🗓️ 最終更新日: 2025-06-11
- 枯れ木上に発生する褐色の革質〜木質のきのこで、多年生のものが多いです🍄
- 子実層に剛毛(setae)という、暗褐色厚壁の特殊な構造を持ちます🔍
- 子実層はKOHなどのアルカリ液で黒変する「キサントクロイック反応」を示します⚗️
- 菌糸系は1菌糸型(monomitic)で、クランプのない単純隔壁を持つのが特徴です
- 子実体の形は背着生・棚状・有柄まで多様で、同一種でも変異があります✨
- 担子胞子は比較的小型の楕円形~円筒形で、無色薄壁です
- 材に白色腐朽を引き起こし、特定の樹種への選好性が高い種が多いです🌳
- 「タバコウロコタケ属」の和名でよばれていますが、分子系統解析によりHydnoporia属が分離され、タバコウロコタケもそちらに移ってしまいました📊
タバコウロコタケ属(Hymenochaete)は木材腐朽菌のグループで、肉眼的には褐色の革質〜木質の子実体、顕微鏡的には子実層に並ぶ剛毛という槍状の構造で特徴づけられます。長らく分類学的に安定した属でしたが、分子系統解析により大きく再編されました。白色腐朽を引き起こし、多くの種が特定の樹種に宿主選好性を示します。
タバコウロコタケ属は担子菌門・ハラタケ綱・タバコウロコタケ目・タバコウロコタケ科に属します。タバコウロコタケ目は主に木材腐朽菌で構成され、かつては形態に基づいて分類されていましたが、分子系統解析により単系統群として再編されました。
Wagner & Fischer(2002)により、伝統的な本属が多系統群であることが判明。Miettinen et al.(2019)はタバコウロコタケを含む一部の種をHydnoporia属として分離しました。現在の本属は少なくとも4つのサブクレードから構成され、基準種エビウロコタケ(H. rubiginosa)を含むクレードが中核となっています。興味深いことに、ワヒダタケ、キヌハダタケなどかつてCyclomyces属に分類されていた種の多くも本属に含まれることが分かりました。
本属の基準種で、iNatの全世界観察記録最多(約3,800件)。棚状〜背着生の子実体を形成。傘は1-6cm幅で淡褐色〜さび褐色、環紋が特徴的。子実層面は黄褐色〜灰褐色で平滑。剛毛は多数で先端が尖り、担子胞子は円筒形〜楕円形。主にコナラ属樹木に発生し、心材腐朽を引き起こします。最新研究により、ヨーロッパ・北米・東アジアの集団は別種の可能性が示唆されています。
淡褐色〜暗褐色で変異の多い子実体を形成。かつてはCyclomyces tabacinusとして別属に分類されていましたが、2019年の分子系統解析により本属に移されました。担子胞子は円筒形でやや屈曲します。形態的特徴だけでは近縁種との区別が困難で、分子データが重要な同定ツールとなっています。
背着生で基質に密着し、鮮やかな赤色の子実層面を形成。平滑〜顕著な瘤状で不規則な亀裂が入るのが特徴。剛毛は紡錘形〜錐形。樹枝状糸状体(dendrohyphidia)という特殊な分岐する構造を持ち、これが近縁種との重要な識別点。主にモミ属(Abies)に特異的に発生し、ヨーロッパでは比較的稀です。
柄が中心生で扇形〜さじ形の傘を持つ、本属では珍しい形態をとります。傘表面は微細な繊維状で黄褐色〜革色、溝状の環紋をあらわします。柄は側生し枝分かれすることもあり、ビロード状。担子胞子は楕円形。アメリカ大陸固有種で、メキシコから南米まで広く分布しています。
放射状ではなく同心円状に並んだ襞という、極めて特徴的な子実層を持ちます。この独特な形態から、かつてはCyclomyces属(学名の由来は「円の菌」)という別属に分類されていましたが、分子系統解析により本属に移されました。関東の里山では比較的よく見られる種で、裏側を見れば見間違えることはまずありません!
タバコウロコタケ属は全種が木材腐朽菌で、白色腐朽を引き起こします。主に広葉樹の枯死材に発生しますが、一部の種は針葉樹やタケ類にも見られます。温帯から熱帯まで広く分布し、特に熱帯で高い多様性を示します。
多くの種が顕著な宿主選好性を示し、エビウロコタケは主にコナラ属、アカウロコタケはモミ属、H. corrugataはハシバミ属、H. rhododendriはツツジ科植物というように、特定の樹種群と関係を持ちます。興味深い生態として、H. corrugataは「Glue Crust(接着剤コウヤクタケ)」と呼ばれ、枝同士を子実体を介して接着する性質があります。
実用的な同定の流れ:野外で褐色の硬質菌を見つけたらタバコウロコタケ科のきのこを疑います。ネンドタケなど他属の普通種に当てはまらなかったら本属かもしれません。さらに①発生樹種→②子実体の形態(背着生・棚状・有柄)と色調→③子実層面の形状(平滑・管孔状・襞状)などを記録していきましょう。可能ならKOH液で黒変反応を確認するとよいです。さらに顕微鏡で剛毛のサイズと形状、担子胞子のサイズを測定しておくと詳しい絞り込みに役立ちます。ただしこのグループは形態のみではしばしば限界があるので、種までの同定は時に困難かもしれません。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。