🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
チャミダレアミタケ属(Daedaleopsis)は、タマチョレイタケ科に属する木材腐朽菌で、子実層托が迷路状になるのが特徴的。1888年にSchröterによって記載された歴史ある属です。世界中に分布し、主に広葉樹の枯死材や傷口部分に発生する白色腐朽菌として重要な生態的役割を担っています。
チャミダレアミタケ属は担子菌門・ハラタケ綱・サルノコシカケ目・サルノコシカケ科(Polyporaceae)に属します。最新の研究では本属に6〜11種が含まれるとされ、ヨーロッパには主にチャミダレアミタケとD. septentrionalisの2種が分布しますが、日本ではチャカイガラタケとエゴノキタケがよく見られます。
分子系統解析により、チャミダレアミタケとチャカイガラタケは非常に近縁であることが分かっています。両種は子実層托の形状が相当異なりますが、後者を前者の変種とする見解と、それぞれ独立種とする見解が並立しています。興味深いことに、約7000年前の新石器時代の遺跡からチャカイガラタケの子実体断片が発見され、古代DNAの抽出・解析に成功しました(Bernicchia et al., 2006)。サルノコシカケ科内では、シロアミタケ属(Trametes)、ホウロクタケ属(Daedalea)などと近縁関係にあります。
本属の基準種で、iNat観察記録は全世界で約2万件と最も普通に見られる種です。北米東部とユーラシア大陸に広く分布する一方、日本ではそれほど観察記録が多くありません。子実体は半円形〜扇形で幅5-15cm、上面は灰褐色〜褐色で環紋をあらわします。子実層は管孔状〜迷路状で、傷つけると赤変または桃色に変色するのが特徴。主にヤナギ類を好みますが、カバノキなど他の広葉樹にも発生します。胞子は円筒形で7-11×2-3μm。
iNat観察記録約3千件。外見はチャミダレアミタケとよく似ていますが、子実層がより明確な襞状を示すのが特徴です。サクラなど様々な広葉樹に発生し、チャミダレアミタケと同様に傷つけると赤変するといわれていますが、はっきりとは分かりません。分子系統解析ではチャミダレアミタケと非常に近縁で、培養性状や酵素産生能も類似しているといいます。
観察記録は比較的少なく、主に北方の温帯林に分布する種です。子実体は幅7cmまで、上面は褐色で密な毛状構造があり、老成すると暗色化します。最大の特徴は子実層托が放射状の襞状であることです。ほぼカバノキ属樹木に限って発生する宿主選好性の高い種です。
東アジア特産種で世界的には稀ですが、関東の里山では頻繁に見られる種です。エゴノキに特異的に発生し、このきのこがあることからエゴノキの存在を知ることも。日本、韓国、中国などに分布します。形態的には他のチャミダレアミタケ属と類似し、扇形〜半円形の子実体に褐色〜灰褐色、時に紫色を帯びる上面と、襞状~迷路状の子実層托を持ちます。チャカイガラタケよりも子実層托が厚く疎で、白っぽい傾向があります。
チャミダレアミタケ属は主に北半球の温帯地域に分布する白色腐朽菌で、リグニン分解酵素(マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼなど)を分泌して木材を分解します。多くの種は広葉樹の枯死材や生立木の傷口部分に発生し、一年生(稀に二年生)の子実体を形成します。
生態系では重要な分解者として機能し、枯死木の栄養循環に貢献しています。子実体は材上に比較的永く残り、菌食性甲虫の餌となることもあります。
実用的な同定のコツ:関東の里山に分布するのは、ほとんどチャカイガラタケかエゴノキタケ。まず、子実層托が襞状~迷路状であることで他の属を除外します。チャカイガラタケとエゴノキタケは子実層托の厚さや密度で区別できます。上面がチャカイガラタケにそっくりで子実体が厚く、子実層托がより孔口に近い形ならチャミダレアミタケを考慮します。宿主樹種も重要で、ヤナギならチャミダレアミタケ、エゴノキならエゴノキタケの可能性が高いです。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。