🗓️ 最終更新日: 2025-05-26
- 子実体は杯状(カップ状)または皿状で、内側の面(子実層面)に子嚢が並びます☕
- 子嚢はヨウ素液で青く反応(アミロイド反応)する重要な特徴を持ちます💙
- 胞子は無色〜淡褐色、球形~楕円形で、多くは1-2個の油滴を含みます
- 肉質で脆い質感を持ち、チョークのようにポロッと崩れやすい構造です
- 外被層は大きな等径の細胞で構成され、顕微鏡観察で同定の手がかりに🔍
- 土壌、木材、糞、焼け跡など多様な基質に発生し、生態的な幅が広い科です
- 最近の研究で14の系統グループが認められ、多くの新属が提案されています✨
チャワンタケ科は子嚢菌門の中でも特に親しみやすい菌類群です。その名の通り「茶碗」や「カップ」のような形の子実体を作ることが最大の特徴で、森を歩いていると地面や倒木の上にちょこんと置かれた小さな器のような姿を見つけることができます。この科の菌類は、かつて単純だと思われていた分類が実は非常に複雑で、分子系統解析により大幅な再編成が進行中という、分類学的にもホットな分野なんです。
チャワンタケ科(Pezizaceae)は子嚢菌門・チャワンタケ綱・チャワンタケ目に属する菌類の科です。この科の最大の特徴は、子嚢がヨウ素溶液で青く反応する「アミロイド反応」を示すことで、チャワンタケ目の中でもスイライカビ科と共有する独特の性質です。
驚くべきことに、地下で塊状の子実体を作る「トリュフ様菌類」の多くも、実は杯状のチャワンタケから進化したことが分子系統解析で明らかになりました。かつて独立の目とされていた「セイヨウショウロ目」は存在せず、少なくとも15の独立した系統で杯状から地下生への進化が起きたとされています。チャワンタケ科内だけでも、この形態変化が少なくとも3回独立して起きているといいます。
本科最大の属で、世界中で最も観察される属(iNaturalistで約3万件)。杯状〜皿状の子実体を形成し、土壌や木材上に発生。子嚢の先端に明瞭なアミロイドの先端リングを持つことが多い。楕円形の胞子は10-25μm程度。しかし分子系統解析により多系統であることが判明し、現在急速に再分類が進んでいます。
地下で球形に発達し、成熟すると地表で星形に裂けるという劇的な成長をする属。内側は美しい薄紫色、外側は白色。主要種のS. coronariaは春に針葉樹林下で見られますが、ヨーロッパでは絶滅危惧種。最近の研究で地下生のHydnotryopsis属も本属に含まれることが判明し、地上生と地下生が同じ属内に!
2020年にチャワンタケ属から分離された新しい属。基準種のキゾメチャワンタケ(P. succosa)は日本でも割と見られる種。傷つけると黄色い液体を分泌する特徴的な性質を持ちます。P. michelii、P. berthetianaなども含まれ、特定の子嚢胞子形態と色の特徴で識別できます。森林の土壌や腐植上に発生します。
多くはチャワンタケ属の無性世代(アナモルフ)として知られる属です。典型的な杯状子実体は作らず、分生子(無性胞子)を形成。若い胞子形成構造は白〜青色で、成熟すると桃色を経て黄褐色に変化。森の中で、斜面の土壌から直接生えている様子がよく観察されます。チャワンタケ属菌の生活環の一部として重要な役割を果たします。
チャワンタケ科の生態は驚くほど多様で、単純な腐生菌から外生菌根菌、さらには特殊環境に適応した種まで幅広く存在します。多くの種は腐生菌として落葉や腐朽材を分解しますが、一部は樹木と菌根を形成し、森林生態系の重要な構成要素となっています。
特に興味深いのは「焼け跡菌」と呼ばれるグループで、山火事や焚き火跡の土壌に特異的に発生します。また、動物の糞上に発生する糞生菌、砂漠地帯で地下に子実体を形成する「砂漠のトリュフ」など、極限環境への適応も見られます。発生時期は種により異なりますが、多くは春から初夏、または秋に観察されます。
アミロイド反応の観察法:チャワンタケ科の最重要識別点であるアミロイド反応は、メルツァー試薬(ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液)で確認します。新鮮な子実層の切片を作製し、試薬を滴下すると子嚢が青〜青黒色に変色します。反応パターンは①先端リング、②先端部全体、③子嚢全体など属により異なり、これが分類の決め手に。また、胞子の油滴の数と配置、側糸頂部の形状、外被層の細胞構造も必ず確認しましょう。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。