🗓️ 最終更新日: 2025-06-14
- 子実体は背着生から有柄まで多様で、白色~黄色味を帯び軟質で乾燥すると脆いのが特徴です🍄
- 孔口は小さく角張った形で、4-5個/mmほどの密度です🔍
- 顕微鏡では偽骨格菌糸(pseudoskeletal hyphae)の存在が決定的で、真の骨格菌糸は欠きます
- 大型の担子器と薄壁のシスチジアが本属の重要な識別ポイントです✨
- 胞子は類球形~広楕円形で、シアノフィリック性を示すことが多いです💙
- 広葉樹の枯死材に白色腐朽を引き起こし、地中の材や根からも発生します🌳
- 類似のヒツジタケ属(Spongipellis)とは骨格菌糸の欠如と大型の担子器で区別されます📊
ローイオマイセス属(Loweomyces)は木材腐朽菌のグループで、広葉樹材に白色腐朽を引き起こします。1982年にJülichによって独立属として確立されました。背着生から有柄まで多様な子実体形態を示し、軟質で乾燥すると脆くなる特徴的な質感を持ちます。偽骨格菌糸の存在と大型の担子器が重要な識別形質です。
ローイオマイセス属は担子菌門・ハラタケ綱・サルノコシカケ目・ニクハリタケ科(Steccherinaceae)に属します。かつてはシワタケ科(Meruliaceae)に分類されていましたが、2012年のMiettinenらによる大規模な分子系統解析により現在の位置づけとなりました。
本属はXanthoporus属とともにニクハリタケ科の系統樹の基部に位置することが明らかになっています。「residual polyporoid clade(残余ポリポロイドクレード)」の4つの主要系統の1つに属し、Steccherinum、Antrodiella、Junghuhniaなどと同科を構成します。近年、従来Abortiporus、Tyromyces、Antrodiellaなどに分類されていた種が本属に再分類される例もあります。
本属の代表種で、iNat観察記録数は約1,000件と最多。地表だけでなく地中の木材や根からも発生することが特徴的です。子実体の形態変異が極めて大きく、柄が中心生~側生で、背着生~半背着生の形態をとることもあるといいます。傘は幅1-4cm、厚さ1-5mmで、若い時は白色で微細な絨毛状、老成すると黄色を帯びて平滑になります。柄は長さ4cmまで、円筒形~扁平で傘に向かって拡がります。世界各地に広く分布し、日本からもユーカリ植栽地で発見例があります(糟谷ら、日本菌学会第65回大会)。ユーカリ林に限らず、関東地方の里山でも各地で見つかっているようです。
ローイオマイセス属は全種が木材腐朽菌として、森林生態系における重要な分解者の役割を担っています。広葉樹の枯死材や倒木に発生し、白色腐朽を引き起こすことで木材中のセルロースとリグニンの両方を分解します。世界的に分布しますが、熱帯に多様性の中心がある可能性もあります。
特筆すべきはL. fractipesの生態的柔軟性で、地上の倒木だけでなく地中の埋もれた材や根からも発生することが報告されています。採集例が少なく謎の多いきのこですが、形態も非常に多様で、柔軟な生き方をしているものと思われます。胞子が発芽しても間もなく生長が停止し、培養不可能(Westphalen et al., 2016)というのも面白い性質です。
実践的同定のポイント:それらしき白色の硬質菌を見たら、まず子実体の質感が軟質であること、孔口が小さめであることを確認しましょう。持ち帰って乾燥すると脆いことも分かるとなおよいです。顕微鏡があれば、胞子をつくっていれば類球形であることを確認!(よく似たスジウチワタケモドキは円筒形に近い)。偽骨格菌糸も重要な形質なので、厚壁の菌糸に隔壁が見られることをチェックしましょう!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。