🗓️ 最終更新日: 2025-06-12
- 背着生~半背着生の子実体を形成するコウヤクタケ類のグループで、乾燥すると縁が巻き上がることが多いです📜
- 子実層面は平滑で、白色・桃色・紫色・赤色など鮮やかな色調が特徴的✨
- 顕微鏡で見るとグレオシスチジア(粘性シスチジア、油状内容物を含む)とランプロシスチジア(厚壁シスチジア、結晶を伴う)という2種類の特殊なシスチジアがあります🔍
- 担子胞子は円筒形~ソーセージ形で、平滑、非アミロイドです
- 白色腐朽菌として枯れ木や枯れ枝を分解し、リグニン分解能力が特に高いです🌿
- 種によっては宿主選好性が明瞭で、例えばP. quercinaはコナラ属、P. rufaはヤマナラシ属樹木を好みます🌳
- 最近の分子系統解析により、ヒメサビウロコタケ属(Dendrophora)属とDuportella属も広義のPeniophora属として統合される傾向にあります📊
カワタケ属(Peniophora)は木材腐朽菌からなるコウヤクタケ類のグループです。子実体は背着生で木の表面に薄く広がり、白・ピンク・紫・赤など種によってカラフルな色調です。最大の特徴は2種類のシスチジア(グレオシスチジアとランプロシスチジア)を持つこと。特に後者は顕微鏡を覗くと真っ先に目に留まるほど目立つ構造です。
カワタケ属は担子菌門・ハラタケ亜門・ハラタケ綱・ベニタケ目(Russulales)・カワタケ科(Peniophoraceae)に属します。真のコウヤクタケ(科)とはかなり遠縁にあたり、ベニタケに近い仲間です。
最新の分子系統解析により、従来形態的特徴で分けられていたヒメサビウロコタケ属とDuportella属は、本属と混在した単系統群を形成することが判明し、現在は広義のカワタケ属に含まれる傾向にあります。さらに興味深いことに、キクイムシと共生するEntomocorticium属もこのグループから派生したことが分かってきました。
英名「Giraffe Spots(キリンの斑点)」の通り、中心部が褐色で白い縁取りがある特徴的な外観です。子実体は円形に近い薄い膜状で背着生。北米に広く分布し、様々な広葉樹の樹皮上に発生し、小枝を含むあまり太くない枝に発生する傾向があります。iNat観察記録は最多(約6千件)です。関東の里山でもこれらしきものをしばしば見かけますが、同種なのか近縁種なのか、はたまた遠縁の種なのかは不明です…。
「Red Brain Fungus(赤い脳みその菌)」と呼ばれ、鮮赤色~橙赤色のクッション状の塊を形成。各子実体は最大約1cm、高さ2mm程度。蝋質で皺があり、時に白い粉を帯びます。主にヤマナラシ属の枯れ枝に特異的に発生する種です。iNatには欧米から大量の観察記録が投稿されています(約4千件)。
「Rosy Crust(ばら色のコウヤクタケ)」の名前通り、鮮やかな桃色~赤色の背着生子実体を形成。ヨーロッパに広く分布し、特にイギリスとアイルランドでよく観察されます。関東の里山でも似たものは見つかりますが、本当にこの種なのかの確定は困難です…。
「Oak Crust(オークのコウヤクタケ)」として知られ、湿時は淡紫色、乾燥時は桃色に変化。主にコナラ属専門の腐朽菌で、枯れ木や倒木上で白色腐朽を引き起こします。胞子は特徴的な屈曲した円筒形で、ランプロシスチジアは時に豊富に見られます。晩夏と秋に胞子を形成します。
カワタケ属の菌類は全て木材腐朽菌で、森林生態系において重要な分解者の役割を果たしています。白色腐朽を引き起こし、特にリグニン分解能力が高いことで知られます。これにより倒木や枯れ枝を効率的に分解し、森林の炭素循環に大きく貢献しています。
興味深いことに、一部の種は明確な宿主選好性を示します。例えばカワタケは主にコナラ属に、P. rufaはヤマナラシ属に発生します。また、カワタケのように生きた木の辺材に潜在的に寄生し、木が弱ると活発に成長を始める種もあります。さらに驚くべきことに、カワタケ属から派生したEntomocorticiumのグループはキクイムシと共生関係を持ち、昆虫の菌嚢(マイカンギア)内で生活するという特殊な進化を遂げています。
野外での見つけ方:枯れ枝の樹皮がついた面の裏側をチェック!薄い膜状なので見逃しやすいですが、ピンク・紫・赤などの鮮やかな色が目印です。湿った時と乾いた時で色が変わるので注意しましょう。乾燥した時に縁が巻き上がることは、本属の一般的な傾向として重要です。ランプロシスチジアの結晶を確認できれば、より確実な同定につながります!胞子を常に作っているとは限らないので、せっかく顕微鏡で覗いたのに見えなかったということも…。日本から多数の種が知られていますが、種までの同定は困難なグループなので、無理に種名を当てはめるのは避けた方がよいでしょう。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。