🗓️ 最終更新日: 2025-06-07
- 杯状〜皿状の子実体(子嚢盤)を持ち、まさに「茶碗」の名の通りの形です☕
- 他のチャワンタケ型のきのこと同様に、子実体の内側(上面)が子実層面で、ここから胞子を放出します✨
- 大きさは数mmから最大15cmまで様々で、種によって差が大きいです📏
- 色は淡褐色〜暗褐色が多いですが、紫色や白色の種もあります🎨
- 外面は微毛や鱗片で覆われることが多く、触感も識別ポイント🔍
- 子嚢はメルツァー試薬で青く染まる(アミロイド)のが特徴です💙
- 柄は短いか欠如し、肉質は脆く壊れやすいです
- 生育環境が種ごとに特異的で、腐朽木・土壌・糞・建材・砂丘など多様です🏠
チャワンタケ属(Peziza)は子嚢菌門の大型の属で、その名の通り茶碗のような杯状の子実体を形成します。世界中で約100〜200種が知られ、腐朽木から建築材料、砂丘まで驚くほど多様な環境に適応しています。一見単純な形態ですが、分子系統解析により多系統群であることが判明し、将来的な分類の再編が予想される興味深いグループです。
チャワンタケ属は子嚢菌門・チャワンタケ亜門・チャワンタケ綱・チャワンタケ目・チャワンタケ科(Pezizaceae)に属します。チャワンタケ科の基準属として分類学的に重要な位置を占めています。
しかし分子系統解析の結果、この属は多系統群であることが判明。少なくとも6〜8の独立した系統に分かれ、これらはチャワンタケ科の他の属と混在しています。大きくクレードA(小型で浅い杯状)とクレードB(大型で深い杯状)に分けられますが、従来の形態的特徴と分子データは必ずしも一致しません。
まだ和名がついていない種ですが、世界的には最もiNat観察記録が多い種です(世界で約1万件)。子実体は2〜12cmで、若い時は杯状、成熟すると平たく不規則に展開します。上面は褐色で中央部に皺があり、下面は白色で微毛状。腐朽材や木片上に生育し、温帯地域に広く分布します。胞子は11〜16×6〜10μm、平滑で油滴なし。…以上の説明から分かる通り、これといった際立った特徴がない種です…。
観察記録数第2位(世界で約4千件)。子実体は深い杯状で縁が内側に巻き込む傾向があり、最大15cmにもなる大型の種です。淡褐色〜黄土色で、外面は微細な鱗片や顆粒状。堆肥、藁、富栄養土壌など有機物豊富な場所に群生。子嚢のアミロイド反応が強く、先端部全体が青く染まるのが特徴。有毒種として報告されているので注意!
観察記録約500件。最大の特徴は住宅内の建築材料上に発生すること!古い畳、セメント、石膏ボード、湿った絨毯、灰、壁面など多様な素材に生育します。浴室、台所、地下室、温室などの湿った場所を好みます。和名の「納屋」も室内に発生することを表しているのでしょうか?淡色〜淡褐色の杯状子実体。室内に発生することで衛生的にも気になるところですが、実際に過敏性肺炎の原因となった例があり(Wright et al., 1999)、健康上の注意が必要です。
観察記録約500件。海岸砂丘に限定して発生する特殊な種です。その発達様式は驚くべきもので、子実体は初め地下で球状に発達し、成熟すると砂を破って地表に現れ、5〜10の尖った花弁状に裂けて反り返ります!まるでツチグリのような外観になります。最近の研究で複数の隠蔽種を含む複合種であることが判明。
アンモニア菌の一種で、動物の死骸や糞尿の分解跡に発生する特殊な生態を持ちます。実験的には尿素などのアンモニア源を散布すると比較的普通に発生しますが、自然状態ではカラスの死骸周囲や古い糞の跡などで稀に見つかる程度。種小名の「urinophila」は「尿を好む」の意で、その生態をよく表しています。
ウネミノイバリチャワンタケと同じくアンモニア菌。尿素施与実験では落葉落枝上や地上にやや群生し、発生頻度も高いです。自然状態では白骨化した動物遺体の近くに散生する程度で、出会う機会は稀とのこと。色は白っぽいものから黄褐色まで変異が大きいです。
チャワンタケ属は主に腐生菌として、死んだ有機物を分解して生きています。腐朽木、堆肥、富栄養土壌、動物の糞、焼け跡地など多様な環境に適応し、一部の種は建築材料や砂丘という特殊な環境にも進出しています。温度20〜42℃、pH 3〜8という広い条件で生育可能な種もあり、その適応力の高さがうかがえます。
特に興味深いのはアンモニア菌と呼ばれるグループの存在です。ウネミノイバリチャワンタケやイバリチャワンタケは、動物の死骸や糞尿によって土壌中のアンモニア濃度が高くなった場所に特異的に発生します。これらは自然界の物質循環において、窒素化合物の分解・再利用という重要な役割を担っています。
実用的な同定のコツ:①まず生育基質をよく観察(腐朽材?土壌?)→②子実体の大きさと形状(深い杯状か浅い皿状か)と質感の脆さ(これも重要な特徴)を確認→③色彩パターン(内側と外側の色の違い)→④外面の質感(微毛?鱗片?)を記録。可能なら顕微鏡で胞子を観察(大きさ・形・装飾)すれば確実性UP!…ただ、ここまでしっかり記録しても、必ずしも種が同定できるわけではありません。関東の里山でよく見かけるのは地上生のものですが、同じような生え方をするものには科あるいはそれ以上のレベルで似たものが多いです…。アンモニア菌に自然界で出会うことは稀ですが、動物の痕跡を探すのがポイントです。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。