🗓️ 最終更新日: 2025-08-29
ベニイグチ属(Heimioporus)はイグチ科の一属で、鮮やかな赤色から紫赤色の傘と、柄の網目模様が特徴的なイグチの仲間です。かつては「Heimiella」という学名で知られていましたが、のちに現在の属名に再分類されました。顕微鏡的には、オリーブ褐色の胞子に点状または網目状の装飾があるのが特徴です。
ベニイグチ属は担子菌門・ハラタケ綱・イグチ目・イグチ科に属し、分子系統解析によりXerocomoideae亜科に位置づけられています。分子系統解析の結果、キクバナイグチ属とは明確に区別される独立した系統であることが確認されました。
Horak (2004) は胞子の形態に基づいて2亜属を認めています:Heimioporus亜属(胞子表面が網目状、発芽孔なし)とPunctispora亜属(小さく多数の孔状装飾、発芽孔あり)です。
日本産ベニイグチ属では唯一の既知種で、世界的にも観察記録最多の種です(それでも約60件とかなり少数)。傘は深赤色で最大直径15cmほど、管孔はレモン色、柄は傘と同じ赤色で表面に網目模様があります。胞子には網目状装飾を持ちます。夏から秋にシイ・カシ林、コナラ、クヌギ、アカマツ混交林などに発生します。日本のほか、中国、シンガポール、オーストラリア、タイなどでも知られる広域分布種です。
ベニイグチ属は全ての種が外生菌根菌として、様々な樹木と共生関係を形成します。主にブナ科植物(コナラ属、ブナ属、クリ属など)と共生しますが、一部の種はマツ科植物とも関係を持つとされています。熱帯から亜熱帯の地域を中心に分布し、温帯地域にも進出しています。
興味深いことに、タイで発見されたH. subcostatusはフタバガキ科の林に特異的に発生することが報告されており、宿主選好性に地域的な違いがあることを示しています。生物地理学的には、東アジアと東南アジア/オーストラリアに分布する種群が密接に関連しているようです。
同定のコツ:傘と柄が赤色、管孔が黄色いイグチを見つけたら、まずベニイグチを疑います。①柄を観察→網目模様があればベニイグチ属の可能性大。②可能なら胞子を顕微鏡観察→縦の肋があればキクバナイグチ属(ミヤマベニイグチ)、点状・網目状ならベニイグチ属。③生息環境もチェック!日本ではブナ科樹木と共生します。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。