🗓️ 最終更新日: 2025-06-17
トゲツブコブタケ属(Kretzschmaria)は木材腐朽性子嚢菌の一グループで、1849年にFriesが命名した歴史ある属です。世界で約30種が知られ、特に都市樹木の重要な病原菌として注目されています。子座は幼時灰色〜白色で、成熟すると黒色で脆い炭のような質感になるのが大きな特徴。老成が進むと子座内部は空洞になります。春の無性世代と夏以降の有性世代で姿が変わる二相性の生活環を持ちます。
トゲツブコブタケ属(Kretzschmaria)は子嚢菌門・フンタマカビ綱・クロサイワイタケ目・クロサイワイタケ科に属します。現在約30種が世界中に分布しています。
分子系統解析により、以前は別属とされていたUstulina属が本属のシノニムであることが判明しました。クロサイワイタケ科内ではクロサイワイタケ属(Xylaria)、カタツブタケ属(Rosellinia)、ヘビコブタケ属(Nemania)と近縁で、これらは全て子嚢の先端構造が帽子形または壺形であることで特徴づけられます。
本属で最も普通な種で、iNat全世界観察記録数はダントツの1位(約11,000件)!子実体は縁が波打つクッション状~かさぶた状で、春は灰色で粉状、夏以降は黒色で脆くなります。子嚢胞子は楕円形で約25-35×7-10μmと、「オオミ(大実)」の名に違わない巨大なサイズ。直線状の発芽溝を持ちます。北半球の温帯地域に広く分布し、ブナ、シナノキ、カエデなどの広葉樹に発生して根株腐れを引き起こします。都市樹木の重要な病原菌として知られ、特に関東の里山ではナラ枯れで弱った木にびっしりと生えている光景が目立つようになってきました…!
棍棒状または円錐状の特徴的な形態を持つ本属の基準種。単生または群生し、黒色の子座表面には小さな突起(子嚢殻の孔口)が見られます。主に熱帯・亜熱帯地域の広葉樹に発生し、特にハワイやアジア太平洋地域ではマカダミアナッツの重要な病原菌で、マンネンタケと同じく、根腐れにより徐々に宿主を弱らせる病原菌として知られています。
トゲツブコブタケ属の菌類は全て木材腐朽菌で、生きている樹木にも枯れた木にも発生する機会的病原菌として振る舞います。主に広葉樹(ブナ、カエデ、シナノキ、カシ類、ナラ類、マカダミアなど)の根際や幹の基部に発生し、湿度の高い森林環境を好みます。
本属の最大の特徴は軟腐朽を引き起こすことです。セルロースとリグニンの両方を分解しますが、初期段階ではセルロースを優先的に分解するため、感染した木材は外見上健全でも、急速に強度を失います。菌糸は木材細胞の内腔だけでなく細胞壁内にも侵入し、特徴的な空洞を形成します。感染は主に樹木の傷から始まり、内部に広がって心材腐朽を起こします。音波断層撮影で空洞を見つける検査が有効とされています。
同定のコツ:オオミコブタケは関東の里山の雑木林、特にナラ枯れの被害を受けた場所で近年頻繁に見られます。春の灰色の姿と夏以降の黒色の姿、両方をチェックしてください!似たきのこはあまりありません。黒色の子座表面をルーペで見ると、子嚢殻のつぶつぶがはっきり見えますよ(肉眼でも見えなくはないですが)。顕微鏡をお持ちの方は、夏以降に形成される巨大な子嚢胞子も観察してみてください…!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。