🗓️ 最終更新日: 2025-05-25
- 子座は鹿の角状または棍棒状のものが多く、糸状の細いものも。初めは白い粉をふいて(無性世代)、成熟すると真っ黒(有性世代)になって子嚢殻を多数形成します🦌
- 表面は炭質で硬く、まるで炭化した木片のよう…触ると手が黒くなることも!
- 子嚢胞子は豆形(phaseoliform)で、特徴的な発芽溝が種の同定の決め手になります🔍
- 落葉広葉樹の朽木や切り株に発生する木材腐朽菌で、材を白く腐らせます
- 世界に約300種が知られ、熱帯から温帯まで広く分布します🌍
- 子嚢の先端部はメルツァー試薬で青く染まるアミロイド性を示します💙
- 一部の種はシロアリの巣や土壌にも発生する驚きの適応力!種によっては宿主選好性も見られます
- 多様な生理活性物質を含み、医薬品や農業への応用が期待されています✨
クロサイワイタケ属は、まるで黒く炭化した鹿の角や死者の指のような独特な形をした子嚢菌の仲間です。「死者の指(dead man's finger)」という不気味な英名とは裏腹に、森林生態系で重要な分解者として活躍しています。朽木に生える黒い突起物を見つけたら、それはきっとこの仲間!季節によって姿を変え、初夏ごろは分生子の白い粉をまとったような無性世代が見られることが多いですが、秋には子嚢殻を形成して全体が真っ黒、表面(特に上部)がごつごつの姿になります。
クロサイワイタケ属(Xylaria)は子嚢菌門・フンタマカビ綱・クロサイワイタケ目・クロサイワイタケ科に属する大型の属です。クロサイワイタケ科の中で最大の属として知られ、世界中の森林に広く分布しています。
近年の分子系統解析では、ITS、β-チューブリン(TUB2)、RNAポリメラーゼII(rpb2)などの複数遺伝子座を用いた研究が進んでいます。これにより、形態的に類似した種の間でも遺伝的な違いが明らかになり、多くの隠蔽種が発見されています。特に熱帯地域からは続々と新種が記載されており、実際の種数は現在知られているよりもはるかに多いと考えられています。
子座は高さ1-6cm、鹿の角のような分枝が特徴的。若い時は白い粉(分生子)をまとい、成熟すると黒く変化。「ろうそくの消し殻(Candlesnuff Fungus)」の英名通り、まるで燃え尽きた炭のよう。子嚢胞子は11-14×4-6μm、不等辺楕円形で直線状の発芽溝。
子座は高さ3-8cm、太い棍棒状~倒徳利形で、名前の通り形の変化が豊富。全体が黒色で光沢なし、表面は炭質で硬い。白色腐朽菌としてほぼ一年中観察可能。腐朽材には特徴的な黒い雲形の帯線ができます。子嚢胞子は20-32×5-9μm。
子座は高さ2-7cm、太さ0.5-1.5cmの先端が丸い棍棒状。若い時は灰褐色、成熟すると暗褐色から黒色へ。表面は年齢とともにひび割れて鱗片状になることも。柄は長い場合も短い場合もあり、基部には黒色~赤褐色の綿毛があることが特徴的。
シロアリの巣に特化した種は主にアフリカとアジアに分布。また、内生菌として植物と共生する種も知られています。X. apiculataとX. arbusculaは外見が似ていますが、胞子サイズ(20-28μm vs 12-15μm)と発芽溝の長さで区別可能。熱帯地域では未記載種が多数存在すると推定されています。
クロサイワイタケ属のきのこは、主に落葉広葉樹の朽木や切り株に発生する木材腐朽菌として、森林生態系の物質循環に重要な役割を果たしています。白色腐朽菌として木材のリグニンとセルロースを分解し、栄養を他の生物が利用できる形に変換します。
生息環境は驚くほど多様で、一般的な朽木だけでなく、土壌、落葉層、さらにはシロアリの巣という特殊な環境にも適応した種が存在します。また、熱帯および温帯の植物にエンドファイト(内生菌)として共生する種も知られており、宿主植物の健康維持に貢献している可能性があります。
ホオノキの花序に生える「ホソツクシタケ」、フウの実に生える「フウノミフデタケ」、ミズキの種子に生える「ミズキノホソツクシタケ」など、特定の基質に選好性を示す種もあります。
本属の菌類は多様な生物活性物質(セスキテルペノイド、アルカロイド、ポリケチドなど)を産生することで知られ、抗菌、抗真菌、抗がん、抗炎症活性などが報告されています。これらの化合物は医薬品や農業分野での応用が期待されており、特にX. hypoxylonは伝統的に薬用として利用されてきた歴史があります。
胞子観察の重要性:クロサイワイタケ属の正確な同定には発芽溝(germ slit)の観察が不可欠です。これは胞子壁に形成される縦の溝で、種によって胞子長との比率や直線状か螺旋状かが異なります。例えば、X. apiculataは胞子長とほぼ同じ長さの直線状溝を持ちますが、X. arbusculaでは明らかに短く、X. pseudoapiculataでは螺旋状になります。また、子嚢の先端リング(apical ring)の形状とメルツァー試薬での呈色反応も重要な同定形質です。胞子サイズも種の識別に有効で、12-32μmと種によって大きく異なります。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。