🗓️ 最終更新日: 2025-05-31
- 代表的な多孔菌(サルノコシカケ類)のグループの一つ。傘状(棚状・扇形・半円形)の(多孔菌にしては)薄い子実体で、多くの種で環紋状の模様があります🍄
- 表面は微毛状~ビロード状のものが多く、カワラタケでは多色の美しい縞模様が特徴的です🎨
- 裏面は多くの種で小さな孔口を持つ管孔状で、カイガラタケでは迷路状~襞状になります
- 菌肉は白色で薄くしなやかなのが特徴。シロアミタケはアニスのような独特の臭いを持ちます✨
- 2菌糸型~3菌糸型で、真の子実層シスチジアを欠くのが顕微鏡的特徴です🔍
- 全て白色腐朽菌で、リグニン分解酵素(ラッカーゼなど)を生産し木材を分解します
- 分子系統解析により、カイガラタケ属(Lenzites)やシュタケ属(Pycnoporus)も本属に統合されました📚
- 広葉樹の枯死材に多く発生し、まれに針葉樹にも。一年中見られますが古すぎず、新しすぎない子実体が同定しやすいです🍂
シロアミタケ属(Trametes)は担子菌門サルノコシカケ科の大きな属で、約195種が知られています。薄い傘状の子実体と同心円状の美しい模様が特徴的で、特にカワラタケは世界中で最も観察されるきのこの一つです。全て白色腐朽菌として木材を分解し、森林生態系で重要な役割を果たしています。最新の分子系統解析により、形態的に異なり、かつては別属とされていたカイガラタケやヒイロタケのグループも本属に統合され、形態の多様性がさらに広がりました。
シロアミタケ属は担子菌門・ハラタケ亜門・ハラタケ綱・タマチョレイタケ目・タマチョレイタケ科に属します。Friesによって1836年に記載された歴史ある属で、日本では北海道から沖縄まで、ほぼ全土に分布しています。
最新の分子系統解析により、本属は3つの主要な系統に分けられることが判明しました:①Artolenzites系統(単独種)、②Pycnoporus-Leiotrametes系統(旧Pycnoporus属を含む)、③コアTrametes系統(基準種を含む主要系統)。この研究により、形態的に異なって見えるLenzites、Pycnoporus、Coriolopsisなど9属がTrametesのシノニムとして統合されました。
世界で最も観察記録が多いきのこの一つ。薄い扇状の子実体(厚さ1-3mm)に、ビロード状の表面と多色の鮮明な環紋が特徴的です。「versicolor」の種小名の通り、色彩の変異が大きく、時には真っ黒に近いものも。子実層面は白色~淡黄色で、小さな管孔が密生(1mmあたり3-8個)。広葉樹の枯死材に普通に発生し、まれに針葉樹にも。胞子は円筒形でわずかに湾曲(4-6×1.5-2.5μm)。最も身近で最も見分けやすい種の一つですが、近年の研究では複合種ではないかとも…そうすると種同定の難易度は跳ね上がってしまいますね…。しばしばHypomyces属菌に寄生されていますが、この寄生菌は「カワラタケキセイキン」か「タコウキンヤドリタケ」のどちらかで、顕微鏡で胞子を見ないと同定は困難です。
カワラタケより大きく厚い子実体(厚さ1-3cm)で、幅5-25cmと大型。表面は白色~淡灰色の絨毛状で、しばしばコブ状の凹凸があります。子実層面の管孔は伸長した多角形(1-3mm長)なのが特徴。主にブナやシラカバなど広葉樹の枯死材に発生。胞子は4.5-6×2-2.5μm。この種はチリメンタケとの同定に迷いますが、上述のようにブナ・シラカバの冷涼な環境に生息するので、関東の里山で見られる種はおそらくチリメンタケでよいと思います。
扇形~半円形で幅3-12cm。最大の特徴は迷路状または放射状に伸長した襞状の子実層面で、通常の管孔とは全く異なります。表面はビロード状~毛状で、白色~淡茶色の環紋を持ちます。主にカバノキ属など広葉樹の枯死材に発生しますが、関東の里山でも普通に見られます。以前はLenzites属とされていましたが、現在は本属に統合。
属の基準種。半円形~蹄形で幅5-15cm、厚さ2-4cmとやや厚い。表面は初め絨毛状、後に滑らかになり、白色~クリーム色。最大の特徴は特有のアニス香(八角の香り)で、これで容易に識別できます。管孔は1-3個/mmで角張ります。主に水辺のヤナギ属など広葉樹の枯死材に発生。胞子は他種より大きく7-10×2.5-3.5μm。
以前はPycnoporus属とされていた鮮やかな朱赤色~橙色のきのこ。サルノコシカケの仲間でこのような鮮やかな種は非常に珍しいのですが、身近な場所で頻繁に目にするので、見慣れすぎてありがたがられていない感がありますね…。この鮮烈な色彩は色素シンナバリンによるもので、きのこ染めにも利用されています。表面は平滑~微細な綿毛状。管孔は小さく密。熱帯~亜熱帯に多く、日本でも暖地で見られます。胞子は4-5×2-2.5μm。しばしばシュタケと迷う人がいますが、関東の里山で見られるのは専らヒイロタケです。管理人は富士山周辺や新潟以北でシュタケを見たことがあるようです。
シロアミタケ属の全ての種は白色腐朽菌として、森林生態系で極めて重要な分解者の役割を担っています。リグニン、セルロース、ヘミセルロースを分解する能力により、枯死木を白く柔らかく変化させ、最終的に土に還します。
リグニン分解酵素、特にラッカーゼの生産能力が高く、カワラタケは工業的な酵素生産でも注目されています。これらの酵素は環境汚染物質の分解(バイオレメディエーション)、パルプ・製紙産業、染料の脱色など、様々な分野で応用研究が進んでいます。温帯から熱帯まで世界中に分布し、特にカワラタケは最も広域に分布する菌類の一つです。
見分けのコツ:上面だけで同定しようとすると、誤同定のリスクが非常に高いです!特に写真からの同定では、上面の写真だけでは情報不足。まず下面の様子を確認してください。管孔があればサルノコシカケ科の仲間、平滑ならウロコタケ科などの別グループです。次に表面の模様と色、子実体の厚さをチェック。多孔菌はきのこが硬くて永く残るので、見つけやすさという面では有利なのですが、風雨に晒されてだいぶ姿・形が変わってしまうことも珍しくありません。また、幼菌はかなり様子が違うことがあるのですが、普通は図鑑に掲載されていないので、これも混乱のもとです。フィールドでたくさん見て経験を積むことが大事ですね!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。