🗓️ 最終更新日: 2025-07-02
- 背着生で基質に密着するコウヤクタケ類の一グループで、極めて薄い子実体を形成します🔍
- 新鮮時はゼラチン質で半透明、しばしば青みがかった灰色を呈します💧
- 顕微鏡で見ると側生担子器(pleurobasidia)という特殊な構造が決め手!📊
- 胞子は無色で疣状装飾を持ち、比較的小型です
- 1菌糸型で菌糸にはクランプを持ち、ゼラチン化により観察が困難なほど細いです✨
- 枯死した落葉樹の材上に発生し、材の白色腐朽を引き起こします🪵
- 2022年に新設されたキセナスマ目に属する、系統分類学的に興味深いグループです🧬
キセナスマ属(Xenasma)は背着生のコウヤクタケ類の一グループで、枯死した落葉樹材上に極めて薄い子実体を形成します。新鮮時はゼラチン質で半透明、しばしば青みがかった色調を呈し、乾燥すると薄い膜状になってほぼ視認できなくなります。側生担子器という特殊な担子器構造を持つことが最大の特徴です。
キセナスマ属は担子菌門・ハラタケ綱・キセナスマ目・キセナスマ科に属します。1957年にDonkによって記載され、長らく分類学的位置が不安定でしたが、近年の分子系統学的研究により独立した目として確立されました(Luo et al., 2022)。
かつてはタマチョレイタケ目やベニタケ目に分類されていましたが、分子系統学的研究により、独自の系統を形成することが判明。近縁あるいは同一属と考えられていたキセナスマテラ属(Xenasmatella)は全く別系統(キセナスマテラ目・キセナスマテラ科)に分離され(Liu et al., 2023)、形態的類似性と系統的関係が必ずしも一致しないことを示す好例となっています。
北米東部やヨーロッパから知られています。青みがかった灰色の、非常に薄い背着生子実体を形成し、胞子の疣状突起はKOHで溶解します(平滑になる)。主に落葉樹の枯れ枝や倒木に発生します。
世界的に広く分布する種で、本属の中で唯一、胞子装飾がKOH処理しても残存する特徴的な種です。種小名は「見過ごされた」という意味で、その地味な外観を表していると思われます。担子器はやや大型。主に温帯地域の落葉樹林で観察され、腐朽の進んだ材を好みます。
ヨーロッパに分布する種で、「粉状」の種小名の通り、白っぽい粉状の外観が特徴です。子実体は特に薄く、乾燥時にはほとんど見えなくなります。担子胞子は小刺状。湿度の高い環境を好み、渓流沿いのフユボダイジュの倒木などでよく見つかります。
世界的に広く分布する種。本属では珍しくレプトシスチジア(leptocystidia)というシスチジアの一種を持つことが特徴です。日本にも分布することが知られています。
キセナスマ属のきのこは全て腐生菌で、枯死した木材を分解して生きています。白色腐朽型の木材腐朽菌として、リグニンとセルロースの両方を分解し、森林生態系の物質循環において重要な役割を果たしています。
高湿度の環境を好み、主に日陰の落葉樹林内で見つかります。子実体が極めて薄く目立たないため、実際の分布や多様性は過小評価されている可能性が高く、注意深い観察により新たな発見が期待される分類群です。
同定のコツ:①青みがかった薄い膜状の子実体を見つけたら本属の可能性を考える(青色のコウヤクタケは珍しいので、この時点でかなり確信度大)→②ゼラチン質で半透明かどうか確認→③顕微鏡で側生担子器の有無をチェック→④胞子の疣状~小刺状装飾を観察(水とKOH両方で)。薄すぎて見落としやすいので、材の表面をじっくり観察することが重要です!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。