🗓️ 最終更新日: 2025-05-28
- 子嚢菌のカビの中でもよく見る代表的なグループの一つで、培地上では最初白色、後に緑色や黄色の分生子塊を形成します🌿
- 分生子柄は高度に分枝してピラミッド状、フィアライドは中央部が膨らむ特徴的な形です🔍
- 多くの種が甘い「ココナッツ様」の臭いを放ち、25-30℃で急速に成長します(子嚢菌なのにケカビ並みの速さ…!?)✨
- 有性世代はHypocreaの名前の方が馴染みがあるかも。肉質のクッション状~円盤状の子座を形成し、茶色・黄色・橙色などを呈します🍄
- 子嚢胞子は計16個の部分子嚢胞子に分離、表面に小刺を持つことが多いです
- 土壌や腐朽材に普通で、植物病原菌の生物防除剤として利用される有用菌です💚
- 一方で栽培きのこの「緑かび病」の原因菌でもあり、農業被害は甚大です⚠️
トリコデルマ属は世界中の土壌や腐朽木材に普遍的に分布します。培地上で特徴的な緑色の分生子塊を形成することから「緑カビ」とも呼ばれ、多くの種が植物病原菌に対する生物防除剤として利用される一方、栽培きのこの病原菌としても知られています。有性世代は肉質の子座を形成し、以前はHypocrea属として分類されていました。
トリコデルマ属は子嚢菌門・チャワンタケ亜門・フンタマカビ綱・ボタンタケ亜綱・ボタンタケ目・ボタンタケ科に属します。1794年にPersoonによって設立された歴史ある属ですが、長らくT. virideの単型属と考えられていました。
分子系統解析の導入により、現在では複数の主要なクレード(Harzianum、Longibrachiatum、Viride、Gelatinosum、Hypocreanum、Spirale等)に分類され、約500種以上が認識されています。有性世代として別属扱いだったHypocrea属は、命名法の一元化(1F=1N)により現在はTrichoderma属に統合されています。
本属の基準種で最もiNat観察記録が多い種(3,300件以上)。分生子は類球形で強く疣状の表面を持ち、有性世代(Hypocrea rufa)は茶色の枕状子座を形成します。木材中および土壌中に広く分布し、分子系統解析により従来の「T. viride」は実は複数種の複合体であることが判明しました。
Gelatinosumクレードに属し、ゼラチン質~ゴム質の肉質子座を形成するのが特徴(iNat観察記録約1,000件)。広葉樹の枯死材上に発生し、温帯地域に広く分布します。子座の質感が他種と明確に異なるため、野外での識別は比較的容易とされています。
緑黄色~硫黄色の分生子塊を形成し、楕円形~球形の分生子を持ちます(iNat観察記録1,000件)。クレードIIIに分類され、特定の菌類に寄生する性質があります。湿った木材や植物残渣上に発生し、北米東部・中部でよく見られます。
扁平で円盤状の肉質子座を形成する汎熱帯種。関東の里山でも切り株などにたまに見かけます。遠目には滑らかに見え、サルノコシカケの幼菌?とも思うかもしれませんが、近くで見ると微小な突起があり、このつぶつぶの一つ一つが子嚢殻です。広葉樹の枯死材上に発生し、世界中の熱帯地域で見られます。
かつてはPodostroma属やHypocrea属に含まれていましたが、現在はこの属。炎のように赤色~鮮やかな朱色の直立した棍棒状~角状の子実体を形成する猛毒種です!サトラトキシンHなどのトリコテセン系マイコトキシンを含み、触れるだけでも皮膚炎を起こすとされています。日本では死亡事故も記録されています。ナラ枯れとともに分布を拡大しており、関東の里山や公園では普通に見られる種になってしまいました…。
Trichoderma属菌類は全世界の土壌中に遍在し、特に森林土壌や農業土壌において最も一般的に培養可能な菌類です。多くの種は日和見的な非病原性植物共生菌として、複数の植物種と相利共生的な内生関係を形成します。
生物防除剤としての利用では、抗菌作用・寄生作用・宿主植物の抵抗性誘導・競合という4つのメカニズムで植物病原菌を制御します。T. asperellum、T. harzianum、T. virideなどが商業的に利用されています。
一方で「緑かび病」の原因菌として、マッシュルーム、シイタケ、ヒラタケなどの栽培きのこに甚大な被害をもたらし、その損失額は世界で数千万ドルに及ぶといいます。また一部の種(特にT. longibrachiatum)は免疫不全患者に日和見感染症を引き起こすことも報告されています。
実用的な同定の流れ:野外では特徴的な緑色と、多くはコロニーの縁が白色であることで、すぐに本属菌だと分かります。ちょっと違和感がある場合、Chloridium gonytriciiなど、他の緑色のカビかも?種同定には寒天培地での培養が必須です:①培地でのコロニーの色と生長速度を観察(白色→緑色への変化)→②顕微鏡で分生子柄の分枝パターン(ピラミッド状)と分生子の形態を観察→③有性世代があれば子座の色・形・質感をチェック→④正確な種同定にはITS・tef1・rpb2等の分子マーカーによる解析が必須。TrichOKeyやTrichoBLASTなど、この分類群専門のオンラインツールも活用できます!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。