🗓️ 最終更新日: 2025-06-03
- コウヤクタケ類の一グループ。背着生の子実体を形成し、基質に密着して広がります🎨
- 子実層面は平滑~歯牙状~管孔状と多様で、種によって異なる表面性状を示します
- シスチジアを欠くのが本属の重要な識別点で、類似属との区別に役立ちます🔍
- 菌糸系は1菌糸型(monomitic)で、生殖菌糸にはクランプがあります
- 担子胞子は球形~楕円形で、種によっては微細な装飾(乳頭突起)があります✨
- 広葉樹の枯死材や倒木に発生する白色腐朽菌として生態系で重要な役割を果たします🌳
- 2020年に分子系統解析の結果に基づき、ラデュロマイセス科が新設されました📚
- サガリハリタケはしばしばシダレハナビタケと混同されますが、実は形態的にも系統的にも大きく異なります🍄
アカギンコウヤクタケ属(Radulomyces)は、樹皮や枯れ木の表面に薄く広がるコウヤクタケ型のきのこのグループです。一見地味ですが、種によって表面が平滑だったり、歯牙状の突起があったり、なかには1cmもの長い刺を持つサガリハリタケのような目を引く種もいます。2020年のLeal-Dutra et al.による分子系統解析で新たにラデュロマイセス科が設立され、2021年のNakasone et al.の研究により分類学的整理が大きく進展しました。
アカギンコウヤクタケ属は担子菌門・ハラタケ目に属し、2020年にLeal-Dutraらによって新設されたラデュロマイセス科の基準属です。1960年にデンマークの植物学者Christiansenによって記載され、アカギンコウヤクタケ(R. confluens)が基準種となっています。
2021年のNakasoneらによる包括的研究では、ITS + nrLSU配列を用いた分子系統解析により、本属がAphanobasidium属、Radulotubus属と共に強固な単系統群を形成することが確認されました。なお、サガリハリタケはかつてRadulodon copelandiiとして分類されていましたが、現在は本属に移されています。
本属で最も特徴的で見つけやすい種で、観察記録も圧倒的に多いです(約7,000件)。アジア原産とされますが北米に移入して分布を広げています。コナラ属やカエデ属の倒木に発生し、立ち枯れの幹に見られることもあります。白色~淡黄色の長い刺状構造(約1-1.2cm)が垂れ下がるように生じます。かつてはRadulodon属に分類されていましたが、分子系統解析により本属に移されました。関東の里山でも頻繁に見られます。
属の基準種で、本属で3番目にiNat観察記録が多い種(約140件)。ヨーロッパを中心に分布しますが、現在は北アメリカやアジアでも記録されています。子実体は背着生で蝋状の質感を持ち、広葉樹の枯死材に密着して広がります。子実層面は若干もこもこっとしていますが、サガリハリタケのような針状にはなりません。担子胞子には装飾があります。温帯の公園や森林でよく見られます。
本属で2番目にiNat観察記録が多い種(約200件)で、主にヨーロッパに分布。子実体は基質に密着して最大40cmまで広がり、表面に2~5mmの不規則な歯牙状突起を形成します。つまり、サガリハリタケほど子実層托が長く伸びません。クリーム色から黄褐色で、古くなると暗色化します。主にコナラ属などの広葉樹の枝に発生し、年中観察可能といわれます。
サガリハリタケに形態的に類似しますが、基部長20-35μm(vs 30-50μm)、子実体の厚さ0.5mm(vs 1-3mm)という明確な違いがあります。2021年のNakasoneらの研究により、これらの形態的差異が分類学的に有意であることが確認されました。東アジアに分布し、サガリハリタケと混同されやすいため、顕微鏡での詳細な観察が同定には必要とされています。
アカギンコウヤクタケ属の全ての種は腐生菌で、白色腐朽菌として森林生態系の物質循環に重要な役割を果たしています。木材中のリグニンやセルロースを効率的に分解し、倒木や枯れ枝を土に還す「森の掃除屋」として機能します。
種によって宿主選好性が異なり、サガリハリタケはコナラ属やカエデ属を好み、R. molarisは主にコナラ属の枝に特化しています。温帯から熱帯まで幅広い気候帯に分布し、特に湿度の高い森林環境でよく見られます。サガリハリタケは特に北米で移入種として分布を2009年以降どんどん拡大しています。発生時期は種や地域によって異なりますが、多くは通年観察可能です。サガリハリタケは子実体が腐りにくいためか、しばしば乾ききった状態が観察されます。
同定のポイント:シダレハナビタケは図鑑の写真がサガリハリタケと似ているので混同している人が多いです。しかし、シダレハナビタケはそもそもコウヤクタケ類ではないので背着生の部分がなく、本種が垂直に垂れ下がるのに対して、より立体的に広がります。顕微鏡的には、いずれも球形の胞子を持ちますが、シダレハナビタケはシスチジアを有し、2菌糸型です(骨格菌糸が見られる)。サガリハリタケはかつてRadulodon属に含まれ、そこから抜ける形になりましたが、Radulodon属はミダレアミタケ科の独立した属として現存し、キチャオクバタケなどが含まれます。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。