🗓️ 最終更新日: 2025-06-13
- 子実体は背着生〜半背着生のコウヤクタケ型で、質感は膜質から革質まで様々です🍄
- 子実層托は平滑なものが一般的ですが、歯牙状、時に管孔状まで変化に富み、種によっては紫色の色調を帯びます✨
- 顕微鏡で見るとランプロシスチジア(厚壁で先端に結晶を持つ)が特徴的です🔍
- 菌糸系は1菌糸型または2菌糸型で、種によって異なります📊
- 担子胞子は無色薄壁平滑で非アミロイドという共通点がありますが、形状は種によって様々です
- 白色腐朽菌として木材のリグニンを分解し、森林生態系で重要な役割を果たします🌲
- カミウロコタケ(P. crassa)は熱帯に多く分布しますが、関東の里山でもごく普通に見られる種です。カワシワタケ(P. gigantea)は北半球の針葉樹に多いです🌍
- カワシワタケは生物防除剤として、樹木への病原菌の侵入を防ぐ目的で応用されています
カミカワタケ属(Phlebiopsis)はコウヤクタケ類の一グループです。世界中の森林に分布し、倒木や切り株の木材を分解する白色腐朽菌として重要な生態的役割を担っています。特にカワシワタケは、針葉樹の根株腐朽病を引き起こす病原菌に対する生物防除剤「Rotstop」として実用化されており、応用面でも注目されています。子実体は一見地味ですが、顕微鏡で観察すると特徴的なランプロシスチジアが見られます。
カミカワタケ属は担子菌門・ハラタケ綱・サルノコシカケ目・マクカワタケ科 (Phanerochaetaceae)に属します。1978年にJülichによってThelephora giganteaを基準種として提唱されました。当初は平滑~歯牙状の子実層托と1菌糸型の菌糸構成を持つ種に限定されていましたが、その後の研究で属概念が拡張されました。
分子系統解析により、本属はPhaeophlebiopsis、Hapalopilus、Rhizochaeteといった姉妹クレードとは明確に区別される、強く支持されたクレードを形成することが示されています。また、AustralohydnumとHjortstamiaの2属は本属のシノニムとして統合されました。最新の研究では属内に24の系統が解明され、そのうち18種が認められています(Zhao et al., 2021)。
本属で最も観察記録が多い種で、主に熱帯地域の広葉樹材に発生しますが、関東の里山でもごく普通に見られる種です。子実体は背着生~半背着生の革質で、子実層面は紫色の色調を帯びるのが特徴的。顕微鏡下では大型のランプロシスチジア(50-120 × 8-20 μm)が観察され、菌糸系は2菌糸型です。分子系統学的には3つの異なる系統(Group A、B、C)に分かれる複合種であることが判明しています。とにかく「カミウロコタケ」という和名がミスリーディングで、最大の特徴である「紫色」が和名に反映されていないので、しばしば「スミレウロコタケ」と混同されますが、それとはかなり遠縁の種です。本種はシスチジアを持つので、性能のよいルーペや顕微鏡で見れば一目瞭然です!
iNat観察記録数で2番目に多い種(約300件)で、主にオーストラリア南東部に分布します。カミウロコタケと同じく背着生の紫色で厚いきのこですが、子実層托の様子が全く異なり、歯牙状~箆状なのが特徴的です。
北半球の針葉樹林に多く、特に新鮮な切り株に定着します。子実体は灰色を帯びたどろっとした感じの印象で、担子胞子は狭楕円形(5-7 × 2.5-3.5 μm)。針葉樹の根株腐朽病の原因菌、マツノネクチタケ(広義)に対する拮抗作用があり、切り株処理剤「Rotstop」として商業利用されています。関東の里山ではこれに似た種をよく見かけますが、顕微鏡で見ると全然違う種、ということが多いです。特徴的なランプロシスチジアがなければ別種でしょう。
カミカワタケ属の菌類は世界中の森林生態系に広く分布する白色腐朽菌で、木材中のリグニンを含む主要成分を分解する酵素系を持ち、バイオレメディエーションへの応用可能性も期待されています。種によって宿主選好性が異なり、カミウロコタケは主に熱帯の広葉樹材、カミカワタケは北半球の針葉樹材に生息します。
特にカミカワタケは針葉樹の切り株における初期定着者として知られ、樹脂を多く含む新鮮な辺材に侵入する特殊な能力により、他の木材腐朽菌の定着を制限するといわれます。この特性が病原菌に対する生物防除効果の基盤となっています。
野外での同定ポイント:一番よく見られるのはカミウロコタケなので、まずはこれを確実に覚えましょう!一般的な記録としては、まず発生している木の種類(針葉樹か広葉樹か)を確認し、子実体の広がり方(背着生か半背着生か)と、子実層托の色と質感を観察します。性能のよいルーペやUSB顕微鏡ならシスチジアが見えるはず!カミカワタケなどの確実な同定には、顕微鏡で胞子の形状やシスチジアの観察が必要です!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。