🗓️ 最終更新日: 2025-05-30
- 子実体は黄褐色〜暗褐色で、KOHなどアルカリ液で黒変するキサントクロイック反応を示します✨
- 剛毛という褐色の太い毛のような構造が決定的な特徴です!🔍
- 世界で約34属・670種以上という大きな科で、特に熱帯地域で多様です🌏
- ほとんどが白色腐朽菌として木材のリグニンを分解し、材を白く軽くします🌲
- 子実体は平滑〜管孔状まで多様で、一年生〜多年生と永続性も様々です
- 菌糸構成は1菌糸型か2菌糸型で、3菌糸型は稀(シハイタケ属のみ)📊
- 菌糸にクランプが無いことも重要な識別点(ルーペでは見えませんが…)
- 広葉樹・針葉樹の心材腐朽病やブドウのエスカ病など、重要な病原菌も含みます⚠️
タバコウロコタケ科は担子菌門最大級の科のひとつで、「剛毛」という太い褐色の毛が最大の特徴です。森の掃除屋として倒木や枯木を分解する重要な役割を果たしていますが、一部は生木に寄生して心材腐朽病などを引き起こす厄介者でもあります。最近の分子系統解析により大規模な再分類が進行中で、かつての巨大なキコブタケ属(Phellinus)やカワウソタケ属(Inonotus)は多くの小さな属に分割されました。
タバコウロコタケ科は担子菌門・ハラタケ綱・タバコウロコタケ目に属する単系統群です。剛毛の存在、クランプ結合の欠如、キサントクロイック反応という3つの特徴により形態的にも分子系統学的にも支持される、系統学的に均質な科です。
21世紀の分子系統解析により分類体系は激変しました。かつて別科とされていたシハイタケ属(Trichaptum)やOxyporus、Schizoporaなども本科に含まれることが判明。逆に巨大だったキコブタケ属とカワウソタケ属は、Fulvifomes、Fomitiporia、サビアナタケ属(Fuscoporia)、マツノカタハタケ属(Porodaedalea)など多数の属に細分化されました。最新の研究では約34属672種以上が認められており、今後も再編が続く見込みです。
全世界のiNat観察記録8万件と本科で圧倒的に多く見られる属。里山で普通な「ハカワラタケ」を擁する属です。一年生〜多年生の棚状子実体で、紫色〜褐色の特徴的な色調を示します。表面は絨毛状〜剛毛状で、孔口は不規則。2菌糸型〜3菌糸型の菌糸構造を持ち、先端に結晶を持つシスチジアが特徴。元はタマチョレイタケ科でしたが、分子系統解析の結果から本科へ移された興味深い経歴の持ち主です。
観察記録約3万件。多年生で蹄形〜丸い傘状の木質〜コルク質の硬い子実体が特徴。2菌糸型で黄褐色の骨格菌糸を持ち、褐色楕円形厚壁の担子胞子が識別に有用。かつては巨大属でしたが、現在は狭義のPhellinusに限定され、多くの種が他属へ移されました。広葉樹・針葉樹の心材腐朽を引き起こす重要な病原菌群です。
観察記録2万件以上。基質に密着〜傘状の子実体で、2菌糸型の菌糸構造。結晶に覆われた生殖菌糸と濃褐色の剛毛が特徴的。胞子は無色で円筒形〜楕円形。世界中に広く分布し、広葉樹と針葉樹の両方に生息。分子時計解析では約7700万年前(白亜紀後期)に起源を持つ古い系統とされています。
観察記録約1万5千件。一年生の子実体で、柔らかく新鮮時は水分を多く含みます。1菌糸型の単純な菌糸構造で、剛毛の有無は種により異なります。主に広葉樹の生木や枯木に生育する白色腐朽菌で、代表種のカワウソタケはサクラの街路樹にしばしば見られます。分子系統解析により多くの種が別属へ移され、現在は限定的な属となっています。
観察記録約7千件。本科の基準属で、基質に密着〜傘状の革質〜木質の子実体。「○○ウロコタケ」の例に漏れず、平滑な子実層面(管孔を持たない)が他属との大きな違い。ただ、かつては他の属だったワヒダタケも現在は本属に含まれており、これは同心円状の特有の子実層托を持ちます。1菌糸型で、厚壁の暗褐色剛毛を必ず持ちます。主に熱帯地域で多様化し、約130種が知られています。落枝や倒木上の腐生菌が多いですが、一部は生木に寄生します。
観察記録約6,600件。針葉樹専門の白色腐朽菌で、マツ・モミ・トウヒなどの心材腐朽を引き起こす重要な病原菌。多年生で木質、迷路状〜不規則な孔口が特徴的。2菌糸型で暗褐色の骨格菌糸と剛毛を持ちます。キコブタケ属から分離された属で、針葉樹への高い宿主特異性により識別されます。
タバコウロコタケ科の菌類は森林生態系の重要な分解者として、倒木や枯木を分解し栄養循環を担っています。白色腐朽菌として木材中のリグニンを効率的に分解できる生物群で、これにより木材は白く軽くなり、最終的に土に還ります。
しかし一部の種は生きた樹木に寄生し、心材腐朽病、根腐病などを引き起こす重要な病原菌でもあります。特にマツノカタハタケ属は針葉樹、キコブタケ属は広葉樹の林業分野で大きな被害をもたらします。一方で、腐朽した木材は昆虫や小動物の住処となり、生物多様性の維持にも貢献しているという複雑な役割を持っています。
実用的な同定の流れ:野外で褐色の硬いきのこを見つけたら、まず本科を疑います。特に割ってみて中身も褐色だったら確信度UP!剛毛の有無をルーペで確認(褐色の太い毛)し、子実層面の形態を観察(平滑ならタバコウロコタケ属、管孔があれば他属)→子実体の硬さと永続性をチェック(一年生で柔らかければカワウソタケ属の可能性)→宿主樹種を特定(針葉樹ならマツノカタハタケ属かも)→可能なら顕微鏡で菌糸型を確認(1菌糸型か2菌糸型か)。これらの方法で属レベルまで絞り込めることが多いです!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。