🗓️ 最終更新日: 2025-05-30
- 主に頂部に孔口がある瓶形(フラスコ形)の子嚢殻(perithecium)を形成します🍶
- 一部の種では閉鎖型の子嚢殻(cleistothecium)も見られます
- 子嚢は非開口型の一重壁で、通常8個の子嚢胞子を含みます✨
- 子嚢の頂部に先端リングという構造があるものが多く、分類の重要な特徴です🔍
- 子実体の色は明るい色から鮮やかな色、黒色まで様々で、単生または群生します
- 一部の種では複数の子嚢殻を含む子座を形成します🌟
- 無性世代が豊富で、多様な分生子形成様式を示し、複数の無性世代(シンアナモルフ)を持つ種も多いです
フンタマカビ綱(Sordariomycetes)は子嚢菌門で2番目に大きな綱で、瓶形の子嚢殻を形成するのが特徴的です。名前の由来は一部の種が動物の糞に生育することからですが、実際には森林の腐朽材から水中まで、驚くほど多様な環境に適応しています。腐生菌、植物病原菌、昆虫病原菌など様々な生態的役割を担っています。
フンタマカビ綱は子嚢菌門のチャワンタケ亜門(Pezizomycotina)に属し、子嚢菌門で2番目に大きな綱です。2013年には3亜綱、12目として分類されていましたが、分子系統解析の進展により、2023年には6亜綱54目に再編成されました。
最新の分子系統解析では、複数の遺伝子領域(nrLSU、nrSSU、TEF、RPB2など)を用いた解析により、伝統的な形態分類との相違が明らかになっています。無性世代(アナモルフ)と有性世代(テレオモルフ)の繋がりも分子データで解明され、二重命名法からの脱却が進んでいます。
観察記録数が最も多い亜綱で、主要な目としてクロサイワイタケ目(Xylariales)を含みます。複雑な子座を形成する種が多く、子嚢胞子は通常褐色で発芽溝を持ちます。主に腐生菌として木材分解に重要な役割を果たし、一部は内生菌(エンドファイト)や病原菌としても機能します。進化の初期の種は埋生する目立たない子嚢殻を持っていたことが示唆されています。
観察記録数が2番目に多い亜綱で、生態学的に非常に多様です。子嚢殻は通常明るい色を呈し、多くの分類群では真の側糸を欠きます。病原菌、内生菌、寄生菌、腐生菌、菌寄生菌、地衣共生菌、昆虫菌など様々な生態的役割を担い、淡水、海生、陸生環境など多様な生息環境に適応しています。系統解析により、海生・淡水生菌は陸生の祖先から独立して進化したことが判明しています。
多くの植物病原菌を含む亜綱で、子嚢殻は通常黒色で、単生または集合します。子嚢は円筒形で先端リングを持ち、子嚢胞子は無色から褐色まで様々です。経済的に重要な植物病原菌を多数含み、腐生菌や内生菌としても機能する種が多く、広範な地理的分布を持ちます。
主にフンタマカビ目(Sordariales)を含む亜綱で、グループによって明色から暗色まで様々な色のフラスコ形子嚢殻を形成します。子嚢は非アミロイドまたは先端リングを欠き、多くの種で真の側糸が存在します。主に腐生菌として土壌、糞、植物残渣に生育し、アカパンカビ属(Neurospora)のように重要な遺伝学的モデル生物とされているものもあります。2015年の再定義により多くの属が他の亜綱に移されました。
フンタマカビ綱は極めて多様な生態的ニッチを占め、陸上から水中まで幅広い環境に適応しています。腐生菌として土壌、糞、落葉、枯死木などの有機物を分解し、セルロースやリグニンなどの複雑な分子を分解する能力により炭素循環に重要な役割を果たします。
植物病原菌として、ニレ立枯病(Ophiostoma属)、クリ胴枯病(Cryphonectria属)という世界三大樹病のうちの2つが含まれるほか、麦角病(Claviceps属)など経済的に重要な病害を引き起こす種が多数存在します。一方で、植物組織内に共生的に生活する内生菌として、特に熱帯・亜熱帯地域で高い多様性を示し、宿主植物に様々な利益をもたらします。
昆虫病原菌として有名な冬虫夏草(Cordyceps属、Ophiocordyceps属など)や、害虫の生物学的防除に利用されるBeauveria属、他の菌類に寄生するTrichoderma属など、寄生性の種も多様です。水生環境では水中に沈んだ材や他の分解基質上に生育する種が多く、純粋に海生の分類群も存在します。
実用的な同定のポイント:①まず子嚢果の形状(子嚢殻か閉子嚢殻か)を確認→②子嚢殻の色と配置(単生・群生や子座に埋生・突出・表在するかなど)を観察→③顕微鏡で子嚢頂部の先端リングの有無をチェック→④子嚢胞子の形状・表面性状(模様のほか発芽孔や発芽溝も)・色・隔壁を詳細に観察→⑤無性世代の形態(分生子形成様式や分生子の形態、厚壁胞子の有無など)も重要な同定形質。形態は環境で変化するため、分子同定(ITS、nrLSU等)との併用が推奨されます。
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
値が正に大きいほどその分類群に特徴的な形質、負に大きいほど他の分類群に特徴的な形質であることを示します。
エラーバーは95%信頼区間を示しています。観察数が少ないほど信頼区間が広くなります。