🗓️ 最終更新日: 2025-05-31
- 膠質菌の一大グループの一つ。ゼラチン質で脳状・花弁状・分枝状の子実体を形成する種が代表的です💫
- 担子器はシロキクラゲ型(トレメロイド)(球形〜楕円形で垂直または斜めの隔壁を持つ)が特徴的🔍
- 多くの種が他の菌類に寄生する菌寄生菌で、宿主特異性を示すものも多いです🍄
- 酵母型と菌糸型の両方の形態を持つ二型性の菌群が多く含まれます✨
- 菌糸にはクランプがあり、寄生性の種では吸器が観察されます
- 子実体は乾燥すると著しく収縮し、水分を含むと復活する性質があります💧
- 胞子は球形〜楕円形で滑らか、発芽して菌糸または酵母になります
- 現在の分類体系では5つの目に分けられ、分子系統解析により大幅に再編成されています📊
シロキクラゲ綱(Tremellomycetes)は担子菌門・ハラタケ亜門に属し、二型性の菌を含むグループです。その名の通りゼラチン質でプルプルした子実体を作る種が有名ですが、実は酵母状の形態のみで生活する種も多く含まれています。最大の特徴は「菌寄生菌」が多いこと!他のきのこに寄生して栄養を奪う、ちょっと変わった生き方をしているんです。
シロキクラゲ綱は現在の分類体系では5目17科54属に分けられています。Liu et al. (2015) による7遺伝子を用いた包括的な分子系統解析により、従来の形態学的分類とは大きく異なる系統関係が明らかになりました。
かつて多系統群だったシロキクラゲ属(Tremella)は複数の属に分割され、狭義のシロキクラゲ属として再定義されました。同様に病原性酵母を含むクリプトコッカス属(Cryptococcus)も多系統群であることが判明し、複数の属に再編成されています。形態的特徴と分子系統の不一致は、進化の過程での高度な収斂進化を示唆しています。
最もiNat観察記録が多い目で、ゼラチン質の子実体を形成する種を多く含みます。代表的なシロキクラゲ属は狭義に再定義され、全ての種が他の菌類の寄生菌です。例えばコガネニカワタケはカワタケ属(Peniophora)菌に寄生し、黄色〜橙色の脳状子実体を形成します。多くの種で酵母状の無性生殖も行います。
かつてTremella encephalaなどとして知られていた種を含む属で、ネマテリア科に再分類されました。褐色の硬い内部組織を持つことが特徴で、他のゼラチン質菌類と区別できます。枯死した広葉樹の枝に発生し、宿主菌類に寄生します。
花弁状の子実体を形成し、かつてTremella foliaceaとして知られていた種を含みます。針葉樹に生える種と広葉樹に生える種で宿主が異なり、ハナビラニカワタケはチウロコタケモドキに、シミダシカタウロコタケに寄生します。淡褐色〜暗褐色の大型の子実体が特徴的です。
主に酵母として生活する種を含む目で、テリオスポアを形成する有性生殖が特徴です。Cystofilobasidium属はホロバシディア(隔壁のない担子器)を持ち、Mrakia属は寒冷地域に適応した好冷性酵母として知られています。
ホロバシディアを形成しますが、一般的に明確な子実体は形成しない酵母群で、主に植物表面や土壌から分離されます。Naganishia属の一部の種はヒトや動物に病原性を示し、医学的に重要です。iNat観察記録が圧倒的に多いのはシジゴスポラ・ミセトフィラ(Syzygospora mycetophila)で、モリノカレバタケの寄生菌として米国東部で多数観察されています。
シロキクラゲ綱の菌類は驚くほど多様な生態的ニッチを占めています。最も特徴的なのは菌寄生性で、多くの種が他の菌類(特にキクラゲ目やベニタケ目)に寄生します。宿主特異性が高く、特定の宿主にのみ寄生する種が多いのも興味深い特徴です。
一部の種は地衣類に寄生し、また別の種は動物病原菌として知られています。クリプトコッカス属の一部は免疫不全患者に重篤な感染症を引き起こすことがあります。一方で、シロキクラゲは食用・薬用として商業栽培され、一部の種は植物内生菌(エンドファイト)として作物の成長促進や病害防除に役立つ可能性が研究されています。
実用的な同定の流れ:①まず子実体の質感を確認(ゼラチン質かどうか)→②形状と色を記録(脳状・花弁状・分岐状など)→③発生基質と宿主を観察(枯れ木上の他のきのこを探す)→④可能なら顕微鏡で担子器の形態を確認(シロキクラゲ型の隔壁パターン)→⑤吸器の有無を調べる。宿主との関係性が分かれば、種の同定がぐっと近づきます!また、子嚢菌にも似たようなきのこを作るものがあるので、やはり顕微鏡は必須ですね…
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CI下限 < 1)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が1を超える場合、統計的に有意な差があることを示します。