratulum属などと近縁であることが確定しました。これらの属は形態的には大きく異なりますが(棚状、歯状など)、グレオシスチジアという特殊な細胞を持つことや、アミロイドの胞子という共通の特徴で結びついています。Petersen & Hughesによる2004年の世界的モノグラフでは、世界で24種が認められています。
本属でiNat観察記録が圧倒的に多い種(約4,000件)。無柄で貝殻形~扇形の子実体を形成し、中央部が暗褐色で毛状、縁辺部は淡色という特徴的な色彩パターンを示し、この色合いが和名の由来と見られます。広葉樹の枯死木上に群生し、襞は鋸歯状で白色~淡黄色。胞子は3-4×2.2-3μmと本属の中でも特に小型で、胞子紋は白色。欧米に広く分布し、関東の里山でもたまに見られます。
中心生~偏心生の長い柄を持つことが特徴で、淡褐色~桃褐色の優しい色合いの傘を持ちます。針葉樹や広葉樹の朽木上に単生または小さな集まりをなし、胞子は4-5.5×3.5-4.5μmとやや大型。淡黄褐色の胞子紋で他種と区別できます。
本属の基準種で、アニス臭があるのが最大の特徴。漏斗形の傘と偏心生の柄を持ち、傘の色はクリーム色から栗色まで変異が大きいです。胞子は4.5-5×3.5-4μm。広葉樹の朽木上に生育し、ヨーロッパや北米に広く分布。一部の文献では乾燥させて調味料として使用されることもあるとされています。
主に南半球に分布する種で、オーストラリア南東部やニュージーランドなどで確認されています。扇形~貝殻形の褐色~赤褐色の傘を持ち、側生~無柄。襞はやはり顕著な細かい鋸歯状。胞子は4-5×3-4μm。地理的に隔離された分布が進化的に興味深い種です。
ミミナミハタケ属の全ての種は木材腐朽菌で、白色腐朽型の分解様式を示します。主に森林内の朽木上に生育し、広葉樹(ブナ、カバ、カシ、ナラなど)の倒木や切り株を好みますが、一部の種は針葉樹(トウヒ、マツなど)にも生育します。
多くの種で夏の終わりから秋にかけて発生しますが、温暖な気候では冬にも見られることがあります。一方、L. montanusのように春から初夏に発生する種もあります。地理的分布は種によって大きく異なり、汎世界的な種から地域限定的な種まで様々です。
野外での同定ポイント:まず、それらしい柄が側生するか無柄のきのこを見かけたら、襞の縁がギザギザしているかを確認!種レベルの同定には、柄の有無・傘の色と形・特徴的な香り(特にL. cochleatusのアニス臭)に注目。顕微鏡でアミロイド性と胞子サイズの確認も必要です。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。