🗓️ 最終更新日: 2025-05-27
- 子実体は背着生~傘状で、表面は黄褐色~暗褐色~さび色の多孔菌です🍄
- 2菌糸型で、生殖菌糸には結晶物が付着し、骨格菌糸は厚壁で褐色です✨
- 顕微鏡で見ると褐色の剛毛(setae)が錐形~棒状に並んでいるのが特徴的です🔍
- 担子胞子は無色・薄壁・平滑で、種により円筒形~楕円形~類球形と形が異なります
- 広葉樹・針葉樹の生立木や枯死木に発生し、白色腐朽を引き起こします🌲
- 孔のサイズは1mmあたり3-13個と種により大きく異なり、同定の重要な手がかりです
- かつてはPhellinus属とされていましたが、分子系統解析により独立した属として再評価されました📚
- 世界で90種以上が知られ、特に熱帯・亜熱帯地域で種多様性が高いグループです🌏
サビアナタケ属(Fuscoporia)は、その名の通り錆びたような暗褐色の孔を持つ多孔菌類です。かつてはPhellinus属の一部とされていましたが、2001年の分子系統解析により独立した属として再確立されました。世界中の森林で木材の白色腐朽を引き起こし、生態系の物質循環に重要な役割を果たしています。2菌糸型と褐色の剛毛という顕微鏡的特徴が、他の多孔菌との識別ポイントです。
サビアナタケ属は担子菌門・真正担子菌綱・タバコウロコタケ目・タバコウロコタケ科に属します。1907年にMurrillによって設立され、F. ferruginosaを基準種としています。長らくPhellinusやPoriaのシノニムとされていましたが、形態と分子データの統合的研究により独立性が認められました。
2001年のWagnerとFischerによるnLSU解析が転機となり、Phellinusから6種が本属へ移されました。現在ではITS・nLSU・RPB2・TEF1などの複数遺伝子解析により、形態的に類似した種が複数の複合種を形成していることが判明。特に熱帯地域には多くの未記載種が潜んでいると考えられています。
世界的に最も観察記録の多い種(iNat17000件以上)です。一年生で傘状、幅2-6cm。傘表面は粗い絨毛状で栗色~肉桂色。孔口は5-8個/mm、担子胞子は楕円形~倒卵形(4-5×3-3.5μm)。広葉樹の生立木・枯死木に発生し、抗酸化・抗菌作用を持つ化合物を含有。熱帯から温帯まで広く分布します。
主にヨーロッパに分布する半円形~貝殻状の大型種(幅12-30cm)。傘表面は灰褐色で厚い木質、管孔表面は肉桂色~さび色で5-6個/mm。欧州では主にコナラ属(Quercus)を好むが、カエデ属など様々な広葉樹にも発生。北米では針葉樹にも。フスコトルノン類(fuscotorunones)など多様な生理活性物質を産生することで知られています。
針葉樹を好む種として知られ、背着生~反曲する薄い子実体を形成。最大の特徴は細長い円筒形の担子胞子(7-9×1.5-2μm、Q値>2)で、これにより他種から明確に区別できます。褐色の管孔表面を持ち、北半球の温帯域に広く分布。枯死した針葉樹材に白色腐朽を引き起こします。
熱帯域に分布する種で、日本でもたまに見られる。小型の孔口(7-9個/mm)とシスチジオールの存在が特徴。欧州、東アフリカ、オーストラリア、アメリカと広範囲に分布。ハワイのF. hawaiianaを含むF. wahlbergii複合種を形成しており、分子系統解析なしには正確な同定が困難なグループです。
属の基準種として分類学的に最重要。完全に背着生で傘を作らず、基質に広がります。2菌糸型で生殖菌糸に結晶が付着するという属の典型的特徴を示し、担子胞子は5.0-6.5×3.0-3.5μm。F. dolichoseta、F. ambiguaなどと系統学的に近縁で、主に広葉樹に発生します。
サビアナタケ属は森林生態系の重要な分解者として、木材の白色腐朽を担っています。リグニン・セルロース・ヘミセルロースを全て分解できる能力を持ち、ペルオキシダーゼやラッカーゼなどの酵素を産生。木材を柔らかく繊維質で白色に変化させます。
生立木と枯死木の両方に発生し、主に心材部分を腐朽させます。多くの種は広葉樹を好みますが、一部は針葉樹に特化。木材分解の過程では主に二次定着者として機能し、初期定着者の後に侵入してリグノセルロースを集中的に分解。他の生物への生息場所や食物源も提供し、森林の物質循環に不可欠な存在です。
実用的な同定の流れ:関東の里山で圧倒的によく見られるのはネンドタケ。次いで傘上面にはっきりと剛毛を持つネンドタケモドキです。①まず子実体の形態(背着生か傘状か)と孔の大きさ(1mmあたりの数)を確認→②基質の樹種(広葉樹か針葉樹か)を記録→③可能なら担子胞子の形とサイズを顕微鏡観察(特にQ値に注目)→④剛毛の有無と形状を確認→⑤近縁種が疑われる場合はITS+追加マーカーでの分子同定を検討。形態だけでは限界があることを認識しつつ、まずは肉眼的特徴から絞り込むのがコツです!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。