🗓️ 最終更新日: 2025-05-28
- 子実体は極めて小型で、傘の直径は通常15mm以下という愛らしいサイズです🍄
- 鮮やかな黄色〜橙色〜蜂蜜色の傘で、中央がへこんだお椀型(ヒダサカズキタケ型:omphalinoid)をしています✨
- 襞は柄に沿って垂生し、比較的疎です
- 必ずコケの上に発生し、地上や材上では見つかりません🌿
- ルーペで傘の表面を見ると毛状のシスチジアが観察できます🔍
- 胞子は楕円形で平滑、非アミロイド性、サイズは4-11×2-4μmです
- コケの仮根に付着器を形成するか直接侵入し、栄養を得ています💡
- 安定同位体解析により生体栄養的(biotrophic)な生活様式が判明しました📊
ヒナノヒガサ属(Rickenella)は、その名の通り「雛の日傘」のような可愛らしい極小キノコです。必ずコケの上に生え、鮮やかな黄色や橙色の傘が特徴的。2024年の最新研究により、見た目は普通のキノコなのに、実はタバコウロコタケ目という硬質菌類の仲間だということが確定しました。コケから栄養を得る特殊な生活様式を持ち、世界で約13種、日本でも数種が知られています。
ヒナノヒガサ属は担子菌門・ハラタケ綱・タバコウロコタケ目(Hymenochaetales)・リッケネラ科(Rickenellaceae)に属します。かつてはその傘と襞を持つ形態からハラタケ目に分類されていましたが、分子系統解析により全く異なる系統であることが判明しました。
同じ科には、傘と柄を持つContumyces、Blasiphalia、Loreleia、扇形~杯状のMuscinupta、珊瑚型のAlloclavariaなど、形態的に多様な属が含まれます。2024年の研究により、この科の大規模な分類学的再編成が行われ、現在の体系が確立されました。
世界で最も普通に見られる種で、iNat全世界観察記録は8,400件以上。傘径3-11mm、鮮やかな黄色〜橙色で、成熟すると扁平〜漏斗形になります。胞子は4.0-5.5×2.0-2.5μmと小型。温帯地域に広く分布し、日本でも各地で観察されます。英名は「Orange Moss Agaric(橙色のコケのきのこ)」など。
霞ヶ浦周辺の湿地で発見された日本新産種。傘径わずか1-3mmという極小サイズで、成熟しても扁平や漏斗形にならず丸いお椀型を保ちます。襞が幼時桃色を帯びるのが特徴的。春から夏にかけて、ヨシが優占する湿地のコケ群落に発生します。
新潟県の標高2115mで発見された亜高山帯の種。傘は蜂蜜色〜黄色がかったベージュ色で、他種より淡い色調が特徴。極地から亜高山帯にかけて分布する寒冷地適応種で、ミズゴケ(Sphagnum)群落に特異的に発生。JGIでゲノム解析が進行中の注目種です。
傘の中央部が暗褐色、縁がクリーム色という特徴的な二色の配色を持つ種。柄も先端が暗赤褐色、下部が黄褐橙色と色分けされています。R. fibulaより全体的に暗色で、iNat観察記録は約600件と比較的少なめ。ヨーロッパを中心に分布。
ヒナノヒガサ属の全ての種はコケ生息性(bryophilous)で、コケとの間に特殊な栄養関係を持っています。菌糸がコケの仮根に侵入していますが、安定同位体解析(δ¹³C、δ¹⁵N)により、光合成パートナーであるコケから炭素を得ているものの、窒素の栄養交換は行わない片利共生的な関係であることが示唆されています。
興味深いことに、植物細胞壁分解酵素とリグニン分解活性を保持しているにも関わらず、生きたコケにのみ生息し、枯れたコケや他の基質では生育できません。この特異的な生活様式は、タバコウロコタケ目の中でも独特な進化を遂げた結果と考えられています。
日本産ヒナノヒガサ属の見分け方:①生息環境(高山のミズゴケ→タカネ、湿地→ヒメ、その他→普通種)②傘のサイズ(1-3mm→ヒメ、3-15mm→その他)③色調(蜂蜜色→タカネ、鮮橙色→普通種かヒメ)④襞の色(幼時ピンク→ヒメ)。必ずコケと一緒に標本にして、可能なら胞子サイズも確認しましょう!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。