🗓️ 最終更新日: 2025-09-01
- 背着生で基質に密着して広がり、針状の子実層托を持つ珍しいコウヤクタケ類です🍄
- 成熟すると黄緑色〜オリーブ緑色になる種が多いですが、白〜淡黄色のままの種もあります✨
- 下方に垂れ下がる針の周りには子実体形成菌糸層と根状菌糸束が目立ちます
- 胞子は通常疣状装飾を持つ類紡錘形〜円筒形ですが、ウスチャサガリハリタケ(K. himantia)のみ平滑です🔍
- 主に腐朽した針葉樹材(モミ、トウヒ、マツ)上に発生する白色腐朽菌です🌲
- 1菌糸型で菌糸にクランプがあり、シスチジアを欠くのが顕微鏡的特徴です
- 同じレンタリア科のLentaria属は珊瑚状のきのこからなるグループです
- 世界で7種以上が認識され、温帯から熱帯、高地まで多様な環境に分布します🌏
ウスチャサガリハリタケ属(Kavinia)は「背着生で針状」という組み合わせが特徴的で、同じ科の他の属がサンゴ状やラッパ状なのとは対照的です。多くの種は成熟すると美しい黄緑色を呈します。興味深いことに、7種中1種、唯一和名がついているウスチャサガリハリタケ(K. himantia)だけが平滑な胞子を持つ例外的な存在です。
ウスチャサガリハリタケ属は担子菌門ラッパタケ目(Gomphales)レンタリア科(Lentariaceae)に属する小さな属です。分子系統解析により、本属はRamaricium属と近縁で、両属ともClavariadelphus(ラッパ形のきのこ)から派生したと考えられています。興味深いことに、背着生の形態はこの目では稀で、針状子実層托は独立に複数回進化した形質のようです。
属内では胞子の装飾により2つのグループに分かれます:平滑胞子のウスチャサガリハリタケ(Hydnocristella属として独立させる見解も)と、疣状胞子を持つその他の種です。
最も広く分布する種で、ヨーロッパ、北米、南米、アフリカ、アジアから記録があります。薄い白色綿状の子実体形成菌糸層(スビクルム)に黄緑色の下垂する針を持ち、成熟時の緑色が特徴的です。胞子は類紡錘形で、疣状装飾を持ちます。腐朽した針葉樹の倒木上に春から秋にかけて発生。複数の隠蔽種を含む複合種である可能性が強く示唆されています。
本属で唯一の平滑胞子を持つ種で、別属Hydnocristellaとして扱われることもあります。ヨーロッパと北米に広く分布し、フランス、エストニア、ロシア、アメリカなどから記録。日本からも知られていますが、GBIFでは1930年代の標本が1点記録されているのみです。針は成熟してもシナモン色〜褐色で緑色になりません。胞子は類紡錘形で完全に平滑。菌糸には特徴的なシアノフィリックの疣状付着物があります。
ウスチャサガリハリタケ属の全ての種は腐生菌で、枯死木を分解して生きる白色腐朽菌です。主に針葉樹(トウヒ、モミ、マツ)の腐朽材を好みますが、一部の種は特定の植物に選好性を持つようです。例えば、K. altoandinaはAdesmia hystrix、K. chacoserranaはLithraea molleoidesに限定されるとのこと。
分布パターンは極めて興味深く、温帯広域分布種(K. alboviridis、K. himantia)、南米高地固有種(K. altoandina、K. chacoserrana)、熱帯島嶼固有種(K. salmonea、K. vivantii[日本からの記録あり])、熱帯アジア固有種(K. globispora)という明確な地理的分化を示します。
同定の決め手:野外では①背着生で針状の子実層托、②成熟時の色(緑色系/褐色系/ピンク系)、③白色の柔らかい子実体形成菌糸層と根状菌糸束を確認。顕微鏡では①胞子装飾の有無(平滑ならウスチャサガリハリタケ、疣状なら他種)、②胞子サイズと形状、③クランプを持つ1菌糸型、④シスチジアの欠如を確認しましょう!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。