🗓️ 最終更新日: 2025-06-18
- 卵のような「菌蕾(きんらい)」から急速に伸長(なんと10-15cm/時間!)する円筒形の子実体を形成します🥚
- 頭部は胞子を大量に含むオリーブ色の粘液質のグレバ(基本体)に覆われ、特徴的な悪臭を放ちます💨
- 菌網(網状のスカートのような構造)の有無が重要な識別点で、キヌガサタケなどそれを持つ種では優雅に垂れ下がります✨
- つぼ(外皮)の色は白色・桃色・紫色など種により異なり、同定の決め手となります🎨
- 柄は中空でスポンジ状、白色から赤橙色まで種によって変化に富みます
- 頭部表面は網目状(スッポンタケ)から平滑(P. ravenelii)まで様々です🔍
- 昆虫(主にハエ類)による胞子散布という、きのこの中では珍しい胞子散布戦略をとります🪰
スッポンタケ属(Phallus)はその特徴的な形態で知られる担子菌のグループで、いわゆる腹菌類の主要なグループでもあります。初め菌蕾とよばれる卵のような形態をとりますが、急速に伸長し、頭部と柄からなる子実体を形成します。頭部は悪臭を放つ、グレバとよばれる粘液に覆われます。この臭いでハエなどの昆虫を引き寄せ、胞子を運んでもらうという独特な繁殖戦略を持ちます。菌蕾や頭部、菌網などの色は種によって様々で、壮麗な見た目や鮮やかな色の美しい種も含まれます。世界で約33種が知られ、特に熱帯地域で多様性が高いグループです。
スッポンタケ属は担子菌門・ハラタケ亜門・ハラタケ綱・スッポンタケ亜綱・スッポンタケ目・スッポンタケ科に属します。スッポンタケ科の中では最も種数が多く、iNat観察記録も圧倒的多数(約4万5千件)です。
最新の分子系統解析により、菌網を持つことで別属とされていたキヌガサタケ属(Dictyophora)が本属に統合されました。また、形態的に区別が困難な隠蔽種の存在も明らかになり、例えばキヌガサタケ(P. indusiatus)も複合種であることが判明しています。
本属の基準種で、ヨーロッパと北米に広く分布する最も一般的な種。日本でも季節と場所によっては普通に見られます。子実体は和名の「スッポン」を思わせる円錐形の頭部と柄からなり、頭部の表面は網目状。白色のつぼから発生し、柄も白色でスポンジ状。腐肉臭で昆虫を引き寄せます。
「きのこの女王」の別名で知られる優雅な種です!最大の特徴は頭部から地面近くまで垂れ下がる白色のスカートのような菌網。熱帯地域に広く分布し、竹林で見られます。菌網や菌蕾の色や、地面までしっかり伸び切るかどうか(マクキヌガサタケは伸び切らない)などで類似種と識別します。中国など食用として珍重する地域もあり、人工栽培も行われていますが、日本では一般的な食材ではありません。
細長い赤橙色の柄と、褐色の頭部を持つ種。頭部はやはりグレバに覆われます。キツネノエフデやキツネノロウソクを含むキツネノロウソク属(Mutinus)に似ており、しばしば混同されますが、頭部が明確に柄から分離している点で区別できます。よりスッポンタケに近い特徴を持つので、スッポンタケ属に含まれている…と考えると分かりやすいかも?林内の腐植土の上でよく見つかります。
桃色から紫色を帯びたつぼが最大の特徴。形態的にはスッポンタケに似ていますが、砂地や砂丘を好むという特殊な生態的特性も持ちます。ユーラシアと北米に分布し、日本でも北海道や新潟県の海岸砂丘で発見されています。なお、同じく赤いつぼを持つ種として、菌網を持つアカダマキヌガサタケもしられています。
菌網を持つ種の一つで、キヌガサタケより小型です。最大の特徴はクリーム色、ピンク、黄色、橙色などカラフルな菌網で、特に黄色のことが多いです。オーストラリアなど熱帯・亜熱帯地域に広く分布します。日本には分布しませんが、同じく黄色の菌網を持つ種としてはウスキキヌガサタケが分布しています。
スッポンタケ属は腐生菌として、森林の落葉層、庭園、ウッドチップなどの有機物を分解して生活しています。特徴的なのは、風ではなく昆虫による胞子散布(虫散布)を行うことです。
グレバの強烈な臭気(種により腐肉臭、甘い臭いなど様々)がハエ類を中心とした昆虫を引き寄せ、粘液質の胞子が昆虫の体に付着したり、消化管を通過することで遠くに運ばれます。この独特な繁殖戦略により、効率的に新しい場所への定着が可能とされています。
観察のコツ:地面に白色〜桃色の「菌蕾」を見つけたら要チェック!スッポンタケ類には他にも同様の性質を持つ属がありますが、大きめであれば本属菌の可能性が高いです。温暖湿潤な条件下では数時間で急激に伸長するので、定期的な観察がおすすめです。機材を持っていればタイムラプス撮影にも挑戦してみるとよいかもしれません。あるいはナイフですぱっと真っ二つにし、内部の構造を確認するのも、きのこ観察会のハイライトの一つです!菌網の有無、つぼの色、柄の色、頭部表面の模様の4点を確認すれば、主要な種の識別が可能です。強烈な臭いは我慢が必要ですが、毒性はないので、鼻をつまみつつ安心して観察できますよ…!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。