🗓️ 最終更新日: 2025-06-10
- 子実層面を覆う膜が最大の特徴で、これに穴が空いているのが「一口」の由来です🍄
- 子実体は半球形〜クッション状で、クリーム色〜栗色〜黄褐色の光沢のある表面✨
- 針葉樹の立ち枯れや倒木に発生し、特にキクイムシ被害木を好みます🌲
- 大きさは1.5〜6.5cmと小型で、3菌糸型(生殖菌糸・骨格菌糸・結合菌糸)を持ちます🔍
- 胞子は円筒形〜長楕円形で、胞子紋は帯桃淡褐色です
- 膜に空いた穴から干し魚のような臭いを発することで昆虫を誘引します。膜を破ると中から昆虫が見つかります🐞
- 現在3種が知られ、主に胞子サイズと分布域で識別します📊
- 一目見たら忘れられないきのこですが、和名の「ヒトクチタケ」に対応する学名の種はおそらく日本には分布していません⚠️
ヒトクチタケ属(Cryptoporus)はマツなどの針葉樹に発生する木材腐朽菌で、子実層面を覆う膜状構造(volva)を持つことが最大の特徴です。この膜によって、孔口面でつくられた胞子が内部に蓄積され、昆虫の体に付着して散布されるという独特の生態を持っています。1902年にShearによって独立属として確立され、現在3種が認められています。
ヒトクチタケ属は担子菌門・ハラタケ綱・タマチョレイタケ目・タマチョレイタケ科に属します。現在の分子系統解析ではタマチョレイタケ科クレードのコアグループに位置することが確認されています。マンネンタケ属(Ganoderma)やタマチョレイタケ属(Polyporus)と同じクレードに属しますが、そのどちらともかなり異なる独自の形態です。
本属の基準種で、少なくとも北米には広く分布しています。胞子は10〜12.5×5〜6μmと属内では最大。日本では長らく「ヒトクチタケ」の和名がこの種に当てられてきましたが、まだ詳しく研究されていないので、本当にこの種なのかどうかは分かりません…。
中国南部の固有種で、2000年に記載されました。胞子は7.5〜10×4〜5μmと小型で、これがC. volvatusとの主な識別点です。形態的にはヒトクチタケとほぼ同一で、胞子サイズと分布域のみで区別されます。観察記録は極めて少なく、生態についてはまだ不明な点が多いです。
2023年に記載された最も新しい種で、中国の秦嶺山脈の固有種です。胞子は9.2〜11.5×4.1〜5μmで両種の中間的なサイズ。マツ属に特異的に発生し、地域の生物多様性保全における重要種とされています。
ヒトクチタケ属の全ての種は白色腐朽菌として針葉樹の材を分解します。主にキクイムシなどの被害を受けた立ち枯れや倒木の辺材部に発生し、森林生態系における重要な分解者として機能しています。
最も特徴的なのは昆虫との相利共生関係です。子実体内部は主に甲虫類の生息場所となり、胞子はその餌になると考えられています。昆虫は体表に大量の胞子を付着させ、他の樹木へ胞子を運搬するので、きのこ側の得にもなっているという仕組みです。風で飛ばすよりも効率的な胞子散布システムなのかもしれません…!
実用的な同定の流れ:ヒトクチタケ属のきのこであることは一目で分かります!顕微鏡をお持ちであれば、担子胞子のサイズを測って、どの種に一番近いか調べてみるとよいでしょう。現実的には「ヒトクチタケ属の一種」で留めておくのが、今のところは無難だと思います…。若い個体はまだ下面に穴が空いておらず、変形菌と混同されることも。幼菌の特徴もぜひ押さえておいてくださいね。膜を破いて、どんな昆虫が住んでいるか観察してみてください…!
各形質の対数尤度比(log positive likelihood ratio)を示しています。
緑色のカード:その分類群に特徴的な形質
オレンジ色のカード:他の分類群に特徴的な形質
グレーのカード:統計的に有意でない(95% CIが0をまたぐ)
信頼区間(CI)は95%信頼区間を示しています。CI下限が0を超える場合、統計的に有意な正の関連があることを示します。